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上智大学エレラボAdvent Calendar 2020

Day 4

~/.python_history に空白文字が正しく記録されない

Last updated at Posted at 2020-12-03

この記事は、上智大学エレクトロニクス研究部Advent Calendar第4日目の記事です。

エレラボでは、Pythonユーザーが多く、僕のそのうちの一人です。そんな愛してやまないPythonですが、最近 ~/.python_history の形式がおかしくなってしまっていることに気が付きました。これは一大事です。なんとかして解決しないと…!

事象

MacOS Catalinaで ~/.python_history ファイルの空白文字が \040 に、 \\134 に、 水平タブ が \011 置き換わってしまう。
また、 ~/.python_history の先頭に _HiStOrY_V2_ という謎のおまじないが書き込まれる。

head -n 5 ~/.python_history
_HiStOrY_V2_
import\040secrets
[secrets.token_urlsafe(16)\040for\040_\040in\040range(10)]
[secrets.token_urlsafe(12)\040for\040_\040in\040range(10)]
[secrets.token_urlsafe(8)\040for\040_\040in\040range(10)]

対処方法

GNU版の readline をリンクできるように設定した状態で Pythonのビルドを行う。

export CFLAGS="-I$(brew --prefix readline)/include -I$(brew --prefix openssl)/include -I$(xcrun --show-sdk-path)/usr/include"
export LDFLAGS="-L$(brew --prefix readline)/lib -L$(brew --prefix openssl)/lib"
# Pythonのビルド

(上記は Homebrew を用いて GNU版の(以下純正と表記) readline をインストールした場合)

書き換わってしまった ~/.python_history は、以下のように行頭を削除し、 エスケープされた文字を元の文字に置き換える。

cp ~/.python_history ~/.python_history.bak && cat ~/.python_history.bak | sed -e '1d' | unvis > ~/.python_history

ただし、行頭の _HiStOrY_V2_ を消すと、原因となっているPythonインタプリタを実行し、終了した時点ですべての履歴を消される。原因となっているPythonインタプリタと readline がリンクされたPythonインタプリタを共存して使いたい場合、行頭を残すために以下のように編集すると良いだろう。

cp ~/.python_history ~/.python_history.bak && cat ~/.python_history.bak | unvis > ~/.python_history

/usr/bin/python3 を使わないようにする

xcode-select --install によってインストールされるPythonには、 libedit がリンクされている。readline がリンクされているPythonインタプリタを常用する場合、/usr/bin/python3 を使わないことをおすすめする。

再現手順

以下のように、 LDFLAGS を設定せずにPythonのビルドを行うと、 XCode SDKに含まれる readline のフリをした libedit がPythonの readline モジュールとしてリンクされてしまう。

wget https://www.python.org/ftp/python/3.8.1/Python-3.8.1.tgz
tar -xvzof Python-3.8.1.tgz
mv Python-3.8.1 Python-3.8.1.tgz ~/Downloads
cd Python-3.8.1
./configure --enable-optimizations --prefix=$HOME/Downloads
make
make test  # この時点で `~/.python_history` が書き換わる
./python.exe
>>> import secrets
>>> [secrets.token_urlsafe(8) for _ in range(10)]

このようにlibedit がリンクされたPythonを開き、コマンドを実行すると、 空白文字が \040 に置き換わってしまうことがわかる。

tail -n 2 ~/.python_history
import\040secrets
[secrets.token_urlsafe(8)\040for\040_\040in\040range(10)]

原因

そもそも、なぜ XCode SDK に純正の readline が入っていないのか?それは、 readline がGPLライセンスで、 libedit がBSDライセンスだからだと言われている。Appleとしても自社のコードを守るためにGPLライセンスのものを極力同梱したくないだろう。そんな理由で使われている libedit は上記の通り readline と互換性がなく、このような問題を引き起こしている。
それを回避するためには、純正の readlinehomebrew でインストールし、冒頭の通りライブラリのパスさえしっかりと設定する。この設定を行えば問題は解消する。

export CFLAGS="-I$(brew --prefix readline)/include -I$(brew --prefix openssl)/include -I$(xcrun --show-sdk-path)/usr/include"
export LDFLAGS="-L$(brew --prefix readline)/lib -L$(brew --prefix openssl)/lib"
# Pythonのビルド

ちなみに、 Homebrewreadline をインストールした場合、 caveatsreadline を使いたいなら LDFLAGS, CFLAGS をいじるように警告が出るようになっている。

readline is keg-only, which means it was not symlinked into /usr/local,
because macOS provides the BSD libedit library, which shadows libreadline.
In order to prevent conflicts when programs look for libreadline we are
defaulting this GNU Readline installation to keg-only.
For compilers to find readline you may need to set:
  export LDFLAGS="-L/usr/local/opt/readline/lib"
  export CPPFLAGS="-I/usr/local/opt/readline/include"

そもそも readline って何??

この記事を参考にしてください
この記事はアドベントカレンダーのものなので続きは別の日に公開します。
readline の解説記事を 明日(12/5)に公開予定します。ぜひご購読お願いします!!

他にもネタが思いつく限りどんどん投稿していこうと思います。他の部員も面白い投稿をたくさんしてくれているので、ぜひいいね/購読よろしくお願いします!
上智大学エレクトロニクス研究部Advent Calendar
上智大学エレクトロニクス研究部の公式サイト

参考文献

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