はじめに
先日、AWS認定資格を受験してきた。せっかくやるなら英語で受験すれば、AWSも英語も身に着けることができるので、一石二鳥なのではないかという安直な考えから、英語で試験を予約し、勢いで受験してきたのだが、一連の受験体験がとても良かったので、共有したいと思う。
今回受験したのは、SAP, DVA, DBSの3つの試験である。1週間に1つの資格を取得するペースで3週間で受験してきた。いずれの試験も英語で受験を行った。
AWS認定試験に限らず、ITベンダー資格には英語受験の機会が設けられている。以降の章では、資格の種別を問わず、英語受験する際に共通するメリットを挙げているが、AWS認定試験の受験体験を前提とした記となっている点に留意いただきたい。
経歴
- Slerでサラリーマンみたいなことしてるので技術的なことはそこまで詳しくない
- SAAを2年前に取得済み 1
- AWSの経験は少しある 2
- 英語の構文は何となく理解している 3
- 直近で多少の業務経験を積むことができたので自分の実力を試したかったこと、また純粋にAWSに興味があり、スキルの幅出しを行いたかったことから受験をすることにした。
英語受験の何が良いのか?
本番で問題を解くのが楽になる
AWS公式ドキュメントもそうだが、試験問題の日本語の表現が分かりづらいという意見を見聞きする。自分は直近で英語受験しかしていないため、日本語の試験状況を把握しておらず、今は実際に改善されているのかもしれないが、英語の方が表面的な訳出が行われず、本来の問題文を把握しやすい傾向にあると考える。
実用的な英語を習得できる
1問の文章量は問題によって増減するが、そこまで大差ない。Professional系、Specilaist系の資格は設問次第で、問題文と選択式回答項目の文章量を合わせるとテストセンターの15インチ程度のPC画面のサイズに収まりきらず、スクロールする必要がある程度のボリュームである。
また問題文の中で登場する人物の置かれた状況や背景、命じられたタスクを正確に理解し、適切な回答を選ぶ必要があるが、細かな条件の記載を見落とさないように用心するとか、出題者の意図を汲み取るとか、そうした神経を使う様な所作は必要ない問題となっている認識である。
そのため適度なボリュームで、純粋にシステム構成やサービスの仕組みを英語で学習することができるのである。学習を継続すると自然と英語も習得できている。以下は自分が学習する中で面白いなと思った箇所の一例である。
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Encrypt data at rest and in transit
保管中と転送中のデータの暗号化という意味であるが、AWSの問題文中に頻出の表現である。読めば何を言っているのかは理解できるが、なるほど、'at rest and in trainsit' という表現になるのは知らなかった。語呂も良いし、好きな表現だなと思ったりした。 -
Three tier Arachitecture
3層アーキテクチャの「層」って「レイヤー」だと思ってた。自分の英語力不足で「層」って単語を聞いたときに "Layer" を連想する脳になっていた。でも確かに3層アーキテクチャの層は "tier" なんだよな。
層とレイヤーは同じではありません。 「レイヤー」とは、ソフトウェアの機能部を指しますが、「層」とは、他の部分から分離してインフラストラクチャーで実行されるソフトウェアの機能部を指します。 例えば、電話の連絡先アプリは、3レイヤー・アプリケーションですが、3つのレイヤーがすべてその電話上で機能するため、1層のアプリケーションです。
強制的に英語を学習できる
本番試験を英語で予約してしまえば、それに向けて、必死に英語で情報収集し、サービスの特性を理解し、問題を解くといった学習に繋がる。本番試験においてSOA、Professional系、Speciality系の試験は180分の長丁場になるが、3時間かけて英語の問題文を読み、解答し続けるという読解力と集中力を手にすることができる。またそうした訓練とその結果を通じて、自身の英語に対する自信を着けることにも繋がる。試験の学習後、英語に対する抵抗感が激減していることに自分でも驚くだろう。
ちなみに外資ITベンダー資格はいつでもオンラインで予約し、受講が可能である。いつでも自身の置かれた状況や体調を言い訳にいくらでも着手を先延ばしすることができるのだ。自分の怠慢さを理解している人は「締切駆動」で強制的に自分を奮い立たせているのを観測している。締切駆動は簡単に言えば、先に試験の予約さえすれば、自ずとそれに向けて必要な勉強時間を確保する様になることである。これは予約時の言語選択にも同じことが言える。英語で予約してしまえば、強制的に英語をやらざるを得ない状況にすることができるのである。
