──それは、「全数把握」「標準化」「雛形整備」が必要だからだ。
多くの人が「プロジェクト管理は大変」と言います。
なぜでしょうか?
タスクが多いから?
人間関係が難しいから?
スケジュールがきついから?
もちろんそれらも一因ですが、本質的な理由はもっと別のところにあります。
■ プロジェクト管理が難しいのは、"曖昧なものを、明確にし続ける作業"だから
プロジェクトは、常に「不確実性」との戦いです。
今日までなかったことを、明日までに実現しようとしているわけですから。
その中でPMやPMOは、次のような**「あいまいさ」をコントロールする責任**があります:
誰が何をどこまでやるのか(=全数把握)
どうやってやるのかをそろえる(=標準化)
管理に使う資料をそろえる(=雛形整備)
これらを怠ると、現場はバラバラになり、報告・連絡・相談の精度も落ち、
最終的にはプロジェクトがコントロール不能になります。
■ 全数把握:漏れ・重複・抜け道を許さない
「全体で何をやっているか」が把握できていなければ、進捗も遅延も判断できません。
タスク・課題・成果物・リスクなど、あらゆる情報を一元的に把握することが求められます。
一件一件は小さくても、積もれば重大な遅延や品質低下につながります。
“ちょっとした抜け”が、あとから致命傷になるのがプロジェクトです。
■ 標準化:全員が同じ型で動くから、管理できる
プロジェクトはチームで動きます。
それぞれが独自ルールで動き出した瞬間、共有・管理が不可能になります。
進捗報告のフォーマットが違う
テスト仕様書の構成がバラバラ
課題管理ツールの運用ルールが不統一
これでは、手間が増えるだけでなく、品質にもばらつきが出ます。
標準化とは、最小の手間で最大の共通認識を得るための仕組みです。
プロジェクトの“骨格”を作る役割だと理解してください。
■ 雛形整備:悩まずすぐ動ける環境を作る
どんなに優れたメンバーでも、
「何から始めたらいいか分からない」と動けなくなる瞬間があります。
そんな時に、
成果物のテンプレート
課題管理表のサンプル
定例会議のアジェンダ雛形
などが整っていれば、迷わず動き出せます。
雛形とは、思考を補助するツールであり、行動を加速させる鍵です。
管理が大変なのは、“本気でやると、めちゃくちゃ繊細な仕事だから”
プロジェクト管理が大変なのは、タスクが多いからではありません。
「曖昧さを放置せずに、整理・標準化・共有を徹底する」という、極めて丁寧な仕事だからです。
逆に言えば、それができるPM・PMOは、本当に価値のある存在です。
管理の精度が、そのままプロジェクトの成功率に直結する。
それが、プロジェクトマネジメントのリアルなのです。