システム開発プロジェクトにおいて、「テストをした」という事実は、
テスト結果の証跡がなければ、証明できません。
口頭報告やチェックリストだけで「やりました」と言っても、
それは品質管理とは言えず、ただの自己申告にすぎません。
■ 「証跡がない」は、品質のブラックボックス
証跡がなければ、
どの環境で
どのデータで
誰が、いつ、どういう操作をして
どういう結果が出たか
を第三者が再現することができません。
これはつまり、不具合が起きたときに、検証も再現もできないということです。
プロジェクト後半で問題が起きた際、「ちゃんとやったか?」の議論で揉めるのは、証跡がないことが原因です。
■ 「スクリーンショット文化」が品質を守る
テストをしたら、以下は必ず残しましょう。
入力データの内容
操作画面のキャプチャ(成功/失敗を問わず)
期待結果と実際の結果
異常系テスト時のログファイル(あれば)
スクリーンショットは、成功の証拠であり、問題発生時の盾になります。
自分を守るためにも、チームを守るためにも、証跡は徹底しましょう。
■ 「証跡は時間のムダ」は大間違い
証跡を省略する人の言い訳で最も多いのがこれです。
「全部キャプチャしてたら、時間がかかって非効率です」
ですが、これは短期的視点です。
後で不具合が出て、原因特定や説明に何時間もかかるほうが、よっぽど非効率です。
テストのキャプチャが数枚あるだけで、
トラブルの切り分けが圧倒的に早くなり
責任の所在が明確になり
クライアントとの信頼も保てます
■ 品質とは「説明できること」
品質管理とは、「うまくいった」ではなく、
「うまくいったことを説明できる」状態をつくることです。
それには証跡が不可欠です。
証跡のないテストは、テストしていないのと同じ。
見える品質、それが本当の品質です。