0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

♯第5回:プロジェクト管理で最も大切なのは進捗ではない。品質よりもさらにリスクを見よ。

Last updated at Posted at 2025-06-24

― この優先順位をチーム全体で共有できなければ、プロジェクトは必ず炎上する


■ 進捗ばかりを追うプロジェクトは、失敗の兆候

多くのプロジェクトで、毎週の定例会議で「進捗どうですか?」「遅れてませんか?」という話ばかりしていませんか?

進捗はもちろん重要です。しかし、それは“結果”であって、“原因”ではない。
進捗を追ってばかりいても、遅延の根本要因や将来の危機は見えてきません。

では、本当に見るべきは何か?

それが「品質」と「リスク」です。


■ 品質を犠牲にした進捗は、“見せかけ”でしかない

「とりあえずテスト完了にしておいて」
「納期が優先だから、エビデンスはあとでいいよ」

そんな会話が現場で飛び交うようになったら、危険信号です。
品質が伴っていない“進捗”は、むしろプロジェクトの信用を削る行為です。

納期通りにリリースしても、品質問題が出ればクレーム、信頼低下、最悪の場合は契約解除。
つまり、「品質を軽視して進捗を優先する」という判断は、未来に爆弾を投げているのと同じです。


■ 品質よりもさらに重要な「リスク管理」

品質を管理するには、まずリスクを管理しなければならないということを、意外と多くの人が見落としています。

たとえば:

要件定義に“抜け”があれば、いくら品質を担保しても正しい成果物にはならない

テストの設計にバグがあれば、どんなに丁寧に実行しても品質にはならない

ベンダー依存の領域に問題があると、プロジェクト全体がストップする

こうした「構造的リスク」を把握し、先手で対策を打たなければ、品質そのものが成立しません。


■ この優先順位を“全員”で共有せよ

重要なのは、PMやPMOだけがこの優先順位(リスク>品質>進捗)を理解するのではなく、
プロジェクトメンバー全員がその優先順位を腹落ちしている状態にすることです。

それができなければ:

メンバーは進捗を優先し、テストを省略する

リーダーは問題を隠し、遅延を報告しない

品質が落ち、手戻りと炎上を呼ぶ

つまり、「優先順位のズレ」こそが、炎上の火種です。


■ 現場でよくある“優先順位の勘違い”

❌「進捗を守るために、テストの網羅率を下げます」
❌「品質のために、今さら要件の修正はできません」
❌「リスク管理?やること多すぎて、そんな時間ないです」

これらはすべて、「優先順位を間違えた」結果です。
本来は:

✅「進捗より品質、品質よりリスク」
✅「リスクを潰せば、品質が上がり、進捗は自然とついてくる」

この原則に立ち返ることで、プロジェクトは初めて健全に動きます。


■ 原則を徹底しよう

  1. 進捗は結果であって、管理の対象ではない

  2. 品質を犠牲にして納期を守ることは、失敗を先延ばしにしているだけ

  3. リスクを潰すことで、品質と進捗は自然と安定する

  4. この優先順位を、PMだけでなくチーム全員に共有せよ


次回予告

第6回:「人」こそが最大のリスク。メンバーはモノではない。感情を制する者がプロジェクトを制す。

技術、工程、スケジュール――それらを動かすのは“人”。
PMに求められる、もうひとつの管理「感情のマネジメント」に迫ります。

0
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?