勤め先
優秀なエンジニアと豊富な経験のある、業界のリーダー的企業です。
プロジェクトの性質
- 他の会社を含め、同じような製品や技術を持っている先駆者がいません。何もかも自分たちで決めていく必要があります。
- お客様に販売する以外にも、自分たちが使うという目的も持ったソフトウエア開発のプロジェクトです。
- 従来の開発プロセスを変革するようなプロジェクトです。
- 社内に学術的・技術的な有識者がほとんどいません。
運が良かったと思うこと
学術的な面は自分がカバーできた
学術的に不足していると思われたことについては、僕自身が元から持っていた知識に加えて、少し勉強することでカバーできました。
技術的な面も自分や他メンバーの頑張りでカバーできた
プログラミングスキルなどの技術的な面についても、お願いしている会社が非常に優秀だったことに加えて、メンバーにもその辺に長けた方がいたので、そこそこいいものになっています。
性能的にはいいものができている
学術的・技術的な部分が自分たちでカバーできているので、製品の性能としては非常にいいものが出来上がっています。競合となるベンダーと比べてもぶっちぎりの性能と自信を持って言えます。
できていないこと
業界の動向分析ができていない
開発プロセスを変革するプロジェクトなので、本来は自分たちも含めて将来の動向予測をする必要があるのですが、期限とかいうものによってその時間が取れていませんでした。
どんな機能を入れるにしろ、業界全体の将来像ができていないと必要な機能なのかどうか判別できません。入れたい機能をなんとなく入れるソフト開発になってしまいそうでした。
ソフトウエアの構成についてはじめの方に真剣に考えるべきだった
業界動向の分析や将来像構築が大前提ですが、これから作っていくソフトウエアをどういう構成で作っていくか、どの部分をライブラリにして、インクルード関係はどうするのか、最初の方にある程度考えておくべきでした。
今になって少しずつ変えていこうとはしていますが、時間がかかって仕方ないです。
どういう構成にしておけば自分たちの相手にしているお客様にリーチできるか、そこからスタートしないと、性能が素晴らしくても躊躇されてしまうと実感しました。
宣伝が下手くそ
技術者の集まりだと陥りがちなのでしょうが、表現の正確性にこだわるあまり、実際の性能が他ベンダーより上でも、お客様からしたら同レベルかそれ以下に見えてしまうようです。気をつけてはいたのですが、社内的にも誇張表現を嫌ったり内容の不足がないようにしないといけない派閥の人が多いので、うまくアピールできませんでした。
お客様もヴィジョンが不明瞭であることを念頭に入れていなかった
先駆者のいないプロジェクトのため、お客様もヴィジョンややりたいことがコロコロ変わってしまいます。失礼ながらやる気あるのか、現実性を考えたことはあるのか問いただしたいこともしょっちゅうです。これのせいで結構な時間を費やしてしまっている気がします。
まとめ
大企業に入ってくる人の多くは学術的・技術的に優れた人ばかりです。
そんな人たちは入社して安泰だと思っているかもしれないですが、プロジェクト運営や製品の開発計画などについて何もできていません。大企業であるほどその辺に気づくのに遅れてしまいがちな気がします。役職持ちの人たちでさえそのことを真剣に取り組んでいないこともしばしば。
性能的にいいものを作れば勝手に売れてくれるということは絶対にありえません。性能が中途半端でもお客様の欲しいところに届くものが売れるのです。
勘違いを早めに正して、これからも精進します。