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オイラー=ラグランジュ方程式とニュートン運動方程式の相互導出

Last updated at Posted at 2023-12-07

はじめに

こんにちは、清水です。意識のモデル化に興味があります。
そこで、物理で外界をどのように数式でモデル化しているかを知るために、つぎの輪読会を行っている。
「一般相対性理論を一歩一歩数式で理解する」 2017 石井俊全
この中で「第1章 §17 変分法」にてオイラー=ラグランジュ方程式が出てくる。

オイラー=ラグランジュ方程式は汎関数の停留値を与える関数を求める微分方程式である。
ニュートンの運動方程式をより数学的に洗練したものであり、物理学上最も重要な方程式の一つである。そこでオイラー=ラグランジュ方程式とニュートンの運動方程式を相方向に導出してみました。

オイラー=ラグランジュ方程式は、物理学における最大の指導原理の一つである最小作用の原理から導かれる。
これは、運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの差を与える関数をラグランジアンと呼び、ラグランジアンの時間積分を作用と呼ぶとき、物理現象は作用を最小化(厳密には極小化)するように動くことを主張する原理である。 オイラー=ラグランジュ方程式は、最小作用の原理を満たす物体の軌跡を変分法で求める事によって導出された方程式である。

オイラー=ラグランジュ方程式

${\displaystyle\frac{d}{dx}(\frac{\partial F(x,y,y')}{\partial {y'}})-\frac{\partial F(x,y,y')}{\partial {y}}=0}$

簡潔にしてつぎのように書く
${\displaystyle\frac{d}{dx}F_{y'}-F_y=0}$

この方程式はつぎの名前でも呼ばれる。

  • オイラーの微分方程式
  • オイラー方程式 (完全流体に関する運動方程式の名もオイラー方程式と呼ばれる)
  • ラグランジュ方程式
  • ラグランジュの運動方程式

準備

ラグランジアン

$t$を時刻、$x$を位置、$x'$を速度とする。
ラグランジアン$L(t,x,x')$を(運動エネルギー$T$- 位置エネルギー$U$)とする。
位置エネルギー$U$は、位置スカラーポテンシャルとも呼ばれる。
${\displaystyle L(t,x(t),x'(t))=T(x'(t))-U(x(t))}$
${\displaystyle T(x'(t))=\frac{1}{2}m {x'(t)}^2}$

$L$を$x'$と$x$で偏微分すると
${\displaystyle\frac{\partial L}{\partial x'}=\frac{\partial T(x')}{\partial x'}=m {x'}}$      (1)

${\displaystyle\frac{\partial L}{\partial x}=-\frac{\partial U(x)}{\partial x}}$      (2)

ニュートンの運動方程式  

$m$を質量、$a$を加速度、$F$を力、$x$を位置、$U$を位置エネルギー(位置スカラーポテンシャル)とするとニュートンの運動方程式はつぎのようになる。
$ma=F$

ベクトル場$F$をスカラーポテンシャル$U$で記述すると
${\displaystyle F(x(t))=-\nabla U(x(t))=-\frac{\partial U(x(t))}{\partial x(t)}}$

これをニュートンの運動方程式に代入するとつぎのようになる。
${\displaystyle mx''=-\frac{\partial U(x(t))}{\partial x(t)}}$
左辺の2回微分を変形すると
${\displaystyle \frac{d }{d t}mx'=-\frac{\partial U(x(t))}{\partial x(t)}}$      (3)

ニュートンの運動方程式からオイラー=ラグランジュ方程式を導く

ニュートンの運動方程式(3)に(1)(2)を代入すると
${\displaystyle \frac{d }{d t}\frac{\partial L}{\partial x'}=\frac{\partial L}{\partial x}}$

右辺を移行するとつぎのようにオイラー=ラグランジュ方程式となる。
${\displaystyle \frac{d}{d t}\frac{\partial L}{\partial x'}-\frac{\partial L}{\partial x}=0}$

オイラー=ラグランジュ方程式からニュートンの運動方程式を導く

逆方向の導出を行う。
オイラー=ラグランジュ方程式
${\displaystyle \frac{d}{d t}\frac{\partial L}{\partial x'}-\frac{\partial L}{\partial x}=0}$

移行して
${\displaystyle \frac{d }{d t}\frac{\partial L}{\partial x'}=\frac{\partial L}{\partial x}}$

(1)(2)を代入すると
${\displaystyle \frac{d }{d t}mx'=-\frac{\partial U(x(t))}{\partial x(t)}}$
変形すると
${\displaystyle mx''=-\frac{\partial U(x(t))}{\partial x(t)}}$
$ma=F$

参考資料

一般相対性理論を一歩一歩数式で理解する 第1章 §17 変分法 2017 石井俊全

ラグランジュの運動方程式 物理のかぎしっぽ
https://hooktail.sub.jp/analytic/equationOfLagrange/
 
https://ja.wikipedia.org/wiki/オイラー=ラグランジュ方程式

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