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Azure Storage:Premium SSD はシングルスレッド書き込みが苦手?

Last updated at Posted at 2020-11-20

概要

  • AzureとvSphereでIOベンチマークを比較
  • AzureとvSphereでデータベース処理を比較
  • データベースの工夫 on Azure Storage

はじめに

前回はAzure Premium SSDのキャッシュなしと読み取りキャッシュの違いをデータベースの観点から調査しました。今回はAzureとVMware vSphereでIOの違いを調査したいと思います。

Azure Premium SSDとデータベースとキャッシュ

比較する環境

Azureを2環境、vSphereを1環境の合計3環境で比較しました。Azureの違いはデータディスクが単一ディスク複数ディスクでストライピング(RAID0) かだけで他は同じです。vSphereはオンプレミスで一般的な仮想環境になります。

Azure-1
Instance DS4v2 (CPU:8 Memory:28GB)
S10 (Standard SSD 128GB 500IOPS) Cache:ReadWrite OS Disk
P40 (Premium SSD 2TB 7,500IOPS) Cache:ReadOnly Data Disk
Windows Server 2016
IBM Db2 V11.1
Azure-2
Instance DS4v2 (CPU:8 Memory:28GB)
S10 (Standard SSD 128GB 500IOPS) Cache:ReadWrite OS Disk
P30 (Premium SSD 1TB 5,000IOPS)×4 Cache:ReadOnly Data Disk
Windows Server 2016
IBM Db2 V11.1
vSphere
VMware vSphere 6 (Xeon E5-2620 Hyper-Threading:on)
SAS共有ストレージ 600GB(15K)×8 RAID6
GuestVM CPU:8vCPU Memory:8GB Disk:1,300GB
Windows Server 2012
IBM Db2 V10.5

SAS:Serial Attached SCSI

IOベンチマーク

CrystalDiskMark 7でIOPSを測定しました。Azure-1がデータディスクが 単体ディスク 、Azure-2が ストライピング(RAID0) です。Qは待ち行列数、Tはスレッド数になり、Q8T1ですと待ち行列数が8、スレッド数が1になります。

IOPS Azure-1 Azure-2 vSphere 評価
SEQ1M Q8T1 Read 128.79 257.40 656.22 Azure-2 << vSphere
SEQ1M Q8T1 Write 127.60 256.38 481.45 Azure-2 < vSphere
SEQ1M Q1T1 Read 128.81 257.39 324.54 Azure-2 < vSphere
SEQ1M Q1T1 Write 42.60 74.40 257.02 Azure-2 <<< vSphere
RND4K Q32T16 Read 16484.62 32970.70 39069.82 Azure-2 < vSphere
RND4K Q32T16 Write 8087.40 22403.81 20116.46 Azure-2 > vSphere
RND4K Q1T1 Read 11048.83 11454.35 4499.27 Azure-2 >> vSphere
RND4K Q1T1 Write 385.74 415.04 2324.71 Azure-2 <<<<< vSphere

Azure-2vSphereを比較し、2倍以上の差がついたものは太字にしています。SEQ1M Q8T1 Readは2倍の差、 SEQ1M Q1T1 Writeは3倍の差、RND4K Q1T1 Writeは5倍の差vSphereが勝っています。逆にRND4K Q1T1 Readは2倍の差Azureが勝っています。 また、スループットもIOPSと変わらない結果になりました。

スループットの詳細
MB/s Azure-1 Azure-2 vSphere 評価
SEQ1M Q8T1 Read 135.04 269.91 688.096 Azure-2 << vSphere
SEQ1M Q8T1 Write 133.79 268.83 504.839 Azure-2 < vSphere
SEQ1M Q1T1 Read 135.07 269.89 340.300 Azure-2 < vSphere
SEQ1M Q1T1 Write 44.67 78.01 269.500 Azure-2 <<< vSphere
RND4K Q32T16 Read 67.52 135.05 160.030 Azure-2 < vSphere
RND4K Q32T16 Write 33.13 91.77 82.397 Azure-2 > vSphere
RND4K Q1T1 Read 45.26 46.92 18.429 Azure-2 >> vSphere
RND4K Q1T1 Write 1.58 1.70 9.522 Azure-2 <<<<< vSphere

また、Azure-1(単体ディスク)とAzure-2(ストライピング)を比較すると、RND4K Q32T16 WriteがAzure公式に近いIOPSの結果になりました。

ケース ベンチマーク Azure公式 ディスクサイズ
Azure-1 8087.40 7500 P40(7500)×1
Azure-2 22403.81 20000 P30(5000)×4

