― 遅れているタスクをPMが巻き取ってはいけない
全体を把握し、リカバリはPMOとメンバーに託す
PMがすべきは、タスクの優先順位づけと指示出しである
■ 「巻き取りPM」がプロジェクトを壊す
遅れているタスクがあれば、PMが自ら巻き取って対応する──
こうした“責任感の強いPM”が、実はプロジェクトを破綻させているケースは少なくありません。
なぜなら、その瞬間からPMはコントローラーではなく、作業者に変身してしまうからです。
しかも、プロジェクトで一番全体を見て調整すべき人が、タスクに没頭してしまうことで、
他のタスクの遅延やリスク、メンバーの稼働状況にまで目が届かなくなります。
これが静かに、しかし確実に、プロジェクトの崩壊を引き起こします。
■ PMがやるべき“たった3つのこと”
PMに求められるのは、“手を動かすこと”ではありません。
やるべきは、この3つだけです:
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タスクを全体把握する(一覧を常に最新に保つ)
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優先順位を明確にする(迷いを排除する)
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やるべき人に明確に指示を出す(目的・期日・Outputをセットで)
この3つさえ愚直に実行できれば、PMは自ら作業に手を出す必要はありません。
むしろ出してはいけないのです。
■ 「PMが忙しそう」は、危険信号
現場で「PMがずっとキーボードを叩いている」「PMがあちこち走り回っている」といった状況は、一見頼もしく映ります。
ですが、裏側では「指示がない」「全体の優先順位が分からない」「やるべきことが降ってこない」といった情報の断絶が起きています。
これはプロジェクトにとって致命的です。
PMが巻き取って黙々と作業している姿は、**メンバーからすれば“管理が停止している状態”**です。
■ PMがやってはいけないこと
次のような行動をしているなら、あなたはすでにPM失格の一歩手前かもしれません:
「とりあえず自分がやった方が早い」と思って手を出す
タスクが全体で何件あり、どれが遅れているのかを即答できない
優先順位を明確にせず、とにかく目の前から消すようにタスクを処理している
「指示」はせず、「お願いベース」で依頼している
こうした行動は、プロジェクトの全体最適を壊す原因になります。
■ “残業しない”は逃げではない。管理の結果である
PMが定時で帰ると、「やる気がない」「責任感がない」と思われがちですが、
実際にはその逆です。
優先順位を整理し、タスクを割り振り、必要な対策を先回りで講じているからこそ、PMは落ち着いて仕事を終えられるのです。
残業しないPMは、「何もしないPM」ではない。
何をすべきかを徹底的に整理して“自分がやらないことを決めたPM”である。
■ 原則を徹底しよう
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PMがやるべきはタスクの把握と指示。手は出すな。
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リカバリはPMOやメンバーに“任せて指示する”のが鉄則。
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残タスクを常に最新化し、優先順位をつけて上から処理。
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PMの残業=管理の失敗。残業なしで帰るのが理想形。
次回予告
第5回:進捗管理よりも品質管理、品質管理よりもリスク管理が大事である
進捗だけを追っていても、プロジェクトは成功しない。
本当に見るべきは「どんなリスクがあり、どの品質を守るのか」。