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_.cloneDeepを葬りましょう

Last updated at Posted at 2023-01-27

はいさい!オースティンやいびーん!

概要

JavaScript・ブラウザのネイティブ機能で回帰的クローンをする方法を紹介します!

それは、structuredCloneです。

これは、グローバルで定義されている関数で、現在のEvergreenブラウザ(Chrome、Safari、Edge等)ならサポートされています。

背景

JavaScript開発においてオブジェクトをクローンすることは常の課題です。

常套手段として以下のES6 Spreadがよく使われます。

const ob1 = { a: 1 };
const ob1ShallowClone = { ...ob1 }; // OR Object.create(ob1);

これはいわゆるShallow Cloneの手法です。基本的にこれでもの足りるケースが多いのですが、非常に大きな欠点があります。

それは、配列のようなオブジェクトは回帰的にクローンされず、オブジェクト参照がコピーされるにすぎないというところです。

以下の例で問題が顕著に現れます。

const beforeUserInput = {
 title: 'サーバーからのデータ',
 content: '編集されていない',
 tags: ['js', 'ts']
}

const userInput = { ...beforeUserInput };
userInput.tags.push('death-to-lodash');

console.log(beforeUserInput.tags); // ['js', 'ts', 'death-to-lodash']

アキサミヨー!これでは元々のデータまで変わってしまう。

そこで、Deep Cloneが誕生します。

Deep Cloneは回帰的にクローンすることで、オブジェクトの中のオブジェクトをクローンすることです。

これまでどうやってDeep Cloneをしていたのか?

そうすると、同じオブジェクト参照ではなく、独立したオブジェクトを作ることができて、上記の問題を解決できます。

ここで問題なのですが、古くからDeep Cloneのネイティブの手段がなかったのです。

そこで、多くの人はこれまでLodashの_.cloneDeep()に頼ってきました。

しかし、この投稿の本題ですが、ネイティブの手段は今だと、あります。

それが、structuredCloneです。

しかも、それを知らなくても、Service Worker、Web Workerを使っているのなら、既に使っています。

なぜなら、Web Workerから情報をMain Threadに送る時に、structuredCloneが使われています。

structuredCloneの使い方

ごくごく簡単です。今でもDevelopers Consoleを開いてやってみてください。

スクリーンショット 2023-01-28 7.37.15.png

これだけです。本当に素晴らしい。

structuredCloneのパフォーマンス

Lodashの_.cloneDeepと比較してみましょう。

//@ts-check
import * as _ from 'lodash'

const iterations = 300000;
const baseObject = () => ({
  array1: [1, 2, 3, 4, 5],
  array2: [[1], [2], [3]],
  array3: [[[1]], [[2]], [[3]]],
  obj1: {
    arr1: [[[[1]]], [[[[2]]]], [[[[3]]]]],
  },
});

const lodashCloneLoop = () => {
  for (let index = 0; index < iterations; index++) {
    const obj = baseObject();
    _.cloneDeep(obj);
  }
};

const nativeCloneLoop = () => {
  for (let index = 0; index < iterations; index++) {
    const obj = baseObject();
    structuredClone(obj);
  }
};

/**
 * @param {() => any} func
 */
function timeIt(func) {
  const startTime = Date.now();
  func();
  const endTime = Date.now();
  return endTime - startTime;
}

console.log("lodash cloneDeep time (ms): ", timeIt(lodashCloneLoop));
console.log("native structuredClone time (ms): ", timeIt(nativeCloneLoop));

上記のコードをESBuildでコンパイルしてブラウザで実行します。

スクリーンショット 2023-01-28 7.39.05.png

これだ!やはり、ネイティブが早かったです。なんと25%も処理時間が早いわけです。

なぜLodashを使うべきでない

使う必要性はほぼほぼないからです。

それに、二つの問題点があります。

  • Bundle Sizeが大きくなる
  • 基本的にLodashよりES6のネイティブ関数の方が早い
  • Lodashを知らない人が読むのに苦労する(_.partialRightは本当に解せない)

唯一、Lodashにあってネイティブ機能にない困るものは、_.isEqual。これは便利だなと思いますが、今後、JavaScriptにもRecordおよびTupleがECMAScriptにも含まれるので、時間の問題です。

structuredCloneができないこと

structuredCloneは構造化複製アルゴリズムを使って回帰的クローンを実現しているのですが、クローンできないものがあります。

それは以下の主なものです。

  • 関数(() => {}など)
  • DOM Node

というので、99.9%の場合は全く気にする必要はないのです。

まとめ

以上、structuredCloneを紹介してまいりました。

感動しましたか?僕は感動しています。

もっと早く気づくべきでした、すぐそばに運命の相手がずっといることに。

ぜひstructuredCloneを使っていきましょう!

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