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MacのGrapherを回路設計の補助に使う

Last updated at Posted at 2025-02-20

背景

回路設計で使う遅延回路ですが、お手軽に遅延時間を設定するにはCRを使った時定数が便利です。
時間tと電圧Vの関係は、数式を知っていれば簡単で、

\displaylines{
V=E(1-e^{-\frac{1}{CR}t})\\
E:電源電圧
}

で表されます。
経験豊富(?)なエンジニアは、おおよそ電源電圧の0.63倍とか、0.36倍という数字で当たりをつけると思います。

マージンも考慮してこの程度の計算でカバーできるなら、これでOKですね。

しかし詳細な解析となると、ちゃんと計算をしなきゃいけないこともあります。
そんな時、Macに標準で入っているGrapherというアプリケーションがとても頼りになりますよ!

時定数をグラフ化してみる

例えば82KΩ、22uFの組み合わせでの回路の動作をGrapherで見てみます。
この時の時定数は

(82\times10^3)\times(22\times10^{-6})=1.804[sec]

で、使用する電源の電圧が29.2Vの場合、充電回路の数式は

\displaylines{
V=29.2(1-e^{-\frac{1}{1.804}t})\\
}

となります。
この数式をGrapherに入力し、グラフを書かせてみます。
わかりやすくするため、グラフの色は青に変えました。

スクリーンショット 2025-02-20 9.10.37.png

実際の回路の振る舞いをそのまま表せています。

お手軽に経過時間と電圧を知る方法

カーソルを動かして調べる

とりあえず、大まかに20Vに達する時間はどのくらいか...
これはグラフをクリック・ドラッグしてみればいいです。
その際、アクションをカーソルにしておきます。
青いグラフをクリックしてなぞって(ドラッグ)いくと、X軸とY軸の破線がカーソルに合わせて動きます。
それと同時に、ウィンドウの下にその時のXとYの値が表示されます。
スクリーンショット 2025-02-20 9.14.06.png

Yがおよそ20の時、Xは2なので、電圧が20Vに達する時間はおよそ2秒ということがわかります。

時間を数値で指定して電圧を調べる

入力した数式のxの値を入れてyの値を求めることもできます。
メニューバーの方程式から評価を選びます。

スクリーンショット 2025-02-20 9.22.50.png

xの値を探りながら入れて、実際は2.1秒くらいなんだろうな...ということがわかります。

正確に時間を知るには

これはちゃんと計算するしかありません。
時定数の式は電圧を求める式なので、逆に時間を求める式に変換します。
懐かしいですね...学生時代を思い出す方もいらっしゃるかと(笑)

t=-1.804ln(1-\frac{V}{E})

グラフを書かせると、こんな感じになります。
スクリーンショット 2025-02-20 9.29.05.png

このグラフで方程式評価をすればいいですね。
スクリーンショット 2025-02-20 9.30.33.png
充電電圧が20Vになるのは2.0836秒と正確に求められます。

Grapherの使いこなし

範囲指定のグラフ

この機能はGrapherのバグでクラッシュしてしまうことがありますが、とても便利です。

0<x<100

という範囲でグラフを書きたい...ということはありますよね。
その場合は条件を指定する数式を使います。

スクリーンショット 2025-02-20 9.35.50.png

条件の数は「2」にしてみました。
スクリーンショット 2025-02-20 9.40.09.png
上の書き方では、

  • xが0未満は0
  • xが5未満はグラフを描画

という意味です。
また、条件の書き方では&でAND条件が書けます。
スクリーンショット 2025-02-20 9.44.50.png
上記の例では二次関数を2<x<5の範囲で書きます。
Grapherの条件の数を2にしましたが、1もできるんじゃなかと思うのですが...
バグなのか仕様なのか、うまくいきませんね...

最後に

回路設計では指数関数、対数関数などを扱うことが多いです。
大抵は関数電卓で済んでしまうのですが、不具合の解析などで回路の動きを追うときには、やはりグラフ化して確認するのが視覚的にわかっていいです。
お客様に説明するときにも、大抵すぐに理解してもらえます。

Grapherのバグが直ることを期待しつつ、回路設計に従事している方は使ってみてはいかがでしょうか?

とても使いやすいですよ、これ!

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