だれも教えてくれないプロジェクト管理の11原則
■ プロジェクト管理に必要なのは「複雑な理論」ではない
多くのプロジェクトが、進捗管理さえしていれば「うまくいっている」と思われがちです。
しかし実際は、進捗が順調に見えていても、納品された成果物の品質が低かったり、重大なリスクが顕在化したりして、プロジェクトが失敗に終わるケースを私は数多く見てきました。
「もっと早く気づいていれば、あの失敗は防げたのに」
「見える化はしていた。でも、誰も止められなかった」
そんな後悔の声に何度も触れてきた私は、ひとつの結論に辿り着きました。
それは――
プロジェクト管理は、もっとシンプルに考えていい
複雑な方法論よりも、本質を外さない原則こそが最も強い
ということです。
■ 著者について 〜失敗しないために、何をしてきたか〜
私は中学校卒業後、周囲の反対を押し切って難関の理系高等専門学校・電気工学科に進学しました。
その後、1989年に日本電気ソフトウェア株式会社(現・NECソリューションイノベータ)に入社。
以来、プロジェクトマネジメントの実務に35年以上携わってきました。
49歳でNECを退職して以降も、成長と変化を求めて複数回の転職を経験し、現在はフリーランスのPMとして活動しており、さまざまな企業やプロジェクトの支援に携わっています。
それ以前は、大手コンサルティング会社でPMOチームリーダー、PMO Unit長を務め、数多くの課題解決とプロジェクト推進に貢献してきました。
ときには大切な人のために、また自分の心を守るために転職したこともあります。
そのすべてに、後悔は一度もありません。
人生と向き合う中で、私は仏教の「無」や「空」という考え方に共感を深めていきました。
自分の限界を決めるのは、自分自身である。
そして「人事を尽くして天命を待つ」という姿勢こそが、プロジェクトにも人生にも通じるのだと感じています。
■ この連載の目的
この連載では、私が現場の最前線で身につけてきた
**「失敗しないための11の基本原則」**を紹介していきます。
どれも教科書には載っていません。
でも、どれも“現場を動かす”ために必要なことばかりです。
計画なしは、プロジェクト管理していないのと同じ
見える化は目的ではなく、コントロールのための手段
「忙しい」が口癖の人は、PMやPMOに向いていない
テストは全件実施ではなく、重要なケースの見極めこそが命
品質よりも大事なのは、設計ミスや前提崩壊というリスク管理
…など、11の原則を、実際の現場での体験とともに丁寧に紹介していきます。
■ あなたのプロジェクトは「管理」できていますか?
あなたは今、進捗管理に追われていませんか?
リスクを見て見ぬふりしていませんか?
テストが終わっていれば「品質も担保されている」と思い込んでいませんか?
プロジェクト管理とは、予定通りに進めることではありません。
プロジェクトの背景・目的・ゴールを深く理解し、変化やトラブルに柔軟に対応しながら、最後まで導くことです。
この11原則の中に、あなたのプロジェクトを“失敗させない”ためのヒントが必ずあります。
次回から、1つひとつの原則を、具体的なエピソードや対処法と共に紹介していきます。
あなた自身の方法論に照らし合わせながら、ぜひご活用ください。
次回予告
第1回:計画なしはプロジェクト管理していないのと同義
あなたのプロジェクト、「進捗確認」はあるけれど「進捗計画」はありますか?