FileMakerを使うきっかけとして、小売業などでの在庫管理でした、という人もいるんじゃないでしょうか?
また、初めて小売業界のAppを作ることになり、「引当」「引落」などの言葉が分からなくてどう作ればいいのか立ち止まっている人、いませんか?
売れた商品情報をFileMakerに登録し、在庫が今どのくらいあるか、を見える化する流れをサンプルで解説です。
この記事を読むといいことが起こる人
「引当」「引落」をFileMakerでどう表現すればいいか悩んでいる人
販売した商品を在庫から引いて、現在どのくらい在庫があるかを知りたい人
FileMakerで在庫管理をどうやればいいか、ヒントが欲しい人
この記事を読んでも得られない知識
利益計算や棚卸しのことは書いていません。
レイアウトの実装の仕方
サンプルを作った環境
Claris FileMaker Pro ver.21.1
Mac Book Pro (Sonoma 14.6.1)
テーブル設計
マスタ
・顧客情報
・商品情報
トランザクション
・注文情報
・注文情報_明細
ログや履歴
・在庫履歴情報
リレーションシップグラフ
表示についての解説は省きますが、以下のような感じです。
基本的には、注文情報が明細と管理できて在庫履歴情報とリレーションシップが取れていれば、あらかたOKです。
その他のリレーションシップについては、レイアウトで見える化する時の表示のため、と思ってください。
たくさんリレーションシップが見えていますが、在庫引当のスクリプトでは、ほとんど使ってないです。
注文管理
在庫管理
マスタ、トランザクションなど、カテゴリに分けてTOを色付けすると、リレーションシップグラフで見やすいですよ!
用意するレイアウト
注文管理
今回は、ポータルを使って1つの注文を明細とともに1レイアウトに納めました。
在庫の引当を「引当」ボタンで実行したら、引当済数量が表示され、「済」と表示されます。
在庫管理
在庫管理も、単純に1つのレイアウトにまとめていますが、日々、引当をしていくうちにながーくなって見づらくなるので、運用を考えたら、一覧と履歴詳細、というような2レイアウトくらいにした方がいいんじゃないかなと思います。
ま、サンプルなので。
サンプルでは、入荷(入庫)、出荷(出庫)で色分けし、出荷に関してはどの注文から引当てたのかがわかるように、注文番号と注文日も表示しています。
スクリプト
販売した商品を、棚から取り出して在庫が減っていく、というのを想像してください。
大体そういう作業のことを、「引当(ひきあて)」「引落(ひきおとし)」と呼んでいるところが多いですね。
その、在庫引当をするスクリプトです。
1.在庫情報存在チェック
まず、これから引き当てる商品の在庫が管理されているか、確認します。
2.在庫の引当
在庫が管理されていたら、在庫の引当を行います。
この時、在庫数が足りない場合は、「足りないよ」とカスタムダイアログを出し、引当を行いません。
運用によっては、ロットの違う代替品を当てることもあるかと思いますが、そこまで複雑にするとサンプルとして特殊になってしまうので、今回は単純に、ない袖は振れないことにします。
在庫を引き当てる時は、在庫履歴情報に引き当てた情報を記録します。
また、注文情報の明細にも、引当済であることを記録します。
3.終わりの宣言
たった50行くらいで引当完了!
スクリプト、50行くらいでしたね。
このスクリプトを、注文明細行の「引当」ボタンに貼り付けたら、もう在庫引当ができちゃいますよ!
そうそう。
一つの注文で全ての明細を引き当てたら、大きく「済」と大きく出るようにもしてみました。
こちらは、単純に注文の総数量と総引当済数量を比較して、表示・非表示設定をしているのみなので、お気軽に見える化が実現できます。
「引当」「引落」と聞くと、
「えー、どうやってスクリプトを組むの?」
と右往左往しがちですが、「引当」って要は実作業で何をするかを想像すると、スクリプトに起こしやすいと思います。
では!