個人サイドプロジェクトで開発しているもの
個人のサイドプロジェクトとして、こちらのソフトウェアを作っています。
VSCode用Emacsキーバインド拡張です。
Awesome Emacs Keymap
Visual Studio Marketplace: https://marketplace.visualstudio.com/items?itemName=tuttieee.emacs-mcx
GitHub: https://github.com/whitphx/vscode-emacs-mcx
これに関連して、昨年のアドベントカレンダーではVSCode拡張の開発に関する記事を書きました:
このAwesome Emacs KeymapはOSSとして開発・公開していますが、
READMEに寄付ボタンを設置したところたくさんの方から応援メッセージと共に寄付をいただけ、非常にモチベーションが上がったので、それについて書きます。
寄付を募ろうと思った動機
前述の記事にも書いた通りですが、このソフトウェアはもともと自分のために作り始めたものでした。それ以前にあったVSCodeのEmacsキーバインド拡張がどれも満足のいくものではなかったので自分で開発を始めました。
とはいえ、ありがたいことにそれなりにDL数が増えてきて、issueやPRも届くようになってきました。
このくらいの規模だとdemandingな人は全然おらず、だいたい丁寧なissueを書いてくれて、それに対応すると気持ちよく感謝してくれます。
それらに対応しているだけでも他者に貢献し感謝されるという感覚が楽しくはあるのですが、人間怖いもので、ずっと続けていると疲れてくるし飽きも出てきます(幸い(?)、Awesome Emacs Keymapは自分が普段使いしてるので、自分がVSCode利用をやめない限り開発を続けるとは思いますが)。
そこで、新しいモチベーションが欲しいなと思い、少額でも良いのでソフトウェアに対して寄付を募ってみることにしました。
利用した寄付プラットフォーム
GitHub Sponsors
You can sponsor contributors, receive updates on developers and organizations you sponsor, and display a sponsor badge throughout GitHub.
OSSで寄付を募るといえばまずこれが思い浮かぶかと思います。
GitHub Sponsorsのトップページを見ると、そうそうたるOSSプロジェクト・開発者が紹介されていて、
これらに混じって自分のような木っ端開発者がSponsorボタンを設置するのは若干気後れしましたが、
物は試しと思って登録し、Awesome Emacs Keymapのリポジトリに設置してみました。
GitHub Sponsorsでは、毎月定額の寄付をいただくことになります。
複数のtier(寄付コース)を設定でき、それぞれに寄付額と説明文を設定します。
私は毎月1USDと5USDの設定で、お礼のメッセージだけ説明文に書かせていただきました。相場がよくわからず、お礼の品やサービスもお返しできないので、最低額の1USDとちょっと奮発して5USDです。下記のBuy Me a Coffeeの寄付額も参考にしました。(大口のOSSプロジェクトなら、もっと高額の寄付コースがあって、Tシャツを配ったりもするのでしょう…)
最初は若干ビビっていましたが、sponsorになってくれる方が現れました!
Buy Me a Coffee
Buy Me a Coffee is the best way for creators and artists to accept support and membership from their fans.
ソフトウェア開発に限らず、個人のクリエータやアーティストを支援できる寄付プラットフォームです。
寄付対象はプロダクトではなく個人です。Buy Me a Coffeeに登録し、自分のページを設定して、バッジをAwesome Emacs KeymapのREADMEに貼りました。
Buy Me a Coffeeは寄付額の設定の仕方がユニークで、寄付する際には「コーヒー何杯分」という単位で指定します。
コーヒー1杯の値段は、寄付を受ける側が1~5USDの間で設定できます。
寄付するとき、何ドル寄付する、ではなく、コーヒー何杯を買ってあげる、という表現の仕方が、いやらしくなくユーモアがあって良いなと思いました。
また、GitHub Sponsorsだと毎月定額の寄付しか選べませんが(20210805追記: 今はGitHub Sponsorsも単発の寄付に対応しています)、
「継続的な寄付はちょっとハードル高いけどワンタイムなら寄付しても良い」という方もそれなりにいるのではと思ったので、Buy Me a Coffeeも併用しました。
こちらも、支援してくれる方が何名もいらっしゃいました。メッセージも付けてくれるのでとても嬉しかったです。
https://www.buymeacoffee.com/whitphx
ちなみにKo-fiというほとんど同じサービスがあるのですが、私はBuy Me a Coffeeの方が名前が気に入ったのでこちらにしました。
Ko-fi (20221203追記)
Ko-fiにもアカウントを開設しました: https://ko-fi.com/whitphx
実際にこちらから寄付してくださる方もいて、多様な受け口を作っておくのは大事なのだなと思いました。
20210805追記: GitHub Sponsorsのone time対応
GitHub Sponsorsが一度きりの寄付に対応しました。
しかし、それからもBuy Me a Coffeeのほうからワンタイムの寄付をしてくださる方は引き続きいらっしゃいます。UXや導線の違いなのかもしれません。
また、Buy Me a Coffeeはコメントを付けられる点が気持ち的にも大きなメリットだと思います。
GitHubのリポジトリにSponsorボタンを追加 (20221203追記)
GitHubはFUNDING.yml
ファイルを設置することでリポジトリにSponsorボタンを設置できます。
また<username>/.github
という名前のリポジトリで各リポジトリの.github
ディレクトリのデフォルト値を設定できるため、
このリポジトリにFUNDING.yml
を置いておくことで、すべてのリポジトリにSponsorボタンを表示させられます。
例: https://github.com/whitphx/.github
参考: 複数のGitHubリポジトリにまとめてGitHub Sponsorsボタン(FUNDING.yml)を設定する方法 (efcl.info)
まとめ
「収益化した」と言える規模ではないかもしれませんが、応援してくれている人がいるというのが可視化され、メッセージも届くので、とても気分が上がります。
個人のサイドプロジェクトでは、持続的な開発のためのモチベーション維持はもしかしたら収益化そのものよりも大事かもしれません。
OSSで食べていくまでは望まなくとも、お金を伴った応援というのは非常に力になります。(もちろんお金を伴わないメッセージもめちゃくちゃ嬉しいです。Marketplaceのレビューページをしょっちゅう覗いて高評価レビューを見てはホクホクしていますし、GitHubのstarが1個増えるたびに嬉しくなります。)
OSSの寄付募集・収益化というのは、ビジネスとしての継続性を獲得しているようなメジャーOSSに限ったものではなく、
個人の小規模サイドプロジェクトにおいても、ユーザの方々から応援していただくためのとても良い手段だと感じました。