概要
Oracle Databaseの2020年のリリースであるOracle Database 20cに関して、2020年2月に一部マニュアルを含む様々な情報が公開され、Oracle Cloudで利用できる検証用のPreview Releaseも提供開始となりました。
本記事では、記事を作成した時点での公開されているOracle Database 20cに関する情報を元にポイントと思われる点をお伝えします。
2020年3月頭ごろの情報・環境を元に本記事は記載しています。
スケジュールに関する情報
20cに限らず、Oracle Databaseの各リリースの提供状況(予定されているスケジュール)は、My Oracle Support(MOS)のNote 742060.1で提供されます。このページの最新情報を参照するためにはサポートサービスから提供されているMOSにログインする必要があります。
Release Schedule of Current Database Releases (Doc ID 742060.1)
ここのページの提供予定の情報は、あくまで「予定」でしかないことが中で説明されており、変更されることもある点は注意ください。文書のDisclaimer(免責事項)を参照ください。
このMOSのNoteの内容は、下記URLでも参照できますが、原典であるMOSの情報からはタイムラグがあります。最新情報は可能な限り、MOSの情報を参照するとよいです。
現在のデータベース・リリースのリリース・スケジュール (Doc ID 2413744.1)
サポート期間に関して
各リリース毎のサポート期間も、先のMOSの情報で参照できます。
Release Schedule of Current Database Releases (Doc ID 742060.1)
このMOSの2020年3月頭の情報より、19cはPremier Supportが2023/3/31まで、有償のExtended Supportが2026/3/31まで提供される予定とされています。2020年3月頭の情報では20cに関してPremier Supportが提供される期間のアナウンスはされていません。
Oracle社のMaster Product Manager for Oracle Database Upgrade and Migrations(データベースアップグレードに関するスペシャリスト)であるMike DietrichのBlogで、もう少し詳細に解説されています。
To which release should you upgrade to? Revisited …
このBlogで、20cのサポート期間に関して次の2点を説明しています。
- Oracle Database 20cは新しいリリースファミリーの最初のリリースであり、Interim Releaseと呼んでいる。
- Oracle Database 20cに関してバグ修正が提供されるサポート期間は短い期間になる。Oracle Database 20cはExtended Supportの対象とならない。
補足すると、Oracle Database 19cは、12.2のリリースファミリーの最後のリリースでLong Term Support Releaseであり、バグ修正が提供されるサポート期間が長く設定され、Extended Supportの対象となっています。
この点を考慮すると、Oracle Databaseのアップグレードのためにリリースを選択するときに、サポート期間を重要視するのであれば20cではなく19cを選択する方が有利です。
サポート期間に関しては、必要に応じて、最新の情報を上記のMOSから入手するようにしてください。
Oracle Database 20cのPreview Releaseに関して
2020年2月に20cのPreview Releaseが、Oracle CloudのDatabase Cloud Service上で提供が開始されました。下記はOracle CloudのDatabase Cloud Serviceをプロビジョニングするときの設定画面です。20cのPreview Releaseが選択できるようになっています。
Preview Releaseの注意点は下記のようなものです。
- 商用利用はできません
- 利用期限はありません(環境が不要になった際はユーザが削除)
- 課金は通常サービスと同様(Database Cloud Serviceの料金はこちら)
- 利用可能な構成:LVMを選択する構成(RAC/Grid Infrastructure構成は不可)、仮想マシン構成(ベアメタル/Exadataは不可)
- 利用できない機能 : パッチ適用、スタンドアロン・バックアップ、自動Data Guard構成など
また、プロビジョニング(作成)したPreview Releaseのノードは停止できません。DBシステムの停止(Terminate)まで起動しています。
これらの点を含みPreview Releaseに関する制限は、下記のマニュアルの情報が参考になります。
Oracle Database Preview Version Availability
このマニュアルの記載にPreview Releaseに関する制限に関する情報があり、2020年3月頭時点で "Oracle Cloud Infrastructure currently offers Oracle Database 20c as preview version software."としています。
Oracle Database 20cでの重要な変更であるNon-CDBアーキテクチャの非サポートに関して
