IoT/M2Mでは多種多様な周波数・通信規格が出てきてややこしいのでまとめてみた。
周波数
基本的にISMバンド(Industrial, Scientific and Medical Bandの略)が使われる。主に産業、科学、医療向け用途に割り当てられた周波数帯域で免許不要。 M2M/IoT では 2.4GHz と 920MHz が使用される。
※日本国内でも 2012/07/25 から 920MHz が使用できることになった。
2.4GHz
無線 LAN や電子レンジで使用される周波数帯。すでにかなり普及しているので、電波干渉に頭を悩ますことが多い。
920MHz
最近はサブギガ帯と言われることが多い。 2.4GHz に比べて電波干渉が少なく、回り込み特性があるため今後のメイン周波数と見られている。
ただし、 950MHz 帯を使用していた RFID が周波数移行したため、今後は電波干渉が発生しやすくなると思われる。
IEEE 関連規格
OSI参照モデルの物理層またはデータリンク層にあたる部分を定義する。
IEEE802.11
無線 LAN(WLAN)に関する標準規格。いわゆる Wi-Fi 。
802.11b/g/n が 2.4GHz 帯。 802.11n/ac が 5GHz 帯を使う。
OSI参照モデルの物理層にあたる部分を定義する。
IEEE802.15
無線PAN(WPAN)に関する標準規格。 M2M/IoT での中心的な通信規格。
IEEE802.15.1
Bluetooth のこと。 2.4GHz 帯を使う。
IEEE802.15.4
Zigbee で使われる通信規格。 2.4GHz と 920MHz 帯を使う。
802.15.4 = Zigbee と勘違いされることが多いが、独自プロトコルも存在する。OSI参照モデルの物理層とデータリンク層にあたる部分を定義する。
IEEE802.15.4g
Wi-SUN で使われる通信規格。 920MHz 帯を使う。
OSI参照モデルの物理層にあたる部分を定義する。
IEEE802.15.4e
Wi-SUN で使われる通信規格。
OSI参照モデルのデータリンク層にあたる部分を定義する。
通信プロトコル
Bluetooth
Bluetooth SIG が策定するプロトコル。最新バージョンは 4.2 。
バージョン 4.0 で省電力機能が特徴の BLE(Bluetooth Low Energy) を統合した。 iBeacon は BLE を使った技術。ビーコンと名乗る製品は何種類かあるが、ただの BLE 機器のことがあるので注意。
バージョン 4.2 で 6LoWPAN をサポートし、 IPv6 アドレスを持てるようになった。
このようにバージョン毎に機能追加し、通信速度も異なる。
ECHONET Lite
エコーネットコンソーシアムが策定した通信プロトコル。
従来の ECHONET を作り直し、アプリケーション層のみを定義している。
下位層は特定していないが、事実上 Wi-SUN スタックが想定されている。
EnOcean
ドイツにある同名の会社が開発したプロトコル。
最大の特徴は「エナジーハーベスト」と呼ばれるバッテリーレス技術。
周波数は 315MHz、928MHz (日本国内の場合)。
IEEE1888(FIAP)
日本の東大グリーンICTプロジェクト発のBEMS・スマートグリッド向けプロトコル。
HTTP/XMLの通信方式を採用しており、フレームワークに近い規格。
Wi-SUN
日本の情報通信研究機構(NICT)が中心となって開発されたプロトコル。
Wi-SUNスタックでは物理層に IEEE802.15.4g を、データリンク層に IEEE802.15.4e を使用する。ネットワーク層には 6LowPAN を使用し、アプリケーション層に後述する ECHONET Lite を想定している。
通信速度は 200kbps 程度だが、 500m 近い到達距離やマルチホップ通信
が大きな特徴。
Wi-SUN Alliance が対応機器の相互接続性の試験や製品の認証を行う。
東京電力のスマートメーターとHEMSコントローラ間の通信(Bルート)に採用されている。
Zigbee
ZigBee Alliance で策定するプロトコル。 Zigbee スタックではOSI参照モデルのネットワーク層以上にあたる部分を定義する。通信速度は 250kbps で、低消費電力である点とメッシュネットワークが大きな特長。
Zigbee PRO
Zigbee の仕様で、 Zigbee 2007 のこと。現在 Zigbee といえば この仕様を指す。
Zigbee Green Power
Zigbee 2012 で Zigbee PRO に追加された仕様。 EnOcean と同様にバッテリーレスが最大の特徴。
Zigbee IP
IEEE802.15.4g および IEEE802.15.4e を採用し、 6LowPAN で IPv6 アドレスを持てるようにした Zigbee スタック。 ECHONET Lite の下位層として採用されることを想定している。
Z-Wave
Zensys 社と Z-Wave アライアンスによって策定された通信規格。日本では920MHz帯を使う。
海外ではメジャーらしいが、日本では2012年7月に使えるようになった。その時話題になったくらいなので、今後の普及は難しいと思われる。