2022/11/07に開催されたJaSST nano vol.18にて、「WACATE分科会オーナーって何するの?」という題材で少しだけお話してきました。発表資料は以下に掲載します。
今回はWACATEで開催される「分科会」というセッションで、分科会オーナーがどんなことをしているのかを共有したいと思います。
WACATEの参加を検討している方、分科会オーナーやってみたい方にすこしでもイメージを持っていただければと思います。
お伝えしたいこと
- 若手エンジニア向きのソフトウェアテスト勉強会『WACATE』の分科会セッションのオーナーをやるといろいろ経験でき、その経験を現場業務に活かせる
- WACATEの申し込み期限が2022/12/11(日)の12:00まで延長しているため、興味のある方は参加してみるとよいかも
おことわり
- 今回の内容は、個人的にオーナーをやって感じたものであり、所属企業・部門、WACATE実行委員を代表するものではありません。
- 参考の1つとして、見ていただければと思います。
WACATEって何なの?
年に2回(6月と12月に)開催される若手エンジニア向けのソフトウェアテスト勉強会です。ワークショップ型が中心となっています。
この勉強会は毎回テーマを変えて、開催しています。
今冬のWACATEは「テストプロセス」「状態遷移テスト」「感情リテラシー」「品質」に関するセッションがあります。
参考)WACATE参加者データにも記載しています。
WACATEの詳細を知りたい方は、公式ページ、ブログ記事や動画を参考にしてください。
- WACATE公式ページ
- JaSST nano動画
WACATE分科会って何なの
このWACATEではいくつかのセッションが開催されますが、その1つに『分科会』があります。
このセッションは参加者主体で、いくつかのテーマに分かれて議論/情報共有する会です。
オープンスペーステクノロジー(以下、OST)に近いかなと思います。
WACATEでは裏メインともいわれていて、オフライン開催時ではすごかったらしいです・・・
わたしはオンラインでしか参加していないため、オフラインでの様子は過去の参加者に聞いてみてください。
分科会オーナーとは
分科会オーナーはテーマを考えて、当日はファシリテータになって場を盛り上げる日とのことを指します。
この役割は2回目以降のWACATE参加者が担うことが多いですが、最近は初参加でオーナーをする人もいます。
そのため、実質誰でもできる状況です。
分科会オーナーをやろうと思った背景
実際にやったことをお話しする前に、そもそもなぜやろうと思ったかということですが、主に以下の2つの理由でやりたいと思いました。
- ファシリテーション能力を向上したい
- ワークショップ設計を経験してみたい
分科会オーナーでどんなことしたの
実際私がWACATE2021冬の「昼の分科会」のオーナー時にやったことは以下です。
準備工数はだいたい2~3時間ぐらいでした。
ここからは詳細をお話します。
1.実施テーマを考える
参加者に刺さりやすいテーマ1を設定するために2点考慮しました。
①WACATE参加者傾向の把握
過去に2回参加していたため、そのときのポジションペーパー2を見て、参加者傾向を調べていました。
②ドメインにあまり依存しない
オーナー立候補時は当日参加される方のポジションペーパーを確認できないため、あまりドメインに特化しすぎないようにしました。
(ex.組み込みシステムのテスト技法について、車載システムのテスト方法など)
【補足】
WACATE初参加の場合は過去のポジションペーパーなどを確認できないため、以下の方法でテーマを選定すると良いと思います。
- WACATE公式ページの「分科会オーナーについて」を参考にする
- とりあえず立候補してテーマはWACATE実行委員に相談しながら決める
実際私が設定したテーマは参加者の皆さんにインプットに関する情報を共有する会3でした。
2.分科会オーナーを希望する4
WACATE参加申し込み時に分科会オーナーを希望します。
WACATE参加申し込み後でも、参加者受付期間中であればホームページに記載しているメールアドレスに連絡すると立候補できます。
3.全体の構成を考える
本番当日、放送事故5になっては困るため、過去に参加したOST、社内研修やWACATEセッションを参考に設計しました。
実際にやった内容としては以下のとおりです。
- 参加者の皆さんに以下の項目で情報を記載していただく
- おすすめのインプット
- 普段どうやって情報収集しているのか
- 今、欲しい情報は何か
- インプットする際に意識していることは何か
- 記載した情報をベースに共有し、気になったものに関して深掘りする
タイムスケジュールとしては、当日のセッションは1時間だったため、以下のように設定しました。
タイムスケジュール
時間 | 概要 |
---|---|
0~5分 | オーナーからテーマの概要と実施方法を説明 |
5~10分 | 各項目に記載する時間 |
10~35分 | 共有タイム(1人3分ぐらい×5を想定) |
35分~60分 | 記載した情報をもとに質問、コメント、情報共有 |
4.資料の準備
この分科会は途中参加も可能なため、何をしているかわかるようにテーマの内容やどんなことをするか説明資料を作成しました。
またワークも実施するため、Jamboardも用意しました。
やってみてどうだったの
実際にやってみた結果、想定よりも参加者が多く、いろいろな情報が共有されました。
