はじめに
この記事の目的
- アクセシビリティという言葉の概要を知る
- アクセシビリティのための具体的な取り組みを知る
目指すレベル感
- 「言葉だけ知っている」から「ざっくりこういうこと」を説明できる状態になる
- 言葉の意味と具体例に絞り、歴史的背景や周辺知識などは深く説明しない
アクセシビリティとは?
webアクセシビリティを理解するにあたって、まず「アクセシビリティ」という言葉の辞書的な意味を押さえます。
アクセシビリティ(accessibility)とは、近づきやすさ、利用しやすさ、などの意味を持つ英単語で、IT分野では、機器やソフトウェア、システム、情報、サービスなどが身体の状態や能力の違いによらず様々な人から同じように利用できる状態やその度合いのことを指す。
ここでの「身体の状態や能力の違い」とは、身体的・環境的制約を指します。
誰にとっても同じように情報の入手、サービスの利用が可能であるということですね。
なお、混同されがちな単語に「ユーザビリティ」があります。
アクセシビリティが「誰にとっても使いやすい」が目的であるのに対し、
ユーザビリティは「ターゲットとなる特定の人・状況において使いやすい」が目的です。
webアクセシビリティとは
アクセシビリティの中でも特に「Webにおいて、あらゆる人が情報や機能を利用しやすい状態」を表す言葉です。
開発の4つの原則
webアクセシビリティのための取り組みにはガイドラインが存在します。
国際基準として広く知られているのは、Web技術の世界的標準化をおこなっている団体であるW3C(World Wide Web Consortium)の定めた「WCAG(Web Content Accessibility Guidelines)」です。
W3Cが掲げる4つの原則というものがあり、以下の通りです。
- 知覚可能 - 情報及びユーザインタフェースコンポーネントは、利用者が知覚できる方法で利用者に提示可能でなければならない。
- 操作可能 - ユーザインタフェースコンポーネント及びナビゲーションは操作可能でなければならない
- 理解可能 - 情報及びユーザインタフェースの操作は理解可能でなければならない。
- 堅牢 (robust) - コンテンツは、支援技術を含む様々なユーザエージェントが確実に解釈できるように十分に堅牢でなければならない。
日本では日本工業規格(JIS)として制定された、「高齢者・障がい者等配慮設計指針-情報通信における機器、ソフトウェア及びサービス」(JIS X8341シリーズ)という規格が、アクセシビリティの基準として体系的に整備されています。
W3Cの国際基準に則るように改正が行われているため、アクセシビリティのための取り組みはJISを用いることで可能となります。
取り組みの具体例
誰にとっても、どんな状況においても情報の入手が可能である状態とは、具体的にどのような取り組みによって作られるのかを見ていきます。
観点別に3つ紹介します。
視覚的配慮
目の不自由な方向けの対応です。
視力が低い、色の認識が難しいなどの不便に対し、以下のような対応がされています。
- スクリーンリーダーでの読み上げのため、画像にalt属性を付与する
- 文字を大きくする
- 色のコントラストをはっきりさせる
聴覚的配慮
耳の不自由な方向けの対応です。
音で情報を伝えることが難しいため、以下のような対応がされています。
- 動画に字幕をつける
- デバイスのLEDライトの光り方で情報を分ける
デバイスの入力機能についての配慮
マウスorキーボードしかない環境下である、あるいは四肢が不自由でデバイスの入力機能をうまく使えない方に向けての対応です。
- クリックだけでなくタブ移動に対応する
- 音声入力対応
- アイトラッキング
Webアクセシビリティを向上させると何が良いのか
様々なユーザーに見てもらいやすくなる
Webアクセシビリティが向上するほど、そのWebページを利用できるユーザー層が増えます。
SEO対策になる
Webアクセシビリティが高いページは、それだけ多くのユーザーに利用され、利用しやすいページであるという評価を受けやすくなります。
検索上位に表示されるかどうかの基準として「ユーザーにとって使いやすいかどうか」は大きな評価基準です。
最後に
- Webアクセシビリティとは「Webにおいて、あらゆる人が情報や機能を利用しやすい状態」を表す言葉である
- Webアクセシビリティの取り組みには様々なものがある
- Webアクセシビリティを向上させることでユーザーにとって利用しやすいページとなり、SEO対策にもなる
参考サイト
アクセシビリティとは - 意味をわかりやすく
アクセシビリティとは?Webにおける外せないポイントも含めて具体例を交えて解説
Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.1 (日本語訳)