はじめに
ロボットに心を実装したいと、みんな悩んでいると思います。
そこで、今回は仏教の側面から、心の実装について考えます。
仏教といっても釈迦(紀元前5世紀)以降に、各時代に各国で天才たちがいろいろな概念を加えて、膨大で複雑です。
シンプルに行きたいので、「釈迦の悟り」そのままである初期仏教を考えます。
初期仏教は、思いの外、整合性がとれていると感じます。「無明」はすごい。
釈迦は何と言ったか 無常、無我、無明
釈迦はつぎの3つを言いました(根本的な理念)。
「無常(むじょう)」 生滅変化してうつりかわり、しばしも同じ状態に留まらないこと
「無我(むが)」 あらゆる事物は現象として生成しているだけであり、それ自体を根拠づける不変的な本質は存在しない
「無明(むみょう)」 真理に暗いこと、智慧の光に照らされていない状態
これらを順に、心の実装の観点から見ていきましょう。
無常
これは、生活実感にも合います。心の実装の観点からも特にコメントはありません。
つきつめると、物理的には瞬間の単位であるプランク時間$(5.391×10^{-44}秒)$で、プランク長$(1.6×10^{-35}m)$程度の「超ひも」が変化している。
無我
(1)これは、生活実感に合わないです。個人的には、自我の存在はリアリティがありすぎます。
(2)無我が正しいとすると、心も無さそうなので、その実装は不可能です。
(3)「実装に向けた心の定義ができない。心を実装したといわれても、その判定方法が不明」
という現在の状況は、心が無いことと整合しているようにも見えます。
心が実装できたかの判定は、チューリングテストのような、各個人の主観的判断しかない気もします。
無明
(1)無明は真理に暗いことですが、この「真理」とは、上記の「無常」「無我」を指すようです。無明は宗教の話で、無知は学問の話らしい。
(2)実際には心が無いのに、無明により、自分自身に心があるように勘違いしている!
この勘違いが、心にリアリティがある理由です。
(3)ロボットへの心の実装を考えると、無明をロボットに実装すればよいことになる?
ロボット自身に無明を実装して、心があると勘違いさせればよい。
話としては整合性があるように思えます。
ロボットに勘違いを実装する方法は不明です。
人は、どうやって勘違できたんだろう?
闘いはこれからだ!
今後にむけて
つぎのキーワードが気になる。時間を作って調べていきたい。
## 龍樹(りゅうじゅ) 2世紀に生まれたインド仏教の僧
「空」の理論を体系化した、天才のようです。
名前も格好良い。松任谷由実をかけながら「龍樹の伝言」を聞きたい。
## 華厳経(けごんぎょう) 4世紀頃の大乗仏教経典
あらゆるものは自性(事物をそのものたらしめている本来的な不変の性質。本性。本質)はなく、ものの間の関係の束のみが存在する。(無自性=空 のようです)
割り切っていて、シンプルで良いです。実装向きか。
機械学習 word2vec のベースである、単語意味の分布仮説(Distributional hypothesis)
「単語の意味はその単語が出現した際の周囲の単語によって決まる」の、すなおな拡張になっている?
ちなみに、奈良の東大寺大仏は「華厳経」に説かれる盧舎那仏という名の仏のようです。
## 禅(ぜん) 大乗仏教の一派である禅宗 釈迦の悟りを体験することが目標
「不立文字」 文字・言葉の上には真実の仏法がない。体験によって伝えるものこそ真髄であるという。体験第一。
このため禅宗では中心的経典がないようです。
禅はつねに具体的な事実を扱い、一般論には流れない。
抽象的(文字の世界)な一般論を扱うものではないらしい。実装向きではない?
自己(=実在)を知ろうと問うことは、「問う者」と「問い」に自己を分離させる。
しかし、問の答えは、分離以前のそのものから出てこなければいけない。
問いは分離の後に生まれ、分離以前には問いはなかった。このため、当然、答えはない。
論理が格好良い気がする。釈迦の悟りを体験してみたい。
禅と関係がある有名人
元アップルCEOのスティーブ・ジョブスは、禅に傾倒した仏教徒らしい。
結婚式は曹洞宗の禅僧、乙川さんに取り仕切ってもらったようです。
安倍首相は臨済宗国泰寺派の禅寺「全生庵」に、足を運んでいるようです。
江戸無血開城で活躍した、山岡鉄舟が建立した、禅寺です。
日本禅宗25流
日本の禅宗で有名なのは、つぎの2つのようです。
曹洞宗 道元 只管打坐 永平寺(福井県)正法眼蔵
臨済宗 栄西 公案禅 多くの派がある
おわりに
仏教は、新鮮でおもしろいです。坐禅もしたいし、公案も気になる。
仏教や哲学をベースにした、ものづくりをしてみたい。
欧米との差別化にもなるし、資本主義、成長主義、競争社会を乗り越えられるかも。
禅の心「吾唯知足」で幸せになろう。めざせ、前人未到!
参考情報
https://ja.wikipedia.org/wiki/無常
https://ja.wikipedia.org/wiki/無我
https://ja.wikipedia.org/wiki/無明
https://ja.wikipedia.org/wiki/初期仏教
https://ja.wikipedia.org/wiki/釈迦
https://ja.wikipedia.org/wiki/龍樹
https://ja.wikipedia.org/wiki/華厳経
https://ja.wikipedia.org/wiki/禅
https://ja.wikipedia.org/wiki/スティーブ・ジョブズ
禅 (ちくま文庫) 文庫 – 1987/9/1 鈴木 大拙 http://amzn.asia/d/5v5gDYH