心理的安全性とは
メンバー同士が健全に意見を戦わせ、生産的でよい仕事をすることに力を注げるモチベーションのこと
心理的安全性の高い環境とは、メンバー同士が信頼し合い、安心して意見を出し合うことができる環境のことです。
よくある誤解として「心理的に安全なチーム=アットホームでヌルい職場」と思われることもありますが、そうではありません。
積極的に意見を交わし、改善に繋げていくので、むしろ個々人の積極性が高い職場となります。
心理的安全性の重要性
心理的安全性が低い状態だと・・・
- コミュニケーションや質問等がしづらくなる
- 作業が滞る原因に
- 帰属意識が低くなる
- やりがいが無くなる
- 離職の原因に
- 意見が出づらく、改善が滞る
等々、作業だけでなくチームの成長までもが滞ってしまいます。
心理的安全性を高めるためにできること
対人関係の4つのリスクを減らす
対人関係の4つのリスク
- 「無知」だと思われたくない
- 「無能」だと思われたくない
- 「邪魔」だと思われたくない
- 「否定的」だと思われたくない
これらは以下のような状況下で陥りがちです。
- 相手からどう思われているか・何を期待されているかが分からない
- 「これを知っていなければ」「こうでなければ」という自分自身に貼ったレッテルに縛られてしまう
- 相手の価値観を知らない
- 地雷を踏まないよう意見するのを止めたり、遠慮がちな言葉を選んでしまう
これらのリスクは、後述の「心理的安全性を高める4つの因子」をカバーすることで減らすことができます。
心理的安全性を高める4つの因子
1.話しやすさ
ホウレンソウや雑談も含めた情報共有を積極的に行います。
例えネガティブな報告であっても、隠し事なく事実を述べられる状況です。
- 話しやすさを阻害する行動
- 報告に対して「分かりづらい」などと叱責する
- 提案を否定・スルーする
- 話しやすさを促進する行動
- 報告や話してくれたことに対して感謝を伝える
- 具体的に「〇〇について意見を聞かせてくれる?」と尋ねる
- 「なんでも言ってね」は抽象的すぎて答えづらいので、逆に効果がありません。
2.助け合い
トラブルに直面した時、必要な事実を共有・相談し、支援・協力を求めることができる状況です。
- 助け合いを阻害する行動
- 問題が起きた時、「人」を責める
- 減点主義である
- ミスや失言したら評価を下げる等
- 助け合いを促進する行動
- 「何か困ったことはない?」等の、話すきっかけを与えることも有効
- 相談しづらそうな場合は、「手が止まりました」と言ってもらうだけでもOK
- その後ヒアリングをし、一緒に解決策を考えていきましょう。
3.挑戦
一見、現実的ではないようなアイデアや仮説も歓迎し、試すことができる。
面白いアイデアを思いついたら、チームに共有してみよう・やってみようと思える状況。
- 挑戦を阻害する行動
- 手を上げると1人でやることになる状況
- 失敗すると責任問題となるような発言
- 誰も協力してくれない、孤独感と責任感…。
- 挑戦を促進する行動
- チャレンジ自体を称えること
- 結果を一緒に振り返り、学ぶ姿勢(リフレクション)
- 皆で振り返りをすることで一体感が生まれる
4.新奇歓迎
個性を発揮できる・歓迎できる環境。
自分の価値観や考え方を共有し、受け入れることが重要。
それにより情報共有と協力をし合う傾向が高まります。
- 新奇歓迎を阻害する行動
- 個性を発揮する余地がない
- 上長の考える正解を当てるような質問
- 自分の考えではなく、「上長ならこう考えているだろう」と探るような思考
- 目的や実現よりも、手段やプロセスを細かく指摘する
- 結果をまず評価し、後に振り返ることの重要性
- 新奇歓迎を促進する行動
- 強みを発揮してくれようとしたことに対して感謝を伝える
- やりたいこと・大切にしていることが出来る役職に配置する
- 定期的にヒアリングできると◎
心理的安全性を高めるために効果的な手法
すぐにできる手法
- MTGで自分から元気に挨拶をする
- 後から入ってきた人にも挨拶する
- 会の雰囲気を明るくし、発言しやすくする
- メッセージにリアクションする
- Slack等のメッセージにリアクションをつける
- 自分の発言を認めてもらえたような気持ちになり、発言しやすくなる
- Slack等のメッセージにリアクションをつける
- 感謝を伝える・拍手を送る
- サンクスカードやピアボーナスを贈ったり、定期的な感謝会を開くのも良いかもしれません。
- メンバーを「気にかけている」ということを表現すること。
※監視・マイクロマネジメントではなく、あくまでポジティブな気にかけ。
- 話しかける
- MTGの前等のちょっとした時間に積極的に話しかけてみましょう
- 前述の「感謝を伝える」と併せても効果的
- 助けてもらう
- 出来ないことは出来ないと割り切る
- 背負い込みすぎず、早い段階で助けを求める
- よくある「15分悩んで分からなかったら相談/質問」を受け入れる環境
- 立場や役職に関係なく、気軽に「これ教えて」と言う
- 後輩にも気軽に質問して良い!心を開放しているように感じる
