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株式会社ACCESSAdvent Calendar 2020

Day 9

【Kotlin】SharedFlowとStateFlowを読み解く

Last updated at Posted at 2020-12-08

前置き

ACCESS Advent Calendar 2020 の9日目です。
初学者向けKotlin Coroutines Flowの続きで、SharedFlowとStateFlowに関する記事です。

Flowの復習

Flowはこういうやつでしたね。

View    |  ViewModel    | UseCase〜深層
-----------------------------------------------
        |               |
イベント  →  Coroutine起動 → 時間のかかる処理(非同期)
          |                   |       ↓↓↓
描画  ←←←  出力データ加工 ←←← 出力データ送信(複数回)
        |               |
CounterUseCase.kt
suspend fun countStream(): Flow<Int> = flow {
    repeat(100) { count ->
        delay(100)
        emit(count) // 0 1 2 3 4 ... 99
    }
}

※View/ViewModelのコードは省略。こちらに載ってます。

Flowでの値の更新は、上記UseCaseのflow { ... }ラムダ式中でしかできません。
つまりViewModel側では値を更新できず、また.valueみたいに値の参照もできません
Subscribeしてる数だけflow { ... }ラムダ式が呼ばれてしまうのも特徴です。

それだと状態保持とか処理リソースの節約には向いてないってことで、ホットストリームなFlowとして登場したのが、今回紹介するSharedFlowStateFlowです。

SharedFlowとは

複数箇所でのSubscribeでデータや状態を共有できるFlowで、処理リソースの節約に向いてます。
ただのFlowと違う点は以下。

sharedFlow.onEach {
    println("1")
}.launchIn(scope)

sharedFlow.onEach {
    println("2")
}.launchIn(scope)
  • こんな感じで複数Subscribeしててもflow { ... }ラムダ式側は1回しか呼ばれない
  • 処理開始/Subscribe終了のタイミングを選択できる(後述)が、これを適切に指定しないとSubscribeされ続ける
    • このサンプル
      LatestNewsActivityのとこ)みたいにLiveDataに変換し、observe引数にLifecycleOwnerを設定すれば、表示中だけのSubscribeも可能
  • 色々高機能
    • replay: Subscribeした瞬間、過去のn回の値を受信する
    • buffer: 複数Subscribeかつ処理に時間がかかるとき、1回目に行われた処理をバッファリングして、2回目以降を早くしてくれる(一言では説明しにくい…こちらがわかりやすい)

↑このように書くことで、1つだけのFlowインスタンスを全ての場所で利用でき、監視は必要な間だけ動作します。また、このように書き換えると永続的に監視しつつ、replayで最後に発行された10個を常に受信します。

StateFlowとは

状態保持に特化したSharedFlowです。
LiveDataに似ていますが、LiveDataはAndroid、SharedFlowはKotlinのフレームワークです。とはいえ、LiveDataの後継機能として使うこともできます。

  • 初期値が必須
  • 現在の状態を.valueで受け取れる
  • MutableStateFlowを使えば、.valueへの代入も可能
    • その際Coroutines Scopeは不要
  • launchInで直近の値を1つ受信する
  • 同じ値の代入は受信しない
  • waitとかを挟まず連続して値が変更されたとき、最後の値しか受信しない
    • つまり「状態」が「保持」されないと「状態変化」とみなされない

LiveDataとの違いは、こちらの記事がわかりやすいです。

sharedFlowでは、Viewを開いたタイミングでflowが処理中(サーバー通信中とか)だったら、直近の値をどう表示するのかで迷います。しかし、stateFlowでは.valueに直近の値がキャッシュされているので、迷わずに済みます。

初期化方法

MutableSharedFlowlink)、MutableStateFlowlink)を使い、このように初期化します。

もしくは、shareInlink)、stateInlink)を使い、このように変換します。shareInsharedFlowインスタンスを、stateInstateFlowインスタンスを返します。

注意点

関数の戻り値でshareInstateInをしてはなりません。それをすると、関数の呼び出しごとに新しいSharedFlowまたはStateFlowが作成され、リソースの無駄遣いになります。

また、このuserIdみたいな1つの入力に対して1つの処理結果をシーケンシャルに返すFlowは、ホットストリーム化して複数のSubscriberがいると誤動作する可能性があります。shareInstateInで安易に共有してはならないパターンです。

処理開始タイミングの指定

shareInstateInはFlowをホットストリーム化するので、flow { ... }ラムダ式の処理開始タイミングを指定できます。SharingStartedオプションで、

  1. shareInstateInの際に開始して永続的に有効なEagerly
  2. Subscribeが行われた際に開始して永続的に有効なLazily
  3. Subscribeが行われた際に開始して、Subscribeされている間だけ有効なWhileSubscribed

を選択することができます(詳細はこちら

結局どれがいいのか

…は、場合によって異なります。大事なのは、要件に応じてFlow/SharedFlow/StateFlowを適切に使い分けることです。

どうしても迷うときは、

  1. Subscribe場所の結果に狂いが生じないこと
  2. リソースの無駄遣いにならないこと

を念頭に置いて判断しましょう。

関連記事

あとがき

本記事の内容が、関連記事とあわせて技術書典12新刊のACCESSテックブック2に収録されました!

参考文献

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