先月リリースされたiOS11。
未だOSの分布でいうと5%程度のようですが、iOS10と同じ曲線を辿れば半年ほどで8割以上の使用率となるので各事業者は対応を迫られています。
すいません、誤表記で5日前で55%に達したらしいです。
そんな中でも(特に広告業界にとっては)大きなリリースとなった機能がSafariブラウザのITP対応です。
ITPとは、Intelligent Tracking Preventionの略です。
日本の端末では、サイトごえトラッキングを防ぐと訳されていますが意味としては
一度自動車などに興味があって広告からWebサイトを見た場合に、その後他のサイトでも自動車の広告が出続けるといったリターゲティング広告のようなサイトを跨ってユーザーの閲覧履歴が情報として使われることを防止するためにappleが準備した機能になります。
さて、この記事ではITPおよび広告について考えつつ初歩の部分から簡単におさらいしてみたいと思います。
Cookie?おいしいの?
上記で例にあげたリターゲティング広告を含む、自分のwebブラウザ上での行動を基にしたターゲティング広告とはそもそもどのように実現しているのでしょうか。
それは、Cookieと言う自分がどのページを見たのか、どのような行動をしたのかをブラウザ側に保持するための情報です。
HTTP cookie(エイチティーティーピークッキー、単にクッキーとも表記される)は、RFC 6265などで定義されたHTTPにおけるウェブサーバとウェブブラウザ間で状態を管理する通信プロトコル、またそこで用いられるウェブブラウザに保存された情報のことを指す。ユーザ識別やセッション管理を実現する目的などに利用される。
- ウィキペディアより
身近に使われ方としてはログイン状態の保持のために使われますね。
TwitterやGmailなど1度ブラウザでログインした際に、有効期限のあるCookieがブラウザに付与されます。
すると別タブでTwitterを開いたりブラウザを閉じたあとにGmailを開いたりしてもログインしたままになり、いちいちログインし直さなくてすみます。
ブラウザの設定などでCookieを削除すると再度ログインページが表示されるのがわかると思います。
事業者目線でいえばこのクッキーを1度ユーザーのブラウザに付与することによって、以後ページを見た人物が同一人物であるかどうかを判断することができます。
これによって、Yahooなどのメディアサイトを訪れたユーザーが自動車のWebサイトを好んで訪れているということを広告事業者は把握することができ、自動車の広告をターゲティングして表示させたり、広告をクリックした人が実際にその商品を購入したかというコンバージョン測定ができたりします。
Cookieシンクといわれる技術でメディアで発行されたCookieと事業者の所有するCookieを結びつけてユーザーの詳細な情報を事業者側が得るケースもあります。
appleの考えとしては、広告事業者のような第三者組織がユーザーの閲覧情報や個人情報を取得しそれを利用しているのを非常に嫌っています。
たしかに自分がどんなエッチなサイトを見ているかよくわからない企業に知られていたら嫌ですよね・・・。
ITP機能と3rd Party Cookie
こんな経緯から、appleではiOS7(Safari7)以降第三者組織が付与するCookieについては1度そのWebサイトを訪れたことのあるユーザーにしか付与することができないという設定がデフォルトとなっていました。
この第三者組織のCookieは3rd Party Cookieと呼ばれ、見ているページが付与する1st Party Cookieとは明確に区別されています。
この機能自体はfirefoxなどの他のブラウザでもデフォルト設定になっており、悪質なサイトのCookieを防ぐことができています。
しかし、広告事業者はリダイレクトやWebBeaconといった仕組みを使ってブラウザが1度そのドメインを訪れたことがある状態にしCookieを付与させることできています。
(これについては余り深くしらないので他のサイトを検索してみてネ)
しかし、今回iOS11(Safari11)で追加された機能であるITP機能は3rd Party Cookieにかんしては問答無用で有効期限を24時間にします。
つまり広告事業者はiOS11のユーザーに対して見ているユーザーがどの人物かがわからなくなり、ターゲティングすることは難しくなりコンバージョン測定も発行後24時間以内で行わないと出来ない状態になるわけですね。
GoogleのITP対応
GoogleはこのITP機能に対して、Google Analytics(ユーザー分析ツール)をGoogle Adwards(広告表示ツール)と連携することを促すことで対策しています。
回避できる理由としては、Google Analyticsは1st Party Cookieを取得しているからです。
GoogleAnalyticsのCookieは、なぜサードパーティCookieではなく、ファーストパーティCookieなのか?
http://nexal.jp/blogs/2061.html
しかし、Googleのような対応作はメディア側にCookieを発行してもらわなければならないためどのサイトに出るかわからない広告事業者は残念ながら真似することはできません。
まとめ
今後、appleを中心にさらにWebサイト上での個人情報についての議論や対策が出てくると思われます。
しかし、広告事業者にとってはユーザーの情報は生命線です。広告の価値を高めるためには、ユーザーの分析は必須ですからね。
appleと広告事業者の戦いは今に始まったことではありませんが、ITPでさらに加速していくでしょう。