Azureで利用できるディスクの種類

先ほどのベンチマークでAzureはシングルスレッド書き込みのパフォーマンスが低いという結果になりました。 ただ、Azureのケースが両方とも読み取り専用キャッシュでした。書き込みはキャッシュなしの方がパフォーマンスが高いとAzure公式にあるのでキャッシュなしも比較してみます。
Azure-2Nがキャッシュなし、Azure-2Rが読み取り専用キャッシュです。どちらもAzure-2をベースとして他のリソースは同じです。

IOPS Azure-2N Azure-2R vSphere 評価
SEQ1M Q8T1 Read 372.39 257.40 656.22 None < vSphere
SEQ1M Q8T1 Write 374.34 256.38 481.45 None < vSphere
SEQ1M Q1T1 Read 29.40 257.39 324.54 None <^10< vSphere
SEQ1M Q1T1 Write 84.01 74.40 257.02 None <<< vSphere
RND4K Q32T16 Read 21091.06 32970.70 39069.82 None < vSphere
RND4K Q32T16 Write 20510.50 22403.81 20116.46 None > vSphere
RND4K Q1T1 Read 100.59 11454.35 4499.27 None <^43< vSphere
RND4K Q1T1 Write 440.43 415.04 2324.71 None <<<<< vSphere

キャッシュなし(Azure-2N(None))とvSphereを比較し、2倍以上の差がついたものは太字にしています。書き込み速度は若干向上した程度で 大勢は変わらず、 読み取り速度でvSphereに大差をつけられる結果になりました。やはり、Azure Premium SSD はシングルスレッド書き込みが苦手のようです。

データベースでのパフォーマンスの違い

データベースはDb2を使用しています。OLTPアプリは対話型で照会の割合が多いものを人間が操作して評価しています。数値による評価ではなく申し訳ないです。インポートは274個のテーブルをファイルから取り込む時間を計測しています。DBバックアップはバックアップファイルの大きさが35GBです。
OLTP:Online Transaction Processing

Azure-2 vSphere 評価
OLTPアプリ vSphereと同じ 普通 Azure-2 = vSphere
インポート 10分 6分 Azure-2 < vSphere
DBバックアップ 1時間54分 34分 Azure-2 <<< vSphere

OLTPアプリの応答速度には大きな違いはありませんでした。インポートはvSphereが優れます。DBバックアップは3倍の差vSphereが勝っています。 SEQ1M Q8T1 ReadとSEQ1M Q1T1 Writeの結果がそのままDBバックアップの時間の差になっています。

データベースの工夫 on Azure Storage

vSphereで稼働していたデータベースをそのままAzureに移行するとインポート、DBバックアップ等、シーケンシャルな処理が遅いということがわかりました。特にDBバックアップは時間が3倍以上かかります。34分が1時間54分かかるとさすがに文句が出そうですので工夫してみます。ここではバックアップ処理を並列化できないかを検討します。Db2ですとテーブルを配置するテーブルスペース(TS)を分散させるとバックアップの並列度が上がります。

Azure-2(TS分散前) Azure-2(TS分散後) vSphere(TS分散前)
DBバックアップ 1時間54分 16分 34分

TSを適切に分散させると並列度が上がり速度が劇的に向上しました。当然、並列度はvCPUの数に影響を受けます。

まとめ

評価

Azure Premium SSD はシングルスレッド処理、特に書き込みが苦手のようです。Db2の場合、それがインポート、DBバックアップに影響します。OLTPアプリがvSphereと変わらない応答速度なのは小さなデータ(主に4KB)の読み取り処理が大半ですので、RND4K Q1T1 ReadのIOPSに依存するからだと考えます。前回の記事でキャッシュなしのRND4K Q1T1 ReadがIOPSが低く、それがOLTPアプリの応答速度が低下につながることからもわかります。

Azure Storage公式

公式には「Azure では、超並列のプラットフォームとして Premium Storage が設計されました。 そのため、マルチスレッド アプリケーションは、シングルスレッド アプリケーションよりもはるかに高いパフォーマンスを実現します。 マルチスレッド アプリケーションでは、タスクを複数のスレッドに分割し、VM とディスクのリソースを最大限に活用することで実行効率を高めます。」とあります。

Azure Premium Storage: 高パフォーマンス用に設計する

考察

DBバックアップは並列度を上げることで処理時間を短縮することができました。大量のデータをインポート、バックアップする場合は処理の並列化を検討する必要があります。

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