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CentOS Stream 9 のカスタマイズ

Last updated at Posted at 2024-11-21

CentOS Stream 9 をデスクトップ用途に使う人は多くないでしょうが、主に日本語にかかわるカスタマイズと、キー入力絡みのトラブルへの対処を紹介していきます。

CentOS Stream 9 は時期によって 9.0, 9.1, 9.2, ... と微妙に変化していきます。初期には整備不足も見受けられました。また、Stream 9 はキー入力に問題をいくつも抱えています。

レポジトリの追加とカスタマイズツールの導入

初期状態ではレポジトリがまったく足りませんので、以下のコマンドで追加します。crb というのは CodeReady Linux Builder の省略形で、絶対に必要です。epel は追加パッケージを提供して、日本語関連には必須です。epel-next は RHEL には不要で CentOS Stream には必要なようです。
初期(CentOS Stream 9.1 あたりまで?)は最初の2行は不要であったと思います。RHEL には必要だったのですが、CentOS にも混入したのでしょうか。

sudo dnf remove -y subscription-manager
sudo dnf config-manager --set-enabled crb
sudo dnf install -y epel-release epel-next-release

そして tweaks などのカスタマイズツールを導入しておきます。標準の設定ツールでは省略された項目の操作ができます。

sudo dnf install -y gnome-tweaks dconf-editor gnome-extensions-app

日本語関連の設定

nkf は必須です。日本語入力は anthy が標準ですが、EPEL で配布される mozc に入れ替えるほうがいいでしょう。

sudo dnf install -y nkf mozc ibus-mozc vl-gothic-fonts-all

今では不要ですが、初期には xrefresh パッケージが用意されてなくて、mozc の導入に失敗するので、Fedora から借用する必要がありました。その際は次のコマンドでした。

sudo dnf install -y https://kojipkgs.fedoraproject.org/packages/xrefresh/1.0.7/3.fc38/x86_64/xrefresh-1.0.7-3.fc38.x86_64.rpm

そして個人設定です。「設定」→「Keyboard」の入力ソースの「+」をクリックして追加します。「日本語 (Mozc)」を選べばいいでしょう。

いつの頃からか「日本語 (Mozc:A_)」「日本語 (Mozc:あ)」の選択肢も増えました。:A_:あ は初期(ログイン直後?)の入力モードを表しているようです。「日本語 (Mozc)」は、選択肢が増える前は :あ の動きをしていた記憶がありますが、今は :A_ の動きと同じです。(他に違いがあるのかはわかりません。)

vl-gothic-fontsgnome-tweaks コマンドで tweaks を起動して、「フォント」→「等幅フォント」に「VL ゴシック regular」を登録するのがよいと思うのですが、好みがあると思います。

Gnome Terminal では、「設定」のプロファイルの「互換性」で、「曖昧幅の文字」を「全角」にしておくと、矢印などの記号が全角幅になります。日本語にはこのほうが都合良いでしょう。

キーボード・マウス関連のカスタマイズ

Caps Lock を Ctrl に

gnome-tweaks コマンドで tweaks を起動して、「キーボードとマウス」→「追加のレイアウトオプション」→「Ctrl position」の「Caps Lock」をCtrlとして扱う」にチェックを入れます。

すぐ上のオプションに、同じ効果のありそうな「Caps Lock behavior」→「Make Caps Lock an additional Ctrl」がありますが、チェック状態は連動してないようです。どちらがよいのかわかりません。

効果が現れるのは、次にログインするときです。

Ctrl と Caps Lock を入れ替える人も多いとは思いますが、私は Caps Lock がなくなって困ったことはないので、両方とも Ctrl にしています。

変換・無変換 も Ctrl に

私は emacs キーバインドに魂を売ったので、^P や ^N を片手で打つために、変換・無変換も Ctrl に割り当てたいのですが、さすがに tweaks にもこのカスタマイズ項目はありません。そこで、システムファイルを書き換えてしまいます。上の Caps Lock のカスタマイズが、レイアウトの差分として定義されているので、これに便乗することにします。

