3DプリンタでABSなどの素材を使うと第1層が剥がれ失敗するケースが多い。その原因は素材の熱収縮にある。
樹脂に限らず、ガラスや金属も熱がかかると膨張し、冷えると収縮する。その比率が違うのでプレートと印刷物のサイズが変わってしまい、はがれてしまう。
テストプリントで説明すると、1本の直線は横方向の収縮が大きいため、横に引く力が発生するが、それは両側から働く力であり、定着していると耐えやすい方向に平行になっている。
ところがブリムやスカートを印刷すると、いとも簡単にはがれてしまうことがある。それは横方向に収縮する力が、縦向きの棒を引き寄せてしまい、縦棒はいとも簡単にはがれてしまう。縦棒は横方向の力には弱い。だからブリムがはがれるときは角からはがれ始め、短い辺がはがれて浮いてしまう。
ではなぜラフトは耐えられるのか。それはラフトの第1層が同じ方向に揃っているから。これらは独立してそれぞれが収縮に耐えている。そして第2層が直角あるいは斜めに印刷される。これらは横方向の収縮によってわずかに位置が変わる可能性がある。しかし第2層が多少ずれたところで、定着には関与していないのだから、ここからはがれ始めることはない。
この上にさらに板状に印刷するが、それは印刷物と収縮率が変わらないため、変形があっても相対的位置変化が無視されるので、ラフトから印刷物が剥がれることもない。
ということで、はがれやすい材料にはラフトを付けるのが良い。
他にも、ホットプレートの温度を初期だけ高めに設定して途中で下げるのも良くない。せっかくうまく定着したのに、収縮を促進してはがれやすい状態になってしまう。