はじめに
AWSを組織で利用する場合、ほとんどの場合、コストレポート、あるいはコストダッシュボードを利用すると思います。
大まかに以下のいずれかの方法で実装することが一般的です。
- データエクスポート(旧CUR) + QuickSight ➡ 最も簡単に実装可能、特別な要件がなければこれで十分
- 必要なコストデータをGlueなどのテーブルに取得 + QuickSight ➡ 仕組みを自分で実装する必要があるが、様々な要件に対応可能
- 自前のコストダッシュボード/コストレポート ➡ 最も柔軟だが、難易度が高い
今回はダッシュボードには触れませんが、QuickSightで実装している場合、レポートはQuickSightの機能でメール通知が一般的かと思います。
しかし、組織が大きくなってきた場合に、CCoE(全体のコスト責任者)では一元管理には限界があるため、システムごとにコストの責任者を立てて、それぞれの責任者にコストレポートを送信します。
各担当者はAWSのコストについて専門外であることも多く、コストが上がってしまった際の対処法がわからないケースもあります。
そこで、コストレポート送信時に、生成AIを活用して、コストが上がってしまっている要因や注視すべきリソースをレコメンドするものを作成しました。
コストレポート
このコストレポートは前月と前々月を比較したサマリレポートです。
各アカウントごとのサンプルレポート(コストデータマスキング済み)
各システムのコスト責任者に以下のようなメールを送ります。
コスト責任者は、内容を確認し、想定通りかどうか、妥当性があるかを確認します。
AWS コスト分析レポート: 2025年06月 vs 2025年07月
________________________________
📋 目次
1. エグゼクティブサマリー
2. サービス別コスト分析
3. 使用タイプ別コスト分析
4. アラートと推奨事項
5. サービスカテゴリ別分析
6. コスト最適化の推奨事項
7. 可視化ダッシュボード
________________________________
🎯 エグゼクティブサマリー
主要指標
| 指標 | 値 |
|------|-----|
| 2025年06月 総コスト | $***.** |
| 2025年07月 総コスト | $***.** |
| コスト変化 | 📈 $+**.** (+14.1%) |
| トレンド | 増加 |
📊 サービス別コスト分析
💰 総コスト比較
| 項目 | 金額 |
|------|------|
| 2025年06月 | $***.** |
| 2025年07月 | $***.** |
| 差額 | $+**.** (+14.1%) |
📈 コスト増加上位5サービス
| サービス名 | コスト増加額 | 変化率 |
|------------|-------------|--------|
| Amazon Relational Database Service | +$**.** | +192.7% |
| EC2 - Other | +$**.** | +462.1% |
| AWS Config | +$**.** | +185.7% |
| Claude Sonnet 4 (Amazon Bedrock Edition) | +$**.** | +230.4% |
| Amazon Virtual Private Cloud | +$**.** | +20.4% |
📉 コスト削減上位5サービス
| サービス名 | コスト削減額 | 変化率 |
|------------|-------------|--------|
| Claude 3.5 Sonnet (Amazon Bedrock Edition) | $-***.** | -97.9% |
| AWS Cost Explorer | $-*.** | -85.3% |
| Amazon API Gateway | $-*.** | -98.0% |
| Amazon Bedrock | $-*.** | -54.2% |
| AmazonCloudWatch | $-*.** | -6.7% |
💸 高コストサービス(2025年07月)
| 順位 | サービス名 | コスト | 全体に占める割合 |
|------|------------|--------|------------------|
| 1 | Amazon Virtual Private Cloud | $**.** | 16.6% |
| 2 | AWS WAF | $**.** | 12.7% |
| 3 | Amazon Relational Database Service | $**.** | 10.9% |
| 4 | AWS Amplify | $**.** | 9.0% |
| 5 | EC2 - Other | $**.** | 7.6% |
| 6 | AWS Config | $**.** | 7.4% |
| 7 | AWS Security Hub | $**.** | 7.0% |
| 8 | AWS Support (Developer) | $**.** | 5.6% |
| 9 | Amazon Elastic Compute Cloud - Compute | $**.** | 5.2% |
| 10 | Claude Sonnet 4 (Amazon Bedrock Edition) | $**.** | 4.9% |
📊 使用タイプ別コスト分析
💰 使用タイプ別総コスト
| 項目 | 金額 |
|------|------|
| 2025年06月 | $***.** |
| 2025年07月 | $***.** |
| 差額 | $-*.** |
💸 高コスト使用タイプ(2025年07月)
| 順位 | 使用タイプ | コスト | 全体に占める割合 |
|------|------------|--------|------------------|