--- /usr/share/X11/xkb/symbols/ctrl.cent9
+++ /usr/share/X11/xkb/symbols/ctrl
@@ -2,7 +2,9 @@
 partial modifier_keys
 xkb_symbols "nocaps" {
     replace key <CAPS> { [ Control_L, Control_L ] };
-    modifier_map  Control { <CAPS>, <LCTL> };
+    replace key <MUHE> { [ Control_L, Control_L ] };
+    replace key <HENK> { [ Control_R, Control_R ] };
+    modifier_map  Control { <CAPS>, <LCTL>, <RCTL>, <HENK>, <MUHE> };
 };
 
 // Make the left Ctrl key a left Meta.

効果が現れるのは、次にログインするときです。

IME の切り替えを確定的にする

半角/全角 キーは、IME (Input Method Editor) のオンオフをトグル動作で切り替えますから、例えばID・パスワードのように、今からアスキー文字を入力するとわかっていても、半角/全角 を押すのかは状況次第、画面を見なければわかりません。

この点で ひらがな キーは確定的と言えます。それまでの状況とは無関係に、確実に IME がオン(ひらがな入力)になります。Mozc だけでなく、Windows のGoogle日本語入力などでも同じ動きをしますから、日本語変換したいときには無意識に ひらがな を押す習慣をつけておいてもよさそうです。

それならアスキー文字を入力する場面では、無条件に ひらがな 半角/全角 の2つを順に押してもいいのですが、個人的には 半角/全角 をカスタマイズして IME OFF にしています。
mozcで全角半角キーをIME無効化に割り当てる

mouse の sloppy focus と不具合対策

マウスによるフォーカス移動の挙動を、伝統的な X11 の手法に戻している人も多いでしょう。tweaks の「ウィンドウ」→「ウィンドウフォーカス」を「ホバーでフォーカスを当てる」です。日本語訳は hover になっていますが、sloppy の単語もよく見かけます。クリックせずに(つまり最前面にウィンドウが来なくても)マウスの移動だけでフォーカスが切り替わります。

Windows や、近頃の Gnome のディフォルトは「クリックでフォーカスを当てる」です。これだと、半分隠れているウィンドウにはどうやってもキー入力ができないので、不便だと思うのですが、見た目のわかりやすさが優先されているのでしょうか。
ちなみに、「モーダルダイアログを親ウィンドウに結び付ける」も、Windowsの挙動を Gnome のディフォルトが真似をしたように見えて、不便になったと感じています。

sloopy.png

ところが sloppy にしていると、今度はキー操作でのフォーカス移動が(ほぼ)役立たなくなります。本来は、Alt+Tab でウィンドウを切り替えると、sloppy にしていても、止まっているマウスにはフォーカス移動しません。マウスを操作して、初めてフォーカス移動が起こりました。しかしバグ(?)のため、マウス操作をせずとも、数秒のうちにフォーカスが移動してしまいます。(直後でないところが、いやらしいところです。)

このことは Gnome のバグレポート Alt+Tab broken for 'sloppy' focus mode on Wayland に報告があって、Gnome 46 では直りそうです。それまでの回避策には、次の Gnome 拡張が役立ちます。

  1. https://github.com/buzztaiki/gnome-shell-extension-alt-tab-move-mouse から ZIP をダウンロードして、展開して、make install を実行します。
  2. ログインしなおします。
  3. gnome-extensions コマンドで 拡張機能 を起動して、「Alt-Tab Move Mouse」を有効にします。

これでフォーカス移動したウィンドウの中心に、マウスカーソルが強制的に移動して、それ以上のフォーカス移動が起こらなくなります。JS で数行の簡単なものですが、マウスを見失わないので、却って便利かもしれません。

トラックボールのスクロール

TrackMan Marble というトラックボールを愛用しています。左右対称で、スクロールボタンもついているモデルです。

数年前までは入手できていました が、2024年には本当に販売終了したようです。

Linux でスクロールの機能を使うには、昔は X11 の設定ファイルを書き換える必要がありましたが、今は Gnome の設定変更ですみます。dconf editor を起動して
org.gnome.desktop.peripherals.trackballscroll-wheel-emulation-button を探して、「ディフォルト値を使用する」を無効にしてから、「カスタム値」に 8(左小ボタン=右手用)か 9(右小ボタン=左手用)を選びます。動作には即座に反映されます。
trackball

