はじめに
フューチャー Advent Calendar 2022 の 15 日目です。
技術的な記事の執筆というと、文章を読んだ第三者への貢献が目的、というイメージがあるかもしれません。もちろんそのような側面もありますが、書いた本人にも多くの利点があると思っています。この記事では執筆者本人にどういった利点があるのか紹介し、記事執筆はいいぞ、ということをお伝えします。
利点
理解が深まる
理解を深める方法として、公式ドキュメントを読んだり、関連する書籍/専門誌を読んだり、コードを読んだり、などといったインプットが着目されがちです。しかしインプットと同時に、書いたり、話したりなどといったアウトプットも重要です。
たとえば『リサーチの技法1』では書く目的として次の 3 つを挙げています。
- 覚えるため
- 理解するため
- 考えを検証するため
『理工系のためのよい文章の書き方2』でも文章として書くことで、考えの問題点、思考の抜けに気づきやすくなる、とあります。
自分がよく知っている技術でも、改めて文章化してみると理解の抜け漏れを把握したり、知識の再整理ができるでしょう。また、記事執筆を通じて周辺の知識もインプットできます。また、第三者に説明するときにも役に立つでしょう。自分の理解をより深めるために、技術記事執筆はとてもおすすめです。
記憶の外部化ができる
時間が経つにつれ、過去の思考や理解した内容、勉強した知識は忘れてしまうものです。自分の書いた記事は思考の外部記憶として役に立ちます。過去自分がどういうことを思考していたのか、あるいはハマりどころや勘所は何だったのかなど、改めて知りたいときに自分の記事から学習できます。これは私だけでなくて、渋川さんや他の社内メンバーからも同じ意見を聞いたことがあります。
また、文章化しなかった思考は消えていく、という意見もありました。
日々、新しいことを学んでいくなかで、過去の記憶は脳内メモリから消え去ってしまうことがあります。外部記憶として技術記事を書いておくことでリロードが容易になります。
フィードバックが得られる
一番最初に書いた「書くことで理解が深まる」とやや重複しますが、書くことで思考が自分以外の人に伝わり、フィードバックが得られやすくなります。
私は最近、業務で導入した新規技術に関する記事を会社の技術ブログに投稿しました3。記事は同じチームのメンバーに事前にレビューいただき、いくつかの項目を追記しています。良かった点として記載している項目のいくつかは第一版ではありませんでした。
文章という形で自分の思考を外部に共有することで、自分では気づいていない観点でフィードバックを貰えることがあります。
文章を書く練習ができる
文章は書きたいときに書こうとしても、普段から書いていない場合はなかなか上手くかけないものです。上手くなるためには量が必要です。記事執筆を通じて、文章を書く練習ができます。『言語化力4』にも「言葉は、下手でもなんでもいいから、どんどんアウトプットしたほうがいい。とにかく、量があって初めて質が生まれるのだ。」とあります。量が質を作る、という意見は一般的によく知られており、直感的にも受け入れられるでしょう。
なかなか書くきっかけが見つからない、という場合は、とりあえずアドベントカレンダーなどのイベントに参加してみてもよいでしょう。あるいは私が所属しているフューチャーの方々であればブログ連載に参加するのもありです。
社内外の方々に知ってもらえる
個人のブランディングに近い話です。社外もそうですが、社内のメンバーに何が詳しいか知ってもらえるでしょう。フューチャーだと所属している部署だけでも 3~400 人います。チームあるいはプロジェクトで一緒に仕事をしている場合を除いて、誰が何に詳しいか、なかなか分かりづらいものです。
Qiita や技術ブログを通じて普段からアウトプットしていると、プロジェクト外のメンバーから、この技術なら辻に聞いたら分かりそうかも、みたいに認知してもらえるきっかけになります。
上のような感じで、私の記事を見つけて質問をくれるメンバーもいました。ありがたや。
まとめ
記事執筆は書いた本人への利点がたくさんあるよ、おすすめだよ、という話を書きました。まだ書いたことがない方は、一度書いてみると新しい学びがあるかもしれません。