Oracle Database 20cより、マルチテナントアーキテクチャでないデータベース(Non-CDBアーキテクチャ)はサポートされなくなります。下記がそのことに関するマニュアルの記載になります。
Oracle Database Database Upgrade Guide 20c - Behavior Changes, Deprecated and Desupported Features for Oracle Database - Desupport of Non-CDB Oracle Databases
Non-CDBを利用していてCDBアーキテクチャにおける複数のPDBが不要という場合も、Oracle Database 20cでは1つのPDBだけを利用するCDBアーキテクチャでなければサポートされません。
このことに先立ち、Oracle Database 19cよりOracle DatabaseのStandard Edition2、あるいはオプションなしのEnterprise Editionにおいて、CDBアーキテクチャでPDBを3つまで作成してよいようにライセンスの定義が変更されています。下記がそのことに関するマニュアルの記載になります。
Oracle Database Database Licensing Information User Manual 19c - 1 Licensing Information - 1.3 Permitted Features, Options, and Management Packs by Oracle Database Offering
この、19c以降の、PDBを3つまでStandard Edition2あるいはオプションなしのEnterprise Editionで利用できるという点は、18cまでは1つのPDBまでであれば利用可能であるとされています。
Non-CDBアーキテクチャはOracle Database 12c Release1より「非推奨」とされていました。Oracle Database 12c Release2のマニュアルで非推奨で「Oracle Database 19c以降のリリースで非サポートとなりえる」とされていました(下記が該当するマニュアルの記載)。
Oracle Database Database Upgrade Guide 12c Release2 - Deprecated Features in Oracle Database 12c Release 2 - Deprecation of Non-CDB Architecture
Oracle Database 20cの新機能に関する情報
Oracle Databaseのマニュアルは下記より参照できます。
Oracle Database 20c Get Started
マニュアル群の中の「Database New Features Guide」でOracle Database 20cの新機能に関する情報を参照できます。
Oracle Database Database New Features Guide 20c
このDatabase New Features Guideは、Oracle Database 20cのすべての新機能を網羅しているわけではありませんが、特に既存機能の強化点に関しては多くリストされています。Oracle Databaseの各機能に関してマニュアルが提供されますが、多くのマニュアルで「このリリースでの変更点」という項目があります。
データベースの細かいレベルでの新機能というより、Oracle Database 20c以降の機能強化の方向性(戦略)に関しては、開発部門により2019年10月にプレゼンテーションが動画で公開されています。
Autonomous Data Management (Oracle Database 20c)
この中では、20cの開発の方向性として下記をあげています。
- Native Blockchain tables
- AutoML
- JSON binary representation
- Persistent Memory Store
Oracle Database 20cで非推奨、非サポートになった機能に関する情報
本記事の「Oracle Database 20cでの重要な変更であるNon-CDBアーキテクチャの非サポートに関して」でも参照していますが、非推奨、非サポートになった機能に関しては、マニュアルのUpgrade Guideに情報があります。
Oracle Database Database Upgrade Guide 20c - 9 Behavior Changes, Deprecated and Desupported Features for Oracle Database
参考情報
Oracle社のOracle Database Product ManagementのVice Presidentの方によるPreview Releaseが公開されたときの記事です。
GA of Oracle Database 20c Preview Release
Oracle社のMaster Product Manager for Oracle Database Upgrade and Migrations(データベースアップグレードに関するスペシャリスト)であるMike DietrichのBlog。Oracle Database 20cに関して公開された情報をいろいろ教えてくれます。
Upgrade your Database -NOW
BlogだけでなくSlidesには、Oracle DatabaseのUpgradeに関する様々な情報があります。