はじめに
私が関わっているプロジェクトで今回はメール送信に Amazon SES(Simple Email Service) を利用していました。
しかし、API経由で送信する場合、「送信リクエストを受け付けた」ログしか残らず、実際にメールが送られたかどうか、バウンスしたかどうかの追跡が困難という課題がありました。
運用中、「このメールって本当に送信されたんですか?」と取引先から確認されることが増えてきました。そのたびに CloudWatch Logs を確認し、「エラーは出ていないので、おそらく送れていると思います……」と曖昧な返答をするしかありませんでした。
この状況を改善するために導入したのが、AWS VDM(Virtual Deliverability Manager) です。
VDM(Virtual Deliverability Manager)とは?
Virtual Deliverability Managerは、Amazon SESのメール送信に関する詳細な可視化・分析を提供してくれるサービスです。
VDMでは以下のような情報が取得できます:
- 開封(Open)やクリック(Click)のイベント
- バウンスや苦情(Complaint)のトラッキング
- ドメインごとの到達率や反応
- 配信レポートの生成(Dashboard)
これにより、SESで送信したメールが実際に届いているのかどうかを証明できるようになりました。
実際に導入して良かったこと
1. 「本当に送信されたのか?」という問いに即答できるようになった
以前は「送信APIを叩いたログしか残っていない」状態でしたが、VDM導入後は CloudWatch LogsやEventBridge経由で「配信済み」「バウンス済み」といった詳細情報をトレース可能になりました。
2. 配信状況のダッシュボードを使ってレポーティングが可能に
VDMでは、CloudWatchまたはSESコンソールにメール配信状況のダッシュボードが用意されています。
これにより、「1時間以内にどれくらい配信成功しているか」「どのドメインにバウンスが多いか」などの視点で分析・報告ができます。
料金について
詳細な料金については、以下の公式ページをご参照ください。
https://aws.amazon.com/jp/ses/pricing/
まとめ
VDMを導入したことで、以下のような運用上の改善が実現できました
- 「メールは送信されたのか?」という問いに証拠付きで答えられる
- 問題が起きたときのトラブルシュートが楽になる
- ダッシュボードで配信状況をリアルタイム把握できる
メール送信を業務の中で重要視している場合、SES + VDM構成はかなり心強い武器になります。導入自体も数ステップで完了するため、まだ導入していない場合は検討してみる価値があると感じました