はじめに
記事をご覧いただきありがとうございます!アドベントカレンダー19日目を担当いたします、ニッセイ情報テクノロジー株式会社 プロダクト・サービス事業推進室の平賀です。
当社では、従来のSI開発に加えて、プロダクトやサービスを活用した事業の拡大に取り組んでおります。その中で、私は、事業拡大に向けた戦略策定や具体施策の立案に携わって、早3年となります。
本記事では、これまで業務コンサルとしてキャリアを積んできた私が、戦略策定業務へシフトする中で感じた気づきや学びを共有します。同じような転換期にいる方や、新しい視点を求める方が、自分のキャリアや業務へのヒントを得るきっかけになれば幸いです。
業務コンサルから戦略策定を担当するにあたっての気づき
最初に、戦略策定に携わった3年間で感じた業務コンサルとの違い(難しさ)を、3点あげます。
1. アウトプットの評価軸が曖昧になる難しさ
戦略策定では、正解のない問題に対して「会社としてどうあるべきか」を考え抜き、自分なりの答えを出す必要があります。しかし、具体的な成果が出るまで評価されにくく、特に初期段階では、自分の考えに自信を持ち続けることが難しいと感じています。
業務コンサル時代は、顧客や上司のレビューを通じて成果物のフィードバックが得られましたが、戦略策定では自ら責任を持ち、信念を持って進める力が求められると考えています。
2. 現実に即した戦略策定の重要性
業務コンサルでは、フレームワークや他社事例を活用し、顧客の事業戦略に合わせた効率的な施策を提案することで、一定の成果をあげることができました。
一方、戦略策定では、いくらフレームワークや他社事例を活用しても、自社の状況や文化には合致せず、策定した戦略案も経営陣には響きませんでした。
この経験から「具体的に誰がどのように行動するのか」を想像し、実現可能性を重視した戦略設計が鍵であると学びました。
3. 社内の賛同を得ることの重要性
戦略策定は、部署内だけで完結するものではなく、他部門を巻き込む必要があります。特に、戦略を推進するためには、他部署の課題感を共有し、共通の目標を描くことが重要です。
私自身は「まずは自身の目指したいことと熱意を伝え、小さな共感を積み重ねる」ことを意識しながら取り組みました。その結果、少しずつ社内の協力を得ることができたと考えています。
戦略策定において心がけていること
上記の失敗や気づきを踏まえて、今の私は次のようなことを心がけて業務にあたっています。
1. 会社と自分のゴールを重ね合わせる
自分にとってのメリットを見つけることで、戦略に対するモチベーションが上がると思っており、社会や会社への貢献が自分へのご褒美になるようなフローを思い描くようにしています。これによって、他の人への説明にも熱意がこもると思います。
2. 最初から綺麗に整理しようとせずに、情報を広く集めて俯瞰する
戦略策定では、通常のプロジェクト活動と違って、最初に落としどころを決めたり、細かい成果物やスケジュールを決めてその通りに進めようとすると失敗することが多いように感じます。
ですので、初期段階では、結論を急がずに考えを広げ、多角的な視点で情報を整理することを心がけています。
3. 現実的な実行可能性を考える
具体的な人を想像して、彼らがどのように考えて行動するのか、実行段階での具体的な動きを想像し、不足している要素を補完します。
これを、頭の中で人が動き出すまで繰り返します。上手に説明できないのですが、小説を読みながら、頭の中で登場人物を動かして、喋らせるようなことを、繰り返しやっています。
4. 社内の賛同を得るための熱意を持つ
他部門の視点を尊重しながら、自分の思いを伝えることで協力を得ます。これは、一度で終わることはなく、何度も、同じ内容のことを、手を変え品を変えて伝え続ける根気が必要になります。
おわりに
戦略策定は孤独な道のりに思えることもありますが、今回、3年間を振返って思ったのは、自分を信じて地道に努力し続けることが大切で、それによって、少しずつ味方が増えて、いずれ必ず道は開けるということです。
また蛇足ですが気付いたこととしては、戦略立案で重要なポイントは、プロダクト開発にも通じるものがあるということです。たとえば「机上の空論ではなく、具体的な実行を見据えた設計をすること」や「関係者を巻き込みながら共感を得ること」は、プロダクト開発でも欠かせない要素です。
戦略立案もプロダクト開発も、単なる計画や理論ではなく、人の行動や感情を動かし、価値を生み出すプロセスであるという点で共通しているのだと思います。
これからも、これらの視点を大切にしながら、自分自身も会社も成長していけるよう取り組んでいきたいと思います。