なお英語で締切駆動する場合、自分の力量を押し測るのが難しくなるので、実際にサンプル問題等を解いて、自分の英語力とAWSに対する理解度を確かめた上で、実行することをオススメする。
参考教材・問題集が豊富にある
書籍やオンライン講座が有料で質の良いものもあれば、無料で手軽にサクッと学習できるものが多い。
- AWS公式のサンプル問題
- AWS公式のオンライン講座やYoutubeチャンネル
- Udemy オンライン講座 / 問題集
自分は上記に加えて「AWS 2022」で検索するとトップに表示されるこのシリーズを受講した。各試験に対して試験対象範囲のサービスを説明する講座と問題集がそれぞれある。特に専門知識系の資格の講座は日本語だとほとんどないため、合格体験記等を見る限り、普通に日本語で受験する方にも重宝されているように思う。
- Tutorials Dojo
海外の場合、Tutorials Dojoがよく使われている。問題を多く解きたい場合にはオススメ。
英語のスコアレポートが取得できる
AWS認定試験を英語で受験するとスコアレポートが英語になる。ちょっとした達成感を味わうことができる。バッジや通知等、そのほかに言語で違いが出るものはない。
過去に日本語で取得したSAAのスコアレポート
今回英語で取得したSAPのスコアレポート
試験時間を30分間延長することができる
AWS認定試験をネイティブでない方が受験する場合、30分間延長することが可能だ。
@smatsumt さんから教えていただきました。貴重な情報をありがとうございます。
試験登録前に1度のみ事前申請が必要になる点にご注意ください。
オススメの学習方法
人それぞれで向き不向きがあると思うので、参考程度にしてほしい。自分自身、自分に合った適切な学習方法を模索中であるため、オススメの方法があれば教えてほしいと思っている。以下に自分の学習ステップを記載する。
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試験範囲 / 範囲外を確認する
AWSの公式に試験ガイドがあるので目を通す。試験対象の分野、サービス名、試験対象外のサービス名までしっかり書かれているので、確認しておくことをオススメする。 -
概要を掴む
スマホでYoutube上の特定サービスに関する動画を早送りで見る。既に理解してる箇所が多かったり、反対に全然仕組みが理解できないなと感じた時には、公式の資料を自分のペースで読み込むようにしている。本記事の最下部に記載するがグラレコで概要を把握するのもオススメである。
活字が好きなので、基本的には本を読みたい気持ちが常にあるが、AWSは情報量が膨大で更新も早いため、ウェブ上の情報を積極的に活用することにしている。 -
問題を解く
問題集について、Udemyは英語の講座や問題集が豊富にあるので、その中から人気のものを選べば外れはないと思う。Udemy以外にも有料でしっかりしたものや無料で模擬問題を提供する英語のサイトがあったので、費用や自分のレベルに合ったものを選ぶのが良い。日本では通称黒本と呼ばれるkoiwaとか、海外では通称TDと呼ばれるTutorials Dojoが人気であるが、別に問題を解いて振り返ることができれば何でも良いと思う。 -
復習する
復習は間違えた箇所を確認し、AWSのWhite PapersやDeveloper Guides等で詳細な仕様や周辺情報まで確認を行う。FAQやTroubleshootingを確認し、よく発生する問題や対処を抑えておくことで、サービスの詳細な扱い方を学ぶのもとても良い。
参考
グラレコ
取っ掛かりを掴むのに有効だ。イメージが付きにくい時に全体像を把握するのに活用できる。
書籍
AWS関連の書籍、本当に多い。最近本屋に行ってビックリした。ざっといくつか立ち読みしたが、個人的には以下の書籍が信頼できるなと感じた。どうしても本で要点抑えて、網羅的に学習したい人にはオススメ。
NRIネットコムさんの書籍は良書が多い認識。特に要点整理から攻略する『AWS認定 データベース・専門知識』は良さそうだった。もしUdemy受講前なら購入していただろう。
AWSの基本・仕組み・重要用語が全部わかる教科書は、レベルが高いなと感じた書籍。本当にこれ一つで多種多様なサービスの要旨を掴むことができると思う。似たような表紙のAWS本があるので購入の際には注意が必要。
ウェブ
みんながお世話になってるやつ。クラメソさんのDevelopersIO。AWS公式ドキュメントが分かりづらい時、さっと概要を掴みたい時によく見る。
サーバーワークスエンジニアブログもとても参考になる記事が多く、自分もよく参考にさせてもらっている。