キー入力のトラブル

対処方法が完全にわかっているわけではありませんが、直せる場合もあります。

Ctrl の押しっぱなし

不意に、Ctrl を押してないのに、常に Ctrl を押しているかのような動きになることがあります。ログインしなおせば直ります。頻度が高い(1日1回程度)ので、ログアウトせずに直したいところですが、まだ対処しきれていません。Shift キーでも起こったこともありますが、何度も dnf update をしてきて、頻度が下がったような気もしています。

右Alt が効かない

右Alt は、Alt+でブラウザの戻るボタンに相当しますから、利用頻度が高いと思います。これが無反応になることがあります。このコンビネーションだけでなく、右Alt 自体が反応しなくなります。(キーボードによっては省略されていて、使っていない人も一定数いそうですが。)

元に戻すには、gnome-tweaks コマンドで tweaks を起動して、「キーボードとマウス」→「追加のレイアウトオプション」→「Key to choose the 3rd level」で 右Alt が選ばれているはずなので、チェックを外して、ログインしなおします。(ただし、恒久対策としては弱点があります。)

なぜこんなことになるか、ですが、https://gitlab.gnome.org/GNOME/gnome-control-center/-/issues/918 で「GUI設計バグ」と指摘があります。2ヶ所のGUIの設定項目が、裏でつながっていて、そのその片方が簡略化されすぎていています。

  1. 「設定」→「Keyboard」→「代替文字キー」の設定では、割当なしにはできない。
    3rd level key
  2. tweaks→「キーボードとマウス」→「追加のレイアウトオプション」→「Key to choose the 3rd level」では複数のキーが選べるし、割当なしにもできる。
  3. 上記の 1. と 2. は連動している。そして、この設定が反映されるのは次にログインしたとき。
  4. 上記の 1. のディフォルトは 右Alt だが、この項目を表示したときに設定されて、表示してないうちは割当なしの動作をする。

つまり、元々割当なしだったところに、1. の設定を見てしまうと 右Alt が設定され、次にログインしたときに発動していたのです。不用意に「設定」→「Keyboard」を見てはいけないということになりますが、それでは危険すぎます。恒久対策としては、使わないキーがあれば(右Super = 右Windowsでも)無駄に割り当てておくほうが安全でしょう。

Linux(X11? Gnome?)では Windows キーは Super キーと表記されるのだそうです(https://help.gnome.org/users/gnome-help/stable/keyboard-key-super.html.ja)。

GNOME 3.35 から始まった、簡単に直せる不具合が 40.4.0 にもなって放置されているのが解せません。

Windows キーでアクティビティにならない

アクティビティは Gnome でも重要な機能ですから、常に右上隅にボタンがあったり、マウスを右上隅に移動するだけで発動するなど、複数の手段があります。Windows キーもそのひとつですが、不意に効かなくなることがあります。頻度は低いのですが、個人設定として記憶され、ログアウト→ログインしなおしても戻らないこともあります。

「設定」→「アクセシビリティ」→「タイピング支援」→①「固定キー」がオンになっていると効かないのは仕様のようです。その上の項目に②「キーボードから有効化できるようにする」があることから、特定のキーコンビネーションでオンになることも仕様のようです。初期設定では、①②どちらもオフですが、バグか何かで固定キー機能が(不十分に?)発動しているのでしょうか、①「固定キー」を「オン」「オフ」と切り替えると、元に戻ったことがあります。
固定キーとキーボードから有効化できるようにする
ちなみに、アクティビティをどのキーで呼び出すかは「設定」→「Keyboard」→「Customize Shortcuts」→「システム」でカスタマイズできて、ディフォルトは Alt+F1 になっています。しかし、単独の WindowsSuper と表記される)はここには見当たらず、どこかでハードコーディングされている雰囲気です。

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