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TL494でフィルタレスD級アンプ

Last updated at Posted at 2020-03-11

0.製作物

フィルタレスD級アンプというものを作りました。小型低消費電力なD級アンプです。なんとD級なのに出力にLCフィルタがありません! 変調回路にTL494を使いました。

1.D級アンプについて

オーディオアンプは音を増幅する機能を持っていて
マイクレベルからヘッドホンレベルにするマイクアンプや、スピーカを鳴らすパワーアンプなどがあります。
D級アンプは比較的電力消費の激しいパワーアンプに使うことで効果を発揮し、PWMにより音声信号をデジタル値で音を表現できます。
PWMforDclass.png
PWMをアナログ回路で実現するには、一般的に三角波比較方式が使われます。
1段目のグラフをご覧ください。
三角波比較方式は、搬送波である三角波と、変調波である入力波形(正弦波)を比較して、搬送波の電位より変調波の電位が高いときに出力をHigh,そうでないときは出力をLowにします。
2段目のグラフが出力波形(Vout+)です。
また、3段目の波形は2段目のグラフの反転波形(Vout-)です。

HbrifgeD.PNG
Hブリッジ(フルブリッジ)回路でスピーカを駆動する際、スピーカの両端に2段目、3段目の波形が印加されます。
スピーカにかかる電圧は
(Vout+)-(Vout-)
となり、結果として(±Vout)のPWM波形がスピーカに印加されることになります。

ここで入力波形(変調波)が無信号の時の動作を見てみましょう。
1段目のグラフから、0~0.25msecの期間、入力電圧は0Vです。
4段目のグラフを見ると、この際もスピーカにはDuty比50%の波形が印加され続けるため、
放射ノイズを常に出し続ける&無信号時も電力消費があるので、効率が悪くなってしまいます。
そのため、無信号時の出力を0Vにして、かつスピーカに正弦波を入れるためにLCフィルタを入れます。

しかし実際のLCフィルタは非線形成分であったり、高価であったり設計が難しい場合があります。
そこで出力のLCフィルタをなくしてやろうという試みがフィルタレスD級アンプです。小型低消費電力が求められる携帯電話等に現在も多く使用されています。

2.フィルタレスD級アンプについて

HbrifgeDles.PNG
TL494 Filter less D class Amplifier
まずはグラフをご覧ください。
1段目は搬送波、変調波1,2。
変調波1と2はそれぞれの振幅は等しく位相は反転の関係にしておきます。
2・3段目は変調波1,2それぞれのPWM出力です。それぞれVout1,Vout2としましょう。
4段目はスピーカに印加される出力です。(Vout1)-(Vout2)となります。

変調波が無信号の時、見事に出力電圧が0Vとなっているのが分かると思います。
これにより無信号時の消費電力・放射ノイズが削減され、フィルタなしで使っても大丈夫そうな感じになりました。
スピーカにPWMを入れていいのか?というお話ですが、小電力であれば問題ないらしいです。
まあ矩形波突っ込むので高調波出るのは当たり前ですしちょっと良くはなさそうですけどスピーカの周波数特性なんかを見るとそもそも搬送波ほどの高い周波数は通さない(スピーカはL成分が強い)のでフィルタなんか元々いらなかったんじゃないかと思う次第です?よくわかんないです。
なんか釈然としない説明になってしまいましたが精神衛生上無信号時に出力0Vなのは嬉しいのでよしとしましょう。

3.回路図

FilterLessDclassAmp.png

主に工夫したのは変調回路です。TL494を2つ使ってます。
PWMの生成時、それぞれ同じ搬送波に対して変調波1,2を入れてあげる必要がるのでRt,Ctを共通にしています。
変調波1,2は反転の関係ですので(上のグラフ参照)上側TL494は変調波をボルテージフォロワ。
下側TL494は変調波を1倍反転増幅回路で構成しています。
TL494のエラーアンプは正電圧に対して反応するのでバイアス電圧をかけてあげています。
抵抗分圧によるバイアス回路に追加されているダイオードは電圧を下げるようです。搬送波の最大値が約4Vなのでバイアス電圧はその半分の約2Vにすれば一番大きい変調波振幅に対応できます。
そのため基準電圧Vref=5Vからダイオードで約1Vの電圧降下を起こして抵抗分圧すれば大体2Vのバイアス電圧ができるかなと思ったわけです。

右側にごちゃごちゃしてるトランジスタの森はゲートドライバとHブリッジ(フルブリッジ)回路です。(ゲートドライバ在庫が切れたのであり合わせで作った感じです。)
スピードアップコンデンサとかは入れなくても動いたのでまあ良しとしましょう。
レベルシフタ、チャージポンプ、プッシュプルが理解できればこの回路もわかると思います。

4.製作

gatedrivernpn.jpg
ゲートドライバ

TL494moduladless.jpg
変調回路

PWMossilo.jpg
変調回路の波形

5.最後に

実際にできたものは製品には遠く及ばない代物です。
バイアス回路にスイッチングノイズが重畳してるためめっちゃノイズまみれ。
まあでも慣れれば意外と聴けます。スピーカユニット生置きだし意識が低いのバレバレですね。

結論

市販のICはすごい

という事です。アンプとかよくわかんない人は迷わずICを使いましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。

参考

http://www.kumikomi.net/archives/2003/07/13dkyu.php?page=10
https://toragi.cqpub.co.jp/Portals/0/backnumber/2008/03/p126-127.pdf

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