※こちらは,会社の技術ブログとのクロスポスト記事です.元の記事はこちら
LaTeXは,外部パッケージを利用できます.
パッケージを利用すると,より良い文書を書くことができます.
この記事では,LaTeXの便利なパッケージを紹介します.
パッケージの使い方
texファイルの先頭で外部パッケージの利用を宣言します.以下は一例です.
\documentclass[twocolumn, 11pt]{jsarticle}
\usepackage{balance}
\usepackage{amsmath, amssymb, bm}
\usepackage[all, warning]{onlyamsmath}
\usepackage{booktabs, multirow}
パッケージが存在しない場合,CTANやその関連サイトからダウンロードできます.
CTANでは,TeXに関連するファイルやソフトウェアが多数公開されています.
一部のパッケージは,パッケージ間に依存関係があります.
他のパッケージの設定を上書きする場合があるので,記述の順番に注意が必要です.
balance
これは,2カラムの論文を書く場合に利用するパッケージです.
使い方は,参考文献の前で\balance
と書くだけです.
balanceの導入前後で,論文の最終ページは以下のように変わります.
balanceを導入することで,文章の高さを揃えることができます.
amsmath, amssymb, bm (, onlyamsmath)
これは,数式環境に関するパッケージです.例を示します.
非推奨の数式
\begin{eqnarray}
\mbox{Vector: } & \boldsymbol{x} = (x_1, x_2, \ldots, x_d) \in {\rm I\!R}^d\\
\mbox{Vector: } & \vec{x} = (x_1 ,x_2, \dotsc, x_d) \in \mathbf{R}^d
\end{eqnarray}
推奨する数式
\begin{align}
\text{Vector: } & \bm{x} = (x_1, x_2, \dots, x_d) \in \mathbb{R}^d
\end{align}
以上.
$d$次元の実数値ベクトルを記述する場合,式(3)の書き方を推奨します.
eqnarray ⇒ align
,mbox ⇒ text
,boldsymbol, vec ⇒ bm
, ldots, dotsc ⇒ dots
,{\rm I\!R}, mathbf ⇒ mathbb
です.
onlyamsmath
は,amsmath
でない数式環境を検知して警告やエラーを出せます.
ここでは,パッケージの紹介に留め,細かな違いの言及は避けます.
booktabs, multirow
これは,表環境に関するパッケージです.例を示します.
\begin{table}
\begin{center}
\setlength{\tabcolsep}{3pt}
\small
\caption{非推奨の表}
\begin{tabular}{cccc} \hline
& 要素A1個 & 要素A2個 & 要素A3個 \\ \hline
要素Bあり & a & b & c \\
要素Bなし & x & y & z \\ \hline
\end{tabular}
\end{center}
\end{table}
\begin{table}
\centering
\caption{推奨する表}
\begin{tabular}{ccccc} \toprule
& & \multicolumn{3}{c}{要素A} \\ \cmidrule{3-5}
& & 1個 & 2個 & 3個 \\ \midrule
\multirow{2}{*}{要素B} & あり & a & b & c \\
& なし & x & y & z \\ \bottomrule
\end{tabular}
\end{table}
begin{center}...end{center} ⇒ centering
,hline ⇒ toprule, midrule, bottomrule
です.
重複する単語を書かず,multicolumn
やmultirow
でまとめると良いです.
表に縦の罫線を書くのは非推奨です.
上の項目名を2段に分け,間に罫線を引くと,横の項目名と中身の境界がわかりやすいです.
2カラム論文の横幅は狭いため,表1の横幅を今より大きくすると警告が出ました.
tabcolsep
で横の余白を調整できます.
文字サイズを変更するsmall
やfootnotesize
も有効です.
resizebox
やscalebox
を利用する手もあります.
その他
その他,便利なパッケージをまとめて紹介します.
-
algorithm
,algpseidcode
: プログラムコード,疑似コードが書ける -
cite
: 高機能な文献参照ができる -
enumerate
orenumitem
: 高機能な箇条書きができる -
geometry
: 高機能な文書レイアウトの変更ができる -
hyperref
: ハイパーリンク付きの文書が書ける -
pxjahyper
:hyperref
の機能を拡張する -
subcaption
: 複数の図を並べる -
url
: LaTeXの特殊文字を含むurlが簡単に書ける -
xcolor
: 高機能な色変更ができる
終わりに
この記事は,LaTeXの便利なパッケージを紹介しました.LaTeXは,日々進化しています.
素のLaTeXや,最初に学んだLaTeXを使い続けるのは辞めて,新しいLaTeXを積極的に利用しましょう.