AWS CloudFormationテンプレートで、SecurityGroupルールの CidrIp
指定についてちょっと誤解してたので、メモ。
対象範囲指定がないとルールが作成されない
「AWS::EC2::SecurityGroup Ingress - AWS CloudFormation」を見ると CidrIp
は省略可能(Required: No)となっています。ここで、省略すればAWSコンソールでいうところの「任意のIP」(0.0.0.0/0
と::0
)になるのかな、と思ったのが私の勘違い。
CidrIp
The IPv4 address range, in CIDR format.
Required: No
Type: String
Update requires: No interruption
実際には「 CidrIp
を含むいくつかのパラメータのうち1つを必ず指定しなければいけない」とIngressルールのドキュメント先頭近くに書かれています。
You must specify only one of the following properties:
CidrIp
,CidrIpv6
,SourcePrefixListId
,SourceSecurityGroupId
, orSourceSecurityGroupName
.
(AWS::EC2::SecurityGroup Ingress - AWS CloudFormation)
Egressルールのドキュメントにも類似のどれか一つ指定必須の注意書きがあり、こちらにははっきりと「これらのパラメータのうち一つを指定しなかった場合、スタックの作成には成功しますが、ルールはセキュリティグループに追加されません」と付記されていました。
You must specify a destination security group (
DestinationPrefixListId
orDestinationSecurityGroupId
) or a CIDR range (CidrIp
orCidrIpv6
). If you do not specify one of these parameters, the stack will launch successfully but the rule will not be added to the security group.
(AWS::EC2::SecurityGroupEgress - AWS CloudFormation)
つまりほかのパラメータも指定していない状態で「省略すれば『任意のIP』になる」という期待は的外れで、このルールが作成されません。
省略と !Ref "AWS::NoValue" と "0.0.0.0/0"
実際に次のようなCloudFormationテンプレートで、スタックを作成してみました。 IsRemoteAccessCIDR
は今回 false
になるようにスタック作成時のパラメータを指定しています。このため各プロトコルに対するルールで、 CidrIp
は以下が指定されたことになります。
プロトコル | FromPort | CidrIP |
---|---|---|
SSH ingress | 22 | "0.0.0.0/0" |
RDP ingress | 3389 | !Ref "AWS::NoValue" |
NICE DCV ingress | 8443 | (指定省略) |
EC2SecurityGroup:
Type: AWS::EC2::SecurityGroup
Properties:
GroupDescription: EC2SecurityGroup
VpcId: !Ref VPC
SecurityGroupIngress:
-
IpProtocol: tcp
FromPort: 22
ToPort: 22
CidrIp: !If [IsRemoteAccessCIDR, !Ref RemoteAccessCIDR, "0.0.0.0/0"]
Description: "SSH ingress"
-
IpProtocol: tcp
FromPort: 3389
ToPort: 3389
CidrIp: !If [IsRemoteAccessCIDR, !Ref RemoteAccessCIDR, !Ref "AWS::NoValue"]
Description: "RDP ingress"
-
IpProtocol: tcp
FromPort: 8443
ToPort: 8443
Description: "NICE DCV ingress"
作成されたセキュリティグループのインバウンドルールは CidrIp
に 0.0.0.0/0
を指定したSSHのルールだけが作成されており、 !Ref "AWS::NoValue"
を指定したRDPと指定を省略したNICE DCV用のルールは作成されていませんでした。
指定時と省略時の動作はドキュメントの記載通り、 !Ref "AWS::NoValue"
指定時も、これは「指定すると、対応するリソースプロパティを削除」するので省略時と同等になり、ドキュメントの記載通りの動作でした。