##はじめに
Rubyをつくったまつもとゆきひろさん(通称:Matzさん)がサポーターズでエンジニアの市場価値に関して講演されていたので内容を記録していきます。
##市場価値が上がると起きる良いこと
市場価値が上がると自分にどんなメリットがあるのか。
それは「ストレスをなくせる」ということ。
もし今、ストレスを抱えたまま仕事をしていたとする。
その人に市場価値があり、その自覚を持っていれば仕事をいつでも辞めれるという心の余裕が持てるし実際に辞めても仕事を獲得できる。
その人に市場価値がなければ自分にはこの仕事しかないんだと感じてストレスから逃げられなくなる。
##では、市場価値とは何か
市場価値の定義で誤ってしまいがちなことは
「市場価値=自分の価値」と思ってしまうことである。
例えば単なるスキルや知識、コネクションは市場価値と強い結びつきはない。
市場価値とは結局は「他人からの評価」なのである。
人を選ぶ側は投資と同じでよく知らないものにはリスクを感じて投資しない。
それを踏まえるとどうすれば「市場価値=他人からの評価」を上げられるのか。
##市場価値を上げるには
まずは自分を見る視点を変えて「他人からの目」を意識することが大切。
採用する側はどんな人を取りたいかを考える。
そして自分はどんな人に評価されたいのかを考える。
その人は自分の目指す方向を尊重してくれるのか。
もしその条件にあてはまったら次はその人を良く知る。
人を良く知るためにも日ごろから他人を見下さず侮らないことが大切。
人には様々な点がありその優れた点を尊重する姿勢を持つこと。
相手を尊重しつつも卑下はせず嘘をつかずに事実は認める。
そしてWinWinの関係でいるのかを考える。
双方にメリットがない場合はNoDeal(取引をしない)という選択をする。
他人からの評価はコントロールできないが相手にとって魅力的に見せるにはどうすればいいのか。
##自分を魅力的に見せるには
一番大事なことは「情報発信」をするということ。
発信せずに自分の魅力を相手に知らせたり見つけてもらうのは不可能。
Twitter、Qiita、Quora、GitHubを活用して自分の魅力を感じてもらおう。
自分の興味や自分の傾向を分析しストックしておく。
##自分の魅力って何だろう
人の魅力はどう磨かれていくのか。
それは「他人とは違うことをすること」である。
日本には他人と同じことをしなければ、できなければならないという同調圧力がある。
この同調圧力に鈍感にならなければならない。
つまり人と同じことをしているとその人は交換可能な部品としてしか見られなくなる。
この場合、人材を部品として扱われ企業と対等でWinWinな関係を築くことが難しくなる。
人と違う部分を伸ばしその多様性や自由を尊重してくれる組織で働こう。
人と違うことをするために自分の得意で好きなことを棚卸していくつも掛け合わせていこう。
その点は2つあれば線になり、3つあれば面となる。
##Matzさんの場合はどうしていたのか
会社で働いていたころ時間に余裕があったため関心の追求からRubyをつくった。
それは世界を良くしようとかいうきっかけではなくあくまで利己的な行動であった。
そして自身は理系の出身ではあるが数学は苦手であり国語が得意であった。
さらに海外のカンファレンスなどで英語で話す機会が増えて英語力を高めていった。
さらに好きな心理学を学び、これらを組み合わせてプログラミング言語デザイナーの仕事にもつながった。
まさにスティーブジョブズの有名なスピーチにある「connecting dots」を体現していたのである。
組み合わせは強力な武器となるのである。
##人的魅力
Matzさんは空港でうどんを食べているとき隣の女性がうどんを前にした時、とびきりの
笑顔を見せたそうだ。
その時Matzさんはとても心惹かれたようである。。。。
気分はコントロール可能な要素なのでいつでもご機嫌でいよう。
笑顔でいればポジティブな気分になれるはずである。
またどうすれば魅力的な話ができるのか。
それは「物語の力」を意識することだ。
ストーリーで語られる話は人を惹きつける。
まさに前述のうどん屋の女性の話がそうである。
自分の身に起きた話を具体的なエピソードとして話すために
日ごろからメモをして記録しよう。
そしてそのエピソードが失敗を乗り越えた体験を伴った場合、
採用においても強力な武器となりうる。
どんな問題が発生して自分はそれをどのように考えて解決していったのかという
エピソードは採用担当者を惹きつける。
Matzさん自身は高校生の頃はそれほど話をするタイプではなかったがいろんな場で話をする機会が増えてそれが一つの武器となり、ドットの一つとなった。
以上です!!
番外編として質疑応答も書いていきます。(一部略)
##番外編:質疑応答
Q:コンピュータサイエンスは学んだほうがいいのか
A:新しい仕組みやフレームワークをつくるなら学んだほうがいいが必須ではない。
学べる機会があるなら学んだほうがいい。
Q:プログラミング学習で文法をひととおりやった後の学習法は
A:他人のソースコードを読む。
自分が評価されたい人にどんな成果が有効であるか、説得力を増してくれるものを
作る。
Q:どんな人が優秀か
A:目的を達成できる人
価値を創造することを期限内に終わらせられる。
最後までやり切ってくれる人はやはり信頼できる。
Q:目に見えるポートフォリオなどがつくりにくいインフラエンジニアなどはどのようにアピールすればいいのか
A:先ほど話に出たようにストーリを語る。
問題解決のストーリが話せれば伝わる
Q:大学院に行くべきかどうか
A:その後のキャリアにつながるのならいった方がいいし単なるモノトリアムになるならやめたほうがいい
Q:数学は必須であるのか
A:得意でなくてもいいができる範囲は広がる。
例えば機械学習の分野などでは必須である。
Q:一緒に働きたくない人は
A:前向きに仕事をしない。
問題をポジティブにとらえずあきらめてしまう。
機嫌が悪い人。
Q:上流工程の方が市場価値が高くなっていないか
A:SIerではどうしてもそうなる
それがいやならWebサービスをつくる企業に行くと企画と開発が対等な立場だから働きやすい。
Q:レガシーな言語について
A:逆に価値があっがている。
そもそも言語選ぶ際に平均年収とかランキングではなく
自分ならこの言語でもこのくらい稼げるというのが大事
Q:フリーランスの働き方
A:あまり好きじゃない。
自営業なので勘定などをアウトソースできずに開発に集中できない。
開発にも集中できて給与も高い会社が理想。
Q:新卒1年で辞めるのはもったいないのか
A:ストレスがひどいならすぐ辞めたほうがいい
体は壊すのは短期間でも直すのに何年もかかったりする。
人生を無駄にしてしまうなら辞めたほうがいい。
個人的に三年務めるのは長い。
Q:どんな若手が伸びそうか
A:受け手にならず自分で調べて試して問題解決できる人。待つ人はつらい。
Q:人と違うことは孤独に感じないのか
A:その感受性がない人の方がいい
Q:エンジニアに自頭は関係あるのか
A:弱い相関はあるが大学のレベルとかはあまり関係ない
学力ではなく考えることが好きであるならいい
考えたり論理的に考えたくない人は向かない
Q:SIerでの生存戦略はあるのか
A:上流だとコード書いたことない人が設計をやったり管理をしたりする。
そういう構造に巻き込まれるのは対等ではないし市場価値が高まりにくい。