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例えば、22 時に寝ると決めてみる

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末長く充溢した(エンジニア)ライフを送るために

⏯ はじめに

当然の話と言えばそうなんだけど、現状を変えたいのなら行動を変えないと意味がない。しばらく前に「今を生きる」という映画を観た。その映画に救いを求めて、3人のキャラのストーリーから教訓をメモしていた。この記事を書くことをきっかけに映画を観たことを思い出して、あれから何か変わったことがあるか考えると何一つ具体的なことを言えなかった。あの時のことを今なら客観的に捉えられて、つまり「映画が現状を変えてくれる」という期待があって、観た直後「これから変わるんだ!」という高揚感で気持ち良くなっていただけだった。ユースケースを勘違いしていた。そういうことを期待しているのであればそれで良いけど、そうでないなら、やるべきは、現状を整理して目指すべき対象を明確にして、そして実行有無を判断できる行動に落とし込み、それをひたすらに継続していくことだった。

「ぐずぐず脳」をきっぱり治す! 人生を変える7日間プログラム

日々が思うように進まないことを「ぐずぐず脳」と言っていて、それを解消するためにやるべきことが説