この記事はQiita Engineer Festa 2023参加記事です。
人事部にて、採用・人材開発・組織開発領域のマネージャーを担っています。
採用については、面接・面談等のフロント業務を担う機会が減ってきているここ数年でしたが、直近数ヶ月間は再びエンジニアのキャリア採用面談に出る機会が増えていました。
今回は、そんなここ最近の採用における取り組み内容・気付き・採用現場からキャリアを考えた話をアウトプットしていこうと思います。
※当記事で書いていくことは「これがベスト!」という話でもなければ、誰かに押し付けたい話でもない、個人としての振り返りです。
はじめに
うるるのエンジニア採用では、現在「スクラム採用体制作り」を推進しています。
本格的に力を入れ始めたのは、遡ること約1年半前。
チームメンバーと一緒にうるるにおけるスクラム採用体制の理想状態を定義するところから始めました。
採用に関わる現場エンジニアメンバーと人事で、共通認識を持った上で同じ方向を向ける採用活動を行っているのが今の状態です。
今に至るまでの背景については、昨年12月のアドベントカレンダーにて、スクラム採用体制作りを主導しているチームメンバーがまとめているこちらの記事をぜひご覧ください。
直近の取り組み -有効母集団形成 / CX向上-
現在の採用体制となってから様々な施策の実行・検証改善を行ってきました。
今回はその中でも、スクラム採用体制で有効母集団形成を狙って取り組んだ話にスポットライトを当てたいと思います。
これまでの歴史
うるるでは有効母集団形成・採用CX(Candidate Experience)向上に数年前から特に力を入れてきています。
母集団形成に後々繋がっていく認知拡大を狙い、2022年度は人事部予算に初めてエンジニア採用マーケ費用を組み込んだ予算策定を上司に提案・実現まで運び、多くのエンジニアが社外に露出する機会作りと受け皿の設計を行ってきました。
候補者様との接点については、全ての流入経路 / 採用ポジションでカジュアル面談スタートとするフローに改定を行い、相互理解を深めた状態で選考が始められる状態に移行してきました。多事業展開を行っている自社のビジネスモデル・ターゲットが様々なプロダクト・プロダクト毎に異なる技術スタックなどなど、採用マーケットにおける自社の立ち位置や見え方を踏まえて、というのが理由です。
見えてきた課題
カジュアル面談スタートのフローが定着してきた後、見えてきた課題はカジュアル面談実施後の選考流入率におけるものでした。スカウト経由でのカジュアル面談実施数が増えていく中、選考に進んで頂ける人数が増えない。。ポジションによっては流入率0%なんていう月もありました。涙
そこで、全社的にも採用優先度の高いポジションから、カジュアル面談にテコ入れを行っていくことをチームメンバーと始めました。
カジュアル面談の再設計
取り組んだことは、主に以下です。
- カジュアル面談勉強会の実施
- 現場のエンジニアと共に、場の設計について考える時間を作った
- 人事もカジュアル面談に参加
- 採用注力ポジションのエンジニア組織体制変更もあり、過去にも行っていたカジュアル面談同席を再開
- 事前準備をより入念に行う
- 事前に分かる過去のご経験・お勤め先情報から、現場エンジニア / 人事それぞれ今後のキャリア実現に向けて候補者様が望んでいることを仮説立てした上で当日に臨む
上記取り組みを行ったことで、定量・定性共に良い兆しが見え始めてきています。
定量面の変化
- 選考流入率の大幅な改善
- 半年前は選考流入率が一桁台だったところ、約50%の流入率まで向上
- 選考流入後の辞退率改善
- 取り組み前の四半期が約25%だったところ、約13%まで改善
定性面の変化
- 「相互理解を深める場」として機能するようになった
- 候補者様が求めている情報を、カジュアル面談時に多くキャッチし伝えられることが増えた
- スカウト経由の候補者様と、その後のやり取りがスムーズになった
- 人事が接点を持っておくことで、社内の人間ながらも第三者的関わりでフォローが行えるように
採用における良い兆しが見えてきたのは、現場のエンジニアメンバー達の協力体制あってのものと感じています。今後は、今回得た気付きや変化を他ポジションにも転用して、会社の資産としていきたいと考えています。
面談の場で感じた、キャリア形成の可能性
