方針
幾何分布について書く.X~Geo(p)の時,Xは「ベルヌーイ試行によって確率pで起きる事象が,ある時点から初めて起きるまでにx回失敗する」という確率変数である.確率密度関数は,
f_X(x)=p(1-p)^x
分布関数は,
\begin{align}
F_X(x)&= \sum_{t=0}^xp(1-p)^t\\
&= \frac{p\{1-(1-p)^{x+1}\}}{1-(1-p)}\\
&= 1-(1-p)^{x+1}
\end{align}
生存確率(s回以上事象が起こらない確率)は,
\begin{align}
P[s\leq X]&= 1-P[X\leq s-1]\\
&= 1-\{1-(1-p)^s\}\\
&= (1-p)^s
\end{align}
条件付き生存確率(s回連続で失敗したとする時,そこからさらにt回失敗する確率)は,
\begin{align}
P[X\geq s+t|X\geq s]&= \frac{P[X\geq s+t]}{P[X\geq s]}\\
&= \frac{(1-p)^{s+t}}{(1-p)^s}\\
&= (1-p)^t\\
&= P[X\geq t]
\end{align}
ハザード関数(x回失敗する条件のもとで,次に事象が起きる確率)は,
\begin{align}
\lambda(x)&= \frac{P[X=x]}{P[x\leq X]}\\
&= \frac{p(1-p)^x}{(1-p)^x}\\
&= p
\end{align}
また,問題の「xを超えない最大の整数とは「Xのフロア(床)」と呼ばれる.
フロア(床),シーリング(天井)
任意の実数xに対して,x以下の最大の整数を床またはフロアといい,
\lfloor x\rfloor
と書く.またx以上の最大の整数を天井またはシーリングといい,
\lceil x\rceil
と書く.例えば,1.5から見た床は1で,天井は2である.
\lfloor 1.5\rfloor=1,\ \lceil x\rceil=2
今回は,フロアについて「実数xの床が整数yである」とは,「実数xがy以上y+1未満である」ことと同値であることを用いる.
答案
\begin{align}
P[Y=y]&= P[\lfloor X\rfloor =y]\\
&= P[y\leq X<y+1]\\
&= F_X(y+1)-F_X(y)\\
&= \{-\exp(-\lambda(y+1))\}-\{-\exp(-\lambda y)\}\\
&= -\exp\{-\lambda(y+1)\}+\exp(-\lambda y)\\
&= \exp(-\lambda y)\{1-\exp(-\lambda)\}\\
&= \{1-\exp(-\lambda)\}\{1-(1-\exp(-\lambda))\}^y
\end{align}
より,
Y\sim Geo(1-\exp(-\lambda))
である.また,条件付き生存確率は,
\begin{align}
P[X\geq s+t|X\geq s]&= \frac{P[X\geq s+t]}{P[X\geq s]}\\
&= \frac{(1-p)^{s+t}}{(1-p)^s}\\
&= (1-p)^t\\
&= P[X\geq t]
\end{align}
参考文献
- 『現代数理統計学の基礎』(久保川達也 著)