| 1 | APN1-TransitGateway-Hours | $**.** | 11.2% |
| 2 | APN1-AmplifyWAF | $**.** | 9.7% |
| 3 | NoUsageType | $**.** | 6.4% |
| 4 | Global-WebACLV2 | $**.** | 6.1% |
| 5 | APN1-PaidComplianceCheck | $**.** | 5.7% |
| 6 | APN1-VpcEndpoint-Hours | $**.** | 5.7% |
| 7 | APN1-ConfigurationItemRecorded | $**.** | 5.1% |
| 8 | USE1-MP:USE1_InputTokenCount-Units | $**.** | 4.4% |
| 9 | APN1-BoxUsage:t3.small | $**.** | 4.4% |
| 10 | APN1-WebACLV2 | $**.** | 4.3% |
🚨 アラートと推奨事項
⚠️ 大幅なコスト増加の検出
| サービス名 | 変化率 | 増加額 |
|------------|--------|--------|
| AWS App Runner | +98.0% | +$*.** |
| AWS Config | +185.7% | +$**.** |
| Amazon DynamoDB | +65.0% | +$*.** |
| EC2 - Other | +462.1% | +$**.** |
| Amazon Relational Database Service | +192.7% | +$**.** |
| Claude Sonnet 4 (Amazon Bedrock Edition) | +230.4% | +$**.** |
📊 サービスカテゴリ別分析
📋 カテゴリ別コスト比較
| カテゴリ | 前月コスト | 今月コスト | 変化率 |
|----------|------------|------------|--------|
| Other 📈 | $***.** | $***.** | +42.1% |
| Security 📈 | $**.** | $***.** | +27.0% |
| Compute 📈 | $**.** | $**.** | +123.4% |
| Monitoring 📈 | $**.** | $**.** | +162.1% |
| AI/ML 📉 | $***.** | $**.** | -77.4% |
| Storage 📈 | $**.** | $**.** | +3.3% |
| Database 📈 | $*.** | $*.** | +65.0% |
| Serverless 📈 | $*.** | $*.** | +133.3% |
| Networking 📉 | $*.** | $*.** | -97.7% |
📝 結論とアクションアイテム
🎯 主要な発見事項
- 📈 総コストが14.1%増加($+**.**)
- 🔍 Monitoringカテゴリで最大の変化(+162.1%)
- 🆕 4個の新規サービスが利用開始
- 💸 Amazon Virtual Private Cloudが最高コスト(全体の16.6%)
________________________________
📊 レポート情報
- 作成日時: 2025年08月05日 00:03:17
- 分析期間: 2025年06月 vs 2025年07月
- 総サービス数: 45
- 総使用タイプ数: 290
このレポートは自動生成されました。詳細な分析が必要な場合は、個別にお問い合わせください。
============ 以下はAIによって生成された分析結果です。必ずしも正しくないことに留意してください ============
📊 エグゼクティブサマリー
総コスト変化: +$**.** (+14.1%)
主要トレンド: RDS、EC2、AWS Configの急増
注意領域: Compute & Monitoringカテゴリ
最適化ポテンシャル: VPC、WAF、RDSの効率化
🚨 クリティカルアラート
- EC2 - Other: 462.1%増加 (+$**.**) - リソース使用の急激な拡大を示唆
- Amazon RDS: 192.7%増加 (+$**.**) - データベース利用の大幅な拡大
- AWS Config: 185.7%増加 (+$**.**) - コンプライアンスチェックの増加
- Monitoringカテゴリ: 162.1%増加 - 監視活動の大幅な拡大
📈 詳細分析
| サービス | コスト変化 | 変化率 |
|----------|------------|--------|
| Amazon RDS | +$**.** | +192.7% |
| EC2 - Other | +$**.** | +462.1% |
| AWS Config | +$**.** | +185.7% |
| Claude 3.5 Sonnet | -$***.** | -97.9% |
- Compute: 123.4%増加 - EC2とApp Runnerの利用拡大
- Monitoring: 162.1%増加 - AWS Configの大幅な使用増加
- AI/ML: 77.4%減少 - Claude 3.5からClaude 4への移行
💡 推奨アクション
- 即時実行: EC2インスタンスの使用状況を確認し、不要なリソースを特定・停止
- 短期(1ヶ月以内): RDSの使用パターンを分析し、リザーブドインスタンスの購入を検討
- 長期(3ヶ月以内): AWS Configルールの見直しと最適化、必要最小限の設定に調整
📊 モニタリング推奨
- EC2 使用率: CPU使用率、ネットワークI/Oを日次でモニタリング
- RDS パフォーマンス: クエリ実行時間、接続数を週次でチェック
