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GoogleのOR-Toolsで数理最適化モデルの練習問題を解く(1)一番易しいマス埋め問題

Last updated at Posted at 2020-02-03

はじめに

数理最適化についての参考テキスト「Pythonによる問題解決シリーズ データ分析ライブラリーを用いた最適化モデルの作り方」の練習問題を解きます。
本書はPythonのツールPuLPが使用されていますが、ここでは、Googleのフリーツール「OR-Tools」を使用します。

■Googleのフリーツール「OR-Tools」
https://developers.google.com/optimization

■参考テキスト
「Pythonによる問題解決シリーズ データ分析ライブラリーを用いた最適化モデルの作り方」
 斉藤努[著]
 近代科学社[出版]
001.jpg

準備

プログラムを実行する環境を準備します。
環境は以下としました。

環境
Python 3.6.8
ortools 7.2.6977
pandas 0.23.4

GoogleのOR-Toolsは以下のコマンドでインストールします。
pip install --upgrade --user ortools

インストールについて、Googleの解説ページがこちらにあります。
https://developers.google.com/optimization/install

一番易しいマス埋め問題

参考テキストに出てくる練習問題の1番目です。

:speech_balloon: 問題

7.1.問題
1x1マスに、1から3の数字のいずれか1つを入れることを考える。
制約条件は「1マスの数字の合計が2である」とする。
1マスに入る数字は何か?

:question: 考え方

当該の1x1マスに入る数字が1なのか、2なのか、3なのか、それぞれの場合(3パターン)でYesまたはNoを判断する3つの変数を考えます。

これらの変数を左から順にVar1,Var2,Var3と定義します。
それぞれの変数は0(Noの場合)または1(Yesの場合)をとると定義します。
(0まはた1のみを取る変数を0-1変数、またはバイナリー変数と呼びます)

Var1,Var2,Var3の各変数がどんな値を取りうるか、その条件を考えながら解法を探ります。
(上記の条件を制約条件と呼びます)

:a: 解答

制約条件を考えます。

制約条件①
1マスに整数は一つしか入らないので、Var1,Var2,Var3の値は以下のいずれかのパターンになることが分かります。

Var1 Var2 Var3 条件
1 0 0 1マスに1が入っている条件
0 1 0 1マスに2が入っている条件
0 0 1 1マスに3が入っている条件

よって、上記の表から以下を導くことができます。
Var1 + Var2 + Var3 = 1

制約条件②
制約条件①では、1マスにいずれか一つの数字が入るという条件を定義できました。
ここでは、1マスの数字の合計が2であるという条件を定義します。

1マスの数字の合計は以下の式で表すことができます。
1 x Var1 + 2 x Var2 + 3 x Var3

検証してみます。

1マスの数字が1の場合は、数字の合計を表す式は以下のように示すことができます。
1 x 1 + 2 x 0 + 3 x 0
これを満たすのはVar1=1,Var2=0,Var3=0の場合です。

1マスの数字が2の場合は、数字の合計を表す式は以下のように示すことができます。
1 x 0 + 2 x 1 + 0 x 3
これを満たすのはVar1=0,Var2=1,Var3=0の場合です。

同様に1マスの数字が3の場合は、数字の合計を表す式は以下のように示すことができます。
1 x 0 + 2 x 0 + 3 x 1
これを満たすのはVar1=0,Var2=0,Var3=1の場合です。

よって、1マスの数字の合計が2となる制約条件式について、以下を導くことができます。
1 x Var1 + 2 x Var2 + 3 x Var3 = 2

以上で制約条件が決定しました。

プログラムを検討します。
プログラムの記載内容については、基本的にGoogleのOR-Toolsのガイドに沿っています。
(https://developers.google.com/optimization)

プログラムの冒頭におまじないを書きます。

7.1.renshu.py
from __future__ import print_function
from ortools.linear_solver import pywraplp

この問題は整数解を扱う問題ですが、目的関数はありません。
混合整数計画問題に近い問題で、混合整数計画ソルバーで解いてみます。

以下に宣言します。

7.1.renshu.py
# Create the mip solver with the CBC backend.
solver = pywraplp.Solver('simple_mip_program',
                             pywraplp.Solver.CBC_MIXED_INTEGER_PROGRAMMING)

Var1,Var2,Var3はマイナス値を取らない条件を付けます。

7.1.renshu.py
# Var1,Var2,Var3についての非負条件(マイナス値でないこと)
Var1 = solver.IntVar(0.0, 1, 'Var1')
Var2 = solver.IntVar(0.0, 1, 'Var2')
Var3 = solver.IntVar(0.0, 1, 'Var3')

制約条件①を定義します。

7.1.renshu.py
solver.Add(Var1 + Var2 + Var3 == 1)

制約条件①を定義します。

7.1.renshu.py
solver.Add(1 * Var1 + 2 * Var2 + 3 * Var3 == 2)

制約条件を定義後、計算を実行し解を求めます。

7.1.renshu.py
status = solver.Solve()

最後に結果を確認します。
解が存在する場合は、statusの値がpywraplp.Solver.OPTIMALとなります。
変数.solution_value()で各変数の値を取得します。

7.1.renshu.py
if status == pywraplp.Solver.OPTIMAL:
    print('Solution Done! The result is below.')
    print('Var1=',Var1.solution_value())
    print('Var2=',Var2.solution_value())
    print('Var3=',Var3.solution_value())
else:
    print('Unsolved the problems.')

今回の計算の結果、解は以下となりました。

Solution Done! The result is below.
Var1 = 0.0
Var2 = 1.0
Var3 = 0.0

よって、問題の答えが数字の2であることがわかりました。

以下にプログラムの全体を記載します。

7.1.renshu.py
from __future__ import print_function
from ortools.linear_solver import pywraplp

# Create the mip solver with the CBC backend.
solver = pywraplp.Solver('simple_mip_program',
                             pywraplp.Solver.CBC_MIXED_INTEGER_PROGRAMMING)

# Var1,Var2,Var3についての非負条件(マイナス値でないこと)
Var1 = solver.IntVar(0.0, 1, 'Var1')
Var2 = solver.IntVar(0.0, 1, 'Var2')
Var3 = solver.IntVar(0.0, 1, 'Var3')

# 制約条件(1)
solver.Add(Var1 + Var2 + Var3 == 1)

# 制約条件(2)
solver.Add(1 * Var1 + 2 * Var2 + 3 * Var3 == 2)

# 計算実行
status = solver.Solve()

# 結果確認
if status == pywraplp.Solver.OPTIMAL:
    print('Solution Done! The result is below.')
    print('Var1=',Var1.solution_value())
    print('Var2=',Var2.solution_value())
    print('Var3=',Var3.solution_value())
else:
    print('Unsolved the problems.')

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