LoginSignup
5
1

More than 3 years have passed since last update.

reinterpret命令

Last updated at Posted at 2020-12-15

はじめに

reinterpret.png

  • いつも挿入している命令をグルーピングした図ですが、今回は特段芸術的な仕上がりになりました。12
  • 例えば、vreinterpretq_f32_s32int32x4_tを引数として、float32x4_t型を返す
  • 前述の図をよーく見ると、芸術的な網目の中に、水平に引かれている線は一本も無いことが分かる
    • 同じ型を同じ位置に並べており、同じ型への変換命令は存在しないため、水平線が存在しない

reinterpret命令

  • 大前提として、この命令はアセンブラ上には現れない命令である。
  • CPUはレジスタにデータを読み書きする訳ですが、C/C++は「float」「int」みたいに気をつけてはいるもの、レジスタ上には「int用のレジスタ」「short用のレジスタ」と区別はしていません
  • そのため、CPUがデータを読み出す際に「この命令はfloatとして扱う」というふうに、レジスタのデータをちゃんと解釈(interpret)する必要があります3
  • C/C++のcastが近いですが、castは値の変換を含みます。
float f = 1.0f;
int a = (int)f;
  • 前述のコードで、変数fには、16進数表記で0x3F800000が含まれているが、変数aには0x1が代入される。
    • これは、浮動小数点数の$1.0$を整数型の1に変換している
  • 一方で、本日紹介しているreinterpret命令は以下の処理を行っている4
float f = 1.0f;
int a = *(int*)&f;
  • ベクトル型は、前述のような変換を伴うcastは認めて無く、明示的にreinterpret命令で再解釈してやる必要がある
  • また、ベクトルの型の暗黙の型変換も認めておらず、明示的にエラーが上がります。5
 note: use -flax-vector-conversions to permit conversions between vectors with differing element types or numbers of subparts
  • 以上はGCC 7.5.0でのwarningメッセージ
    • warningメッセージだが、エラーも出る
  • オプションに-flax-vector-conversionsがあれば、コンパイラが暗黙の型変換を認めてくれるが、手間を考えると、逐一reinterpret命令を挟んだほうがいいと思う。
  • 実際にアセンブラには現れず、その代わり、レジスタを読む次の命令が、レジスタを整数なり浮動小数点数なり、再解釈した値で読んでくれる。

「変換」ではない

  • reinterpret命令のポイントは「変換」ではないということです。
  • 何でこんなのが必要になるかと言うと、明日のpopcount命令への布石です。

おわりに

  • 今日はreinterpret命令を紹介しました
  • 明日も手島の予定でpopcount命令を紹介します。

  1. 実はこの図は厳密には正しくありません。図を愚直にたどると、vreinterpret_xxx_p128という命令が存在しうる形になっていますが、qが付かないreinterpret命令は64bit幅のレジスタを扱います。しかし、p128が末尾に付くということは引数としてpoly128_t型を取るということなので、レジスタbit幅の辻褄が合いません。しかし、そこを省いて描くと、ただのカオスな樹形図になってしまうので、そこは敢えて目をつぶって今回の図を描きました。 

  2. っていうか、poly128_t型なんてあるんですね。筆者もこの記事を書いてて初めて知りました。まあ、SI M D型ではないので、省いてもよかったかも? 

  3. 予防線を張っておくと、FPU専用レジスタが用意されてる場合は「floatを保存する専用のレジスタ」が存在するわけですけれど、本記事の主題とは外れるのでそこは割愛します 

  4. 最近、C++ではこれがお行儀の宜しくない書き方だと知ったが、それはそれ 

  5. GCCで確認。でも多分MSVCやClangでも同じだと思う。 

5
1
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
5
1