- AWS Config: ルール実行回数と検出されたリソース数を月次で確認
🎯 次回レポートでの確認事項
- EC2リソース最適化後のコスト削減効果
- RDSのリザーブドインスタンス購入による影響
- AWS Configルール最適化後のコスト変化
- AI/MLサービス(Claude)の使用パターンと効率性
AI分析レポート | 生成日時: 2025-08-05 00:03:17 | このレポートは機械学習により自動生成されました
実際のHTMLメールは以下のようなイメージです。
組織全体のサンプルレポート
各アカウントごとのレポートとは別に、アカウントをトリアージュしたコストレポートをCCoE向けに送ります。
CCoEはこのレポートを確認して、重大な問題がある場合、そのアカウントのコストレポートを確認し、必要に応じて、コスト責任者に確認を行います。
コスト分析結果
非常に重大なコストの問題あり
アカウント名(ID) | 総コスト | 増加率 | サマリ |
---|---|---|---|
[アカウント名A](********) | $***. | 45.7% |
重要: コスト大幅増加検出 コストサマリー - 総コスト: $.** → $.** (+45.7%) - 主要増加: Amazon GuardDuty +$. (+3854.5%) - 最高コスト: Amazon GuardDuty $. (19.3%) 詳細変化 - 異常増加: 1. CloudWatch Events +109997100% (+$.** ) 2. Amazon GuardDuty +3854.5% (+$. ) 3. Amazon Elastic Container Service +252.4% (+$. ) - カテゴリ別: Security +583.8% 即座の対応が必要 1. Amazon GuardDutyの設定と使用状況を緊急確認 2. CloudWatch Eventsの異常な増加を調査 3. VPCエンドポイントの使用状況と必要性を見直し |
[アカウント名B](********) | $***. | 258.22% |
重要: コスト大幅増加検出 コストサマリー - 総コスト: $. → $. (+258.2%) - 主要増加: Savings Plans for AWS Compute usage +$. (+100%) - 最高コスト: Savings Plans for AWS Compute usage $. (79.4%) 詳細変化 - 異常増加: Savings Plans for AWS Compute usage +100% (+$***. ) - カテゴリ別: Compute +1082.3% 即座の対応が必要 - Savings Plans for AWS Compute usageの詳細確認と最適化 - Taxの急増理由の調査 - RDSの使用状況変化の確認と最適化 |
[アカウント名C](********) | $****.** | 36.61% |
重要: コスト大幅増加検出 コストサマリー - 総コスト: $.** → $.** (+36.6%) - 主要増加: Amazon WorkSpaces +$. (+40.8%) - 最高コスト: Amazon WorkSpaces $**.** (78.0%) 詳細変化 - 異常増加: AWS Direct Connect +94.5% (+$.** ) - カテゴリ別: Monitoring +67.4% 即座の対応が必要 - Amazon WorkSpacesの利用状況と必要性を確認 - 未使用または過剰なWorkSpacesインスタンスの特定と削減 |
重大なコストの問題あり
アカウント名(ID) | 総コスト | 増加率 | サマリ |
---|---|---|---|
[アカウント名D](********) | $*. | 58.38% |
重要: コスト大幅増加検出 コストサマリー - 総コスト: $. → $. (+58.4%) - 主要増加: Dify Premium +$. (+61.5%) - 最高コスト: Dify Premium $. (32.5%) 詳細変化 - 異常増加: AWS CloudTrail +228.0% (+$.** ), EC2 - Other +934.6% (+$*.** ) - カテゴリ別: Monitoring +220.8%, Compute +74.2% 即座の対応が必要 - AWS CloudTrailの使用状況を確認し、不要なログ記録を最適化 |
[アカウント名E](********) | $*. | 26.91% |
重要: コスト大幅増加検出 コストサマリー - 総コスト: $. → $. (+26.9%) - 主要増加: Claude Sonnet 4 (Amazon Bedrock Edition) +$. (+84.3%) - 最高コスト: Dify Premium $. (25.7%) 詳細変化 - 異常増加: AWS Security Hub +106.1% (+$.** ) - カテゴリ別: AI/ML +84.3% 即座の対応が必要 - Claude Sonnet 4の使用状況を確認し、必要に応じて使用制限を設定 |
問題なし
アカウント名(ID) | 総コスト | 増加率 | サマリ |
---|---|---|---|
[アカウント名F](********) | $*. | 3.47% |
コストサマリー - 総コスト: $. → $. (+3.5%) - 主要増加: Amazon Virtual Private Cloud +$.** (+3.4%) - 最高コスト: Amazon Virtual Private Cloud $. (27.5%) |
[アカウント名G](********) | $*. | 1.31% |
コストサマリー - 総コスト: $. → $. (+1.3%) - 主要増加: AmazonCloudWatch +$.** (+15.7%) - 最高コスト: AWS Support (Business) $. (72.8%) |