候補者様と面談で接する中で、採用だけではなくキャリア形成について考える機会が増えてきたことをここからは書いていきたいと思います。
日頃、自社従業員のキャリアや成長支援を考える時間が多い私ですが、社外の方とお会いする中で様々なキャリアへの思考に触れ、学び直しの一つの機会になりました。
- 多岐にわたる開発を行ってきた中で、今後自身の軸を何に置こうか模索中の方
- 元々持っていたキャリアビジョンがある中で、ビジョン実現のために必要な経験を再考されている方
- 20代のうちに様々な環境で経験を積み、そこからキャリアの方向性を定めていきたいと考えている方
そんな様々な考えを持つ候補者様にお会いしていく中で感じたこと。それは、「キャリアを考えた上での現時点での答え」と表現できる転職先で積みたい経験・身を置きたい環境がどなたかと一緒だったとしても、その答えに行き着くまでの思考プロセスには誰一人として同じものはないということです。
加えてこれまでの経験を意味付けし自分の気持ちに向き合うことが、その人ならではのキャリア形成に繋がるのだろうな、可能性は無限大なのだろうなと感じることが増えていきました。
自分らしいキャリアとは
周りを見渡すと、個のビジョンを明確に持っている人もいれば、絶賛模索中な人もいると思います。
ネット上の読み物には「個のビジョンを持ちましょう!」なんていう趣旨のものが多く存在していますが、言うほど簡単なものではないよな~と感じながら読むことが私は多いです。
そして、個のビジョンを明確に持っているからといって、迷ったり悩んだりすることがないかと言われればそんなことは無いとも思っています。ちなみに私は比較的明確に個のビジョンを昔から持っていますが、悩んだり迷ったり考えがまとまらなくて脳内が沸騰状態になることが定期的にあります。
そんな中、自分らしいキャリアって何なんだろうなぁと思考を巡らせるうちに行き着いたことがあります。
- 今、自分が心踊るものに目を向けること
- そして、なぜ心踊るものと言えるのかにも目を向けること
- その上で、自分を主語にして実現に向けてやるべきことを考えること
この先の人生を一番長く共にするのは、友人でも家族でもなく自分の心だと私は考えています。だからこそ、自分の選択は間違っていなかったと言い続けられる人生を歩むためにも、自分自身の心に向き合うことが、結果として自分らしいキャリアに繋がるのではなかろうかと考えています。
悩むことは、ネガティブではないという持論
職務柄も相まってキャリアに関する相談や悩みを打ち明けられることが最近増えていますが、「悩む・迷う」という表現は一概にネガティブではないと考えています。
悩んだり迷ったりする時って、対象となる物事に真剣に向き合っているからこそ出てくる感情なのではないかと思っています。向き合っているということは、少なからず現状を踏まえて「どうにかしたい」と考えていることとイコールと言えるはずです。
私自身も悩むことが多いタイプですし、その時は辛さを感じることも少なくはないです。ただ、その対象から目を背けないこと・自分の心の動きに気付かないふりをしないように意識してどうにかこうにかやってきています。
過去に起きた事象は変えられないですが、過去の経験をどう捉えるかは今から変えられることだと思います。そう考えると、悩みや迷いが出ることは健全な状態なのではないかな、なんて感じています。
さいごに
私は、世の中に絶対は無いと考えています。「絶対上手くいく」と言い切れることも、「絶対上手くいかない」と言い切れることも無いと考えています。
この話をすると、私のことをネガティブと言う人・ポジティブと言う人が結構分かれます。どちらも私としては当たっている面があると感じますが、自己認識ではポジティブ寄りなのではないかなと思っています。
「絶対」がないからこそ挑戦する意義があって、自分が描く状態に向けて努力することが必要だと思っています。(ただ、超絶心配性ではあるのでその意味ではネガティブかも...)
そんな思考を持っているからこそ、特にネガティブな方面で絶対的な言われ方をすると、「エスパーか何かですか?」と感じるのが率直なところです。(これはある曲の歌詞の一部なのですが、分かる人はいるかしら?笑)
正解も不正解もないのが自分らしいキャリアの作り方だと思いますし、自分の物差しで一歩ずつ歩んでいける人が増えると良いなと思っています。