1.はじめに
みなさんこんにちは!
このたび、資格更新のため Google Cloud Professional Data Engineer (PDE) を再受験し無事合格することができました。
今回は資格の有効期限が迫っていたため、その維持のために約2年ぶりに再受験しました。日々進化するクラウドの世界で、この2年間で何が新しくなったのか、どのような知識をアップデートすべきか、という視点で試験に臨みました。
結論から言うと、試験の傾向は大きく変わったわけではありませんが、2年前と比べると出題されるサービス領域の変化、出題の重点がシフトしていると感じました。特に、サービスの統合やより実践的なシナリオ、そしてデータガバナンスやコスト最適化といった視点が、これまで以上に重視されている印象です。
この記事では、2度目の受験者という視点から、私が実践した具体的な学習方法、そして2年前の試験と比較して感じた最新の試験傾向と対策をまとめています。これからPDEの受験を考えている方、あるいは私のように資格の更新を控えている方にとって、この記事が合格への一助となれば幸いです。
2.Google Cloud Professional Data Engineer とは
PDE は、データを収集、変換、公開することで、ユーザーにとってデータを有効で価値のあるものにします。具体的には、ビジネス要件と規制要件を満たすためにプロダクトやサービスを評価し、選択する役割を担います。
公式サイトでは、以下のように説明されています。
プロフェッショナル データ エンジニアは、堅牢なデータ処理システムを作成して管理します。これには、データ処理ワークロードを設計、構築、デプロイ、モニタリング、維持、保護する能力が含まれます。
この資格を持つことで、大規模データの処理、分析、そしてデータに基づいた意思決定を可能にするためのスケーラブルなデータソリューションを構築する能力が証明されます。単に技術的な知識を問うだけでなく、ビジネス要件を理解し、最適なアーキテクチャを設計する総合的なスキルが求められます。
3.試験概要と受験時の注意点
試験の基本情報から見ていきましょう。この試験は、以下の形式で実施されます。
項目 | 詳細 |
---|---|
試験時間 | 2時間 |
登録料 | $200(税別) |
言語 | 日本語、英語 |
問題数 | 50〜60問 |
形式 | 多肢選択(複数選択)式 |
有効期限 | 2年間 |
注意点
合格ラインは非公開となっています。
PDE については、現時点で更新試験は存在しません。資格を維持するためには、有効期限内に再度 PDE 試験を受験する必要があります。
試験問題は、Google Cloudの最新動向を反映して更新されます。公式の試験ガイドに記載されている範囲に加え、日々発表される新しいサービスや機能にも目を向けることが、合格への重要な鍵となります。
詳細は、公式サイトにて最新の情報をご確認ください。
4.具体的な学習方法と使用教材
私は今回の試験対策として、過去に培った基礎知識を活かしつつ、最新情報のキャッチアップに重点を置きました。以下に、実際に活用した教材や学習方法をご紹介します。
認定試験ガイド
Google Cloud が公式に提供している試験ガイドは、最も重要な情報源です。試験の出題範囲や評価項目が網羅されているため必ず最初に目を通しましょう。このガイドは、知識のアップデートが必要な領域を特定する上でも役立ちました。
公式模擬試験
まずは、本番の形式に慣れるために公式の模擬試験を受験しました。全問数は多くありませんが、問題の傾向や、本番試験の雰囲気をつかむためにも有効です。
ラーニングパス
Professional Data Engineer 向けには、実践的なラボ演習を含むラーニングパス(Skills Boost)が提供されています。Google Cloud のデータサービス操作に慣れたい方には特におすすめです。ハンズオンを通して理解を深めるには非常に有効な教材ですので、ぜひ活用してみてください。
その他の学習リソース
Udemyで、受講生が多く評価の高いこちらの模擬問題集を利用しました。
GCP Professional Data Engineer Exam Practice Tests - 2025
問題の内容は、最新の試験傾向をおおよそカバーしており、問題形式に慣れるための演習としては非常に有効です。ただし、この教材だけで完結するのではなく、Google Cloud の公式ドキュメントなどと組み合わせて学習することで、より確実に知識を定着させることができます。
5.データエンジニアとして押さえるべき主要サービスの学習ポイント
Professional Data Engineer 試験では、多岐にわたる Google Cloud のデータサービスに関する深い理解が求められます。ここでは、特に重要となるサービスと、それぞれの学習のコツをご紹介します。
全体像の理解とアーキテクチャ設計
試験では、個々のサービスの知識だけでなく、それらを組み合わせて最適なデータソリューションを設計する能力が問われます。「どのような条件において、どのサービスを使うか」を常に意識し、データライフサイクルの各フェーズ(収集、保存、処理、分析、ガバナンスなど)で最適なサービスを選定できるようになりましょう。
特に、バッチ処理とストリーミング処理の使い分け、スケーラビリティ、費用対効果、セキュリティ、信頼性といった非機能要件を考慮したアーキテクチャ設計の視点が重要です。
主要サービスと学習のヒント
BigQuery
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ポイント: 大規模データ分析の基盤。パーティショニング、クラスタリングによるクエリ最適化とコスト削減は必須知識です。INFORMATION_SCHEMAを使ったメタデータ確認や、DML / DDL の基本的な概念も押さえておきましょう。