- 相手より1枚薄く鎧を着る
- ガチガチにプライドを着込まない
- 相手より少しだけオープンでいる
- 気軽な質問や雑談もこれに該当する
- ネガティブで制裁するのではなく、ポジティブで伸ばす
- 行動した結果、ポジティブな見返りがあるようにする
- 例)困った時に相談したら、怒られずに助けてもらえた。
- 例)勇気を出して提案したら、否定されず受け入れてもらえた。
- 行動した結果、ポジティブな見返りがあるようにする
1on1を定期的に行い、ヒアリングと共に自己開示していくことも有効です。
リモートワーク下で効果的な手法
バーチャルオフィスを使用する
PC上にオフィスのような空間を用意し、そこに常駐し作業します。
そうすることで、「誰と誰が話している」という状況が分かったり、話しかけに行きやすくなるので、生産性が上がったという事例を見かけます。
休憩スペースを設けることで、雑談が発生するきっかけにもなります。
サービスによっては、会議しているところに近づいて聞き耳を立てることが出来たりと、柔軟に動けるものもあるので、より実際にオフィスに居る感覚を味わえます。
サービス例
oVice
アイコンを自由に動かすことができます。遠近で会話の声量が変わります。
テンプレート素材でオフィス空間を自由にカスタマイズすることが可能です。
Slack等、外部ツールとの連携も数多く可能です。
SpatialChat
アイコンを自由に動かすことができます。遠近で会話の声量が変わります。
画像や動画を自由にセットすることが出来ます。
画面共有も可能です。
Gather
Slackと同じようなチャットツールですが、ビデオチャットの機能が大きいサービスです。
アバターを動かして話しかけることで、通話が可能です。
ゲームのようなUIが面白い・親近感が湧くといった意見を見かけます。
NeWork
部屋を作り、出入りすることで会議が行えるツールです。
聞き耳機能もあるので、オブザーバーとして参加したり、盛り上がっている部屋を気軽に見に行くこともできます。
チームビルド, ワークショップを実施してみる
これらはチームビルディングはもちろん、定期的に行うことでも効果的です。
ドラッカー風エクササイズ
ドラッカー風エクササイズは、アジャイルサムライの著者であるJonathan Rasmusson氏が書籍やブログで紹介しているチームビルディングの手法です。4つの質問に全員が答えることで、相互理解の促進と期待のすりあわせという効果があり、特にプロジェクトの開始時や新メンバーを迎えるときに効果的であると言われています。
以下のような4つの質問に答え、順番に発表し合うことで、相互理解を深めます。
- 自分は何が得意なのか?
- どういうふうに仕事するか?
- 自分が大切に思う価値は何か?
- チームメンバーは自分にどんな成果を期待していると思うか?
詳しい実施方法は以下記事をご参照ください。
偏愛マップ
マインドマップの趣味嗜好バージョンです。
マインドマップとは、思考を枝分かれで書き出していくマップのことです。
自分の趣味嗜好を開示することで、相互理解が深まったり、トークのきっかけにもなります。
また相手の価値観や大事にしていることが分かり、コミュニケーションの壁が低くなります。
マップの作成におすすめのツール
スキルマップ
お互いの得意分野や、伸ばしたい分野を知ることができます。
これにより質問や相談がしやすくなったり、成長のための手助けもしやすくなります。
例)
他己紹介
二人一組になり、自分が相手の自己紹介を発表するゲームです。
1.グループを作ります。全体の参加人数が少ない場合(10名程度)は、1グループでも構いません。
2. グループ内でさらに2人1組になってもらいます。
3. 運営者はあらかじめ決めておいた項目(名前、出身地、仕事など)と制限時間(1名あたり1-2分)を全体に伝えます。
4. 運営者がスタートと言ったら、ペアのうち1名がパートナーへ自分についての自己紹介します。
5. 制限時間になったら、今度はもう一人がパートナーへ自分についての自己紹介をします。
6. ペアの両方の自己紹介が終わったら、1名づつ自分のパートナーについてグループメンバーに紹介します。
7. グループメンバー全員が他己紹介を終えたら、終了です。
詳しい実施方法は以下記事をご参照ください。
ベストフレンドS(ボードゲーム)
『ベストフレンドS』は、毎回1人が出題者となり、「マイベストな旅行先」などのお題を発して他全員から「いちばん喜ばれるはず」と提出された回答群を吟味して評価する、盛り上がりながらお互いを分かり合えるカードゲームです。
新・RPGジョブ診断
診断結果から、その人の価値観や大切にしていること、得意分野が分かります。
結果を共有することで、相互理解を深めるきっかけになるかと思います。
▼結果例
さいごに
心理的安全性は、一朝一夕で高めることはできません。
また、チームメンバーみんなの理解があってこそ成り立つものです。
本記事が、誰もが安心してイキイキと働ける職場作りのきっかけとなれば幸いです。
また、他にもおすすめの手法やワークショップ等があれば、ぜひコメントで教えて頂けると嬉しいです。