私も参考になるマインドセットがあったり、気になるインプットが見つかったりと非常に有意義な時間を過ごせました。
ただオーナーとしては、まだまだ改善が必要だなと思いました。
当初は情報共有すると自然に交換が生まれると想定していました。
しかし、実際は分科会の後半であまり会話が発生しなくなり、放送事故が少し起きました。
この時は実行委員の方に助け舟を出していただきました6。(ありがとうございました。。<(_ _)>)
当時をふりかえるともっと情報交換が生まれるようにワークショップ設計やファシリテートするべきだったと感じています。
【ワークショップ設計の改善点】
-
気になる部分や聞いてみたい情報を表現するようにもっとスタンプを活用するよう周知する
-
共有タイムで、気になった情報も話していただく
【ファシリテートの改善点】
-
共有タイムはひととおり全員発言してから、情報交換するようにしていましたが、各共有時点から他の人のコメントを求めてみる
-
「何かある人いませんか」といわゆる挙手制ではなく、あえて指名する
分科会オーナーのメリット/デメリットって何なの
分科会オーナーをやってみて感じたメリット/デメリットを共有したいと思います。
【メリット】
-
ファシリテータ/ワークショップ設計などを経験できるため、この場を通して社内勉強会やファシリテートスキル向上につなげることができる。
-
自分が気になっていたことをテーマに設定できるため、有効な情報や学びを得られる可能性が高いこともメリットになります。
【デメリット】
- ファシリテータに集中すると、インプット情報(記録されてない)ものは忘れてしまう
- 分科会開始時に記録係を募集することも1つ
- テーマを考える必要があるため、通常参加より負担は大きい
- ここをデメリットと考えるかは人それぞれ
- 考えたテーマが参加者に刺さるかは不透明なため、少し心配な日が続くかも
- WACATE実行委員にテーマの相談もすることができる
こういう人は分科会のオーナーやってみるといいかも
①WACATEで聞きたいことがあるけど、質問するタイミングが分からない人
私も人見知りなのでなかなか聞けないことがあるのですが、無理やりテーマにすれば、勝手に聞けるので良いかなと思います。
②ファシリテータやワークショップ設計をやってみたいと思っている人
業務に影響がない場で経験できるため、社内よりハードルが低いと思います。
またWACATE参加者には好奇心旺盛の方が多いため、放送事故にはなりにくいと思います。
【参考】分科会のテーマ例
最後に分科会で実施できるテーマ例をあげます。
テーマ選定するときに活用してみてください。
- WACATEセッションの延長戦を実施(感想会、ワーク再実施)
- モブプロ、モブワーク系
- モブプログラミング(ブロッコリーさんの記事をみると楽しそう)
- OSSコントリビューター(Seleniumの日本語ドキュメントに今トリビュートしてみよう)
- ビブリオバトル
- イベント動画視聴会(JaSST nanoとかSTACとか)
- 情報共有会
- 技術記事を持ち寄る
- 勉強方法やおすすめ本
- 普段社内勉強会でやっているテーマ
まとめ
- WACATEの分科会セッションは参加者主体で、特定のテーマについて議論/共有する会
- 分科会オーナーを担当すると、ワークショップ設計やファシリテーションを経験でき、現場業務につなげることができる
- WACATEで質問したいことがある、ファシリテータをやってみたい方はWACATEに参加してもいいかも
- WACATE2022冬〜テストも品質もおもしろくてだいすきです〜開催概要
- 2022/12/11(日)12:00まで延長しています
参考資料
- WACATEとは
- Online Open Space Technology Introduction
- テストエンジニアはどのような思考でペアプロ・モブプロに参加しているのか #WACATE - ブロッコリーのブログ
- ASTERソフトウェアテストチャンネル
- テスト自動化研究会 - youtube
- WACATE2022冬~テストも品質もおもしろくてだいすきです~開催概要
-
JaSST nanoでは、過去のポジションペーパーを確認していましたが、基本的にWACATE開催時のテーマについて課題を抱えている/知りたいと思っている人が一定数いる印象です。
そのため、WACATEのテーマに合わせて分科会のテーマを考えるというのも1つだと思います。 ↩ -
自己紹介文みたいなモノという理解で問題ないです。
そこに、現在やっていることや抱えている悩みなどが記載されています。 ↩ -
背景としては、近年ソフトウェアテスト関連の情報発信が増えてきた中で、どの情報を頼りにすれば良いかが難しくなってきたと感じています。
またWACATE参加者は好奇心旺盛の方が多く、いろいろな情報に触れていそう印象がありました。
そんな方々から情報を共有していただければ、自分に合った情報を見つけやすくなるのではと思い、このテーマを設定しました。 ↩ -
【補足】に記載したとおり、テーマが決まっていなくても立候補は可能です。
立候補時にテーマは相談したい旨もお伝えください。 ↩ -
ディスカッション中に誰も話さない状況が数十秒続いている状態。 ↩
-
分科会では各グループに実行委員の方が1名以上参加していただけます。そのため今回のような放送事故でやどう進めたらよいかわからなくなっても適宜フォローが入ると思います。 ↩