方針
問9以降変数変換するような問題が続くが,確率変数の扱いと定数の扱いをしっかりする必要がある.例えば,今回の
Y=\sigma X+\mu
という変数変換だが,
P[Y\leq y_\alpha]=P[Y\leq \sigma x_\alpha+\mu]
という式変形はしても意味がない(定数の表記を変えてるだけ).「確率変数Yがある定数y_alpha以下であるような確率は,確率変数Xが何以下である確率と等しいのか?」を知りたいので,
P[Y\leq y_\alpha]=P[\sigma X+\mu\leq y_\alpha]
として考えるのが良い.
答案
確率変数Yの上側alpha分位点をy_alphaとおくと,定義より
P[Y\leq y_\alpha]=1-\alpha
である.今,
Y=\sigma X+\mu,\ \sigma>0
を用いて
\begin{align}
P[Y\leq y_\alpha]&= P[\sigma X+\mu\leq y_\alpha]\\
&= P[X\leq\frac{y_\alpha-\mu}{\sigma}]=1-\alpha
\end{align}
従って,
\frac{y_\alpha-\mu}{\sigma}=x_\alpha\ \Rightarrow\ y_\alpha=\sigma x_\alpha+\mu
参考文献
- 『現代数理統計学の基礎』(久保川達也 著)