[アカウント名H](********) | $. | 6.61% |
コストサマリー - 総コスト: $. → $. (+6.6%) - 主要増加: Amazon DynamoDB +$*.** (+8.3%) - 最高コスト: Amazon DynamoDB $. (44.6%) |
コスト削減効果あり
アカウント名(ID) | 総コスト | 増加率 | サマリ |
---|---|---|---|
[アカウント名I](********) | $*. | -10.43% |
コストサマリー - 総コスト: $. → $. (-10.4%) - 主要増加: Amazon Virtual Private Cloud +$*.** (+3.5%) - 最高コスト: Amazon Relational Database Service $. (37.4%) |
[アカウント名J](********) | $*. | -12.75% |
コストサマリー - 総コスト: $. → $. (-12.7%) - 主要増加: AWS Security Hub +$.** (+7.9%) - 最高コスト: Amazon QuickSight $. (78.7%) |
全体サマリー
- 総アカウント数: 10(サンプル)
- 要緊急対応: 3アカウント
- 要注意: 2アカウント
ハルシネーション対策
コストレポートを作成する際に、すべてを生成AIに任せてしまうと、ハルシネーション(AI が事実と異なる情報を生成すること)が発生した場合に問題となります。
したがって、基本のレポート部分は単純なPythonプログラム(pandasなど)で作成して、そのレポートをもとに生成AIによる分析を作成しています。
具体的な生成AIによって生成している箇所
各アカウントごとのコストレポートの後半部分
============ 以下はAIによって生成された分析結果です。必ずしも正しくないことに留意してください ============
📊 エグゼクティブサマリー
総コスト変化: +$**.** (+14.1%)
主要トレンド: RDS、EC2、AWS Configの急増
注意領域: Compute & Monitoringカテゴリ
最適化ポテンシャル: VPC、WAF、RDSの効率化
🚨 クリティカルアラート
- EC2 - Other: 462.1%増加 (+$**.**) - リソース使用の急激な拡大を示唆
- Amazon RDS: 192.7%増加 (+$**.**) - データベース利用の大幅な拡大
- AWS Config: 185.7%増加 (+$**.**) - コンプライアンスチェックの増加
- Monitoringカテゴリ: 162.1%増加 - 監視活動の大幅な拡大
📈 詳細分析
| サービス | コスト変化 | 変化率 |
|----------|------------|--------|
| Amazon RDS | +$**.** | +192.7% |
| EC2 - Other | +$**.** | +462.1% |
| AWS Config | +$**.** | +185.7% |
| Claude 3.5 Sonnet | -$***.** | -97.9% |
- Compute: 123.4%増加 - EC2とApp Runnerの利用拡大
- Monitoring: 162.1%増加 - AWS Configの大幅な使用増加
- AI/ML: 77.4%減少 - Claude 3.5からClaude 4への移行
💡 推奨アクション
- 即時実行: EC2インスタンスの使用状況を確認し、不要なリソースを特定・停止
- 短期(1ヶ月以内): RDSの使用パターンを分析し、リザーブドインスタンスの購入を検討
- 長期(3ヶ月以内): AWS Configルールの見直しと最適化、必要最小限の設定に調整
📊 モニタリング推奨
- EC2 使用率: CPU使用率、ネットワークI/Oを日次でモニタリング
- RDS パフォーマンス: クエリ実行時間、接続数を週次でチェック
- AWS Config: ルール実行回数と検出されたリソース数を月次で確認
🎯 次回レポートでの確認事項
- EC2リソース最適化後のコスト削減効果
- RDSのリザーブドインスタンス購入による影響
- AWS Configルール最適化後のコスト変化
- AI/MLサービス(Claude)の使用パターンと効率性
AI分析レポート | 生成日時: 2025-08-05 00:03:17 | このレポートは機械学習により自動生成されました
組織全体のレポートのサマリ
重要: コスト大幅増加検出** <br>**コストサマリー** <br>- 総コスト: $***.** → $***.** (+58.4%) <br>- 主要増加: Dify Premium +$**.** (+61.5%) <br>- 最高コスト: Dify Premium $***.** (32.5%) <br>**詳細変化** <br>- 異常増加: AWS CloudTrail +228.0% (+$*.** ), EC2 - Other +934.6% (+$*.** ) <br>- カテゴリ別: Monitoring +220.8%, Compute +74.2% <br>**即座の対応が必要** <br>- AWS CloudTrailの使用状況を確認し、不要なログ記録を最適化
さいごに
既存のAWS運用に生成AIを活用することで、より効率的な運用を実現できます。
例えば、セキュリティレポート、ログ分析などで非常に便利かと思います。
是非、実装して楽にAWS運用していきましょう!
弊社では一緒に働く仲間を募集中です!
現在、様々な職種を募集しております。
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募集内容等詳細は、是非採用サイトをご確認ください。