皆さんは,正の整数を2つのグループに分ける場合,どのように分けますか?
多くの人は,偶数 (Even number) と奇数(Odd number) に分ける筈です.
一方で,正の整数は Evil number と Odious number に分けることもできます.
この記事では,以下のページで紹介されている2つの数字を日本語で紹介します.
この数字ですが,科学ライター兼Vtuberの彩恵りりさんが昨年末に言及されています.
また,共立出版の数学ゲーム必勝法 全4巻でも言及されているようです.
(私はこの書籍を所持しておらず,翻訳ノートしか見ていないので,詳細はわかりません)
Web上では,上記2件以外の日本語情報が見つかりませんでした.
この記事では,Evil number とOdious numberをどう日本語訳すべきかも併せて議論します.
Evil number と Odious number の定義
二進数への変換時に1を偶数個持つ非負の整数を「Evil number」という.
二進数への変換時に1を奇数個持つ非負の整数を「Odious number」という.
以上がEvil number と Odious numberの定義です.また,以下の関係性を持ちます.
「Evil number」ではない非負の整数を「Odious number」という.
「Odious number」ではない非負の整数を「Evil number」という.
ここで,非負の整数とは,0と正の整数,0含めた自然数のことです.
Evil numberは,以下のように続きます.
0, 3, 5, 6, 9, 10, 12, 15, 17, 18, 20, 23, 24, 27, 29, 30, 33, 34, 36, 39 ...
Odious numberは,以下のように続きます.
1, 2, 4, 7, 8, 11, 13, 14, 16, 19, 21, 22, 25, 26, 28, 31, 32, 35, 37, 38 ...
Evil number と Odious number の判定
非負の整数$x$が Evil number と Odious number のどちらであるか判定する方法は,簡単です.
定義通りに$x$を二進数に変換し,1の数を数え,偶数か奇数か判定するだけです.
MATLABなら以下のように書けます.
function evilOrOdious(x)
if mod(nnz(dec2bin(x) == '1'), 2)
fprintf('%dはOdious numberです', x);
else
fprintf('%dはEvil numberです', x);
end
end
1, 2, 4, 7, 8, 11, 13は,二進数に変換すると0001, 0010, 0100, 0111, 1000, 1011, 1101になるので,いずれもOdious numberになります.
Evil number と Odious number の日本語訳
Evilには,悪,邪悪,不正,不道徳,よこしまな,不吉,凶などの意味があります.
Odiousには,いやらしい、醜悪な、憎むべき,不快,不愉快などの意味があります.
そのため,Evil numberを直訳すると,「邪悪(な)数」になります.
対応するOdious numberは「醜悪(な)数」あるいは「嫌悪数」とすべきでしょう.
一方で,Evil numberは明らかに偶数 (Even number)を意識した命名であり,Odious numberは奇数(Odd number) を意識した命名です.
これを日本語に当てはめると,Evil numberは「愚数(ぐすう)」と読み,Odious numberは「鬼数(きすう)」と読むのが良いでしょう.
愚数と鬼数は,書籍「数学ゲーム必勝法」に登場する意訳となります.
wikipediaでは,Evil numberとOdious numberに関する中国語のページがあります.
そこでは,邪恶数と可恶数,あるいは邪惡數と可惡數のように書かれています.
可悪数の「可悪」は一般的な中国語のようですが日本語に存在しないので,その点をどう評価するかが判断の分かれ目になりそうです.
以上の単語を表にまとめてみます.
英語 | Even number | Odd number | |
---|---|---|---|
日本語 | 偶数 | 奇数 | |
英語 | Evil number | Odious number | |
〇悪な数 | 邪悪な数 | 醜悪な数 | |
〇悪数 | 邪悪数 | 醜悪数 嫌悪数 |
|
意訳 | 愚数(ぐすう) | 鬼数(きすう) | |
中国語 | 邪悪数 | 可悪数 |
いずれにしても,「悪魔の数字」や「忌数」などと混同されない日本語に訳することが重要だと考えられます.
終わりに
Evil number と Odious number を紹介し,その日本語訳についても議論しました.
個人的には,絶妙な翻訳である愚数(ぐすう)と鬼数(きすう)が好きです.
皆さんも適切な日本語訳を考えてみてください.