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実践: 大容量データセットでのクエリ実行演習、費用見積もり、外部テーブルの活用シナリオを試すのが効果的です。
Dataflow
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ポイント: Apache Beam を基盤としたデータ変換・処理サービス。バッチとストリーミングの両方に対応します。パイプラインのライフサイクル、カスタムテンプレートの作成と利用、エラーハンドリング、データの再処理といった概念を深く理解しましょう。
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実践: 簡単なパイプラインを構築し、異なるデータソース(Cloud Storage, Pub/Sub)との連携、エラー発生時の挙動、モニタリング方法を実際に試すことが重要です。
Pub/Sub
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ポイント: リアルタイムデータ収集と配信の要。オープンソースである Apache Kafka との役割の違いを理解すると、よりサービスの特性が理解できます。トピック、サブスクリプション、メッセージの順序付け、デッドレターキュー、プッシュ/プルモデルの特性と使い分けに関する理解が求められます。
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実践: メッセージの発行と受信を行うシンプルなアプリケーションを作成し、リアルタイムでのデータの流れを体感しましょう。
Cloud Storage
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ポイント: 様々なデータ形式の格納先。ライフサイクル管理、ストレージクラスの選択(Standard, Nearline, Coldline, Archive)、IAMによるアクセス制御、データの整合性に関する理解が求められます。
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実践: 実際のデータレイク構築を想定し、異なるストレージクラスでのバケット作成や、ライフサイクルルール設定などを試してみましょう。
Data Catalog
- ポイント: データの発見性と管理。エントリ、タグ、タグテンプレートの概念と、データ資産への適用方法を理解しましょう。PII (個人特定可能情報) の特定と保護といったガバナンスの観点からも重要です。
費用とセキュリティの視点
データエンジニアは、単にシステムを構築するだけでなく、費用最適化とセキュリティも考慮する必要があります。各サービスの料金体系を理解し、データ量や処理量に応じたコスト効率の良い設計を意識しましょう。また、IAMによるアクセス管理、データ暗号化、DLP (Data Loss Prevention) による機密情報の保護といった、セキュリティベストプラクティスも重要です。
最新動向へのキャッチアップ
Google Cloud のサービスは日々進化しており、新しいサービスや機能がリリースされています。試験対策においては、公式ガイドだけでなく、Google Cloud が発信する最新の情報をキャッチアップすることも重要です。
※注意:
ここに記載したサービスは代表的なものであり、他にも学習が必要なサービスは多数存在します。試験ガイドには明記されていないサービスについても、最新の動向を追って学習しておくことをお勧めします。
6.本試験の感想と手応え
これまでの学習内容がしっかりと問われていると感じ、自信をもって解答を進めることができました。具体的な正答率はわかりませんでしたが、手応えは十分にありました。
試験の傾向
試験が実践的なシナリオ問題で構成されているという点は、2年前と変わりないと感じました。しかし、出題されるサービス領域には変化が見られました。以前と比べて、より新しいサービスや、データガバナンスに関する問いが重視されている印象です。
全体として、以下の点が重要だと感じました。
- アーキテクチャ設計:リアルタイム処理、バッチ処理などに応じた最適なサービス選定と、それらを統合したソリューション設計
- 非機能要件:コスト効率の良い設計や、IAM、DLPなどを用いたセキュリティ対策
- 最新動向:公式ガイドには記載されていない、比較的新しいサービスや機能に関する知識
手応えと難易度
全体的な難易度は、前回の受験時と大きくは変わりませんが、より深い理解が求められるようになったと感じました。単にサービスの機能を暗記するだけでなく、「なぜその設計が最適なのか」「それぞれの設計が持つメリットとデメリットを理解しているか」といった、本質的な部分が問われている印象です。
この試験を通じて、Google Cloud のデータサービスを包括的な視点で捉える力が身についたと実感しています。
7.まとめ
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
本記事では、Google Cloud Professional Data Engineer の受験記として、私が実践した学習方法や、2度目の受験で感じた試験の傾向をまとめました。
この資格は、日々進化するデータドリブンな時代において、単なる知識を問うだけでなく、ビジネス課題を解決するための総合的なスキルを証明するものです。私自身、2年という時間を経て再挑戦したことで、Google Cloud のデータサービスをより包括的かつ実践的な視点で捉える力が身についたと実感しています。
記事で紹介した内容が、これから試験に挑戦される皆さんの合格の一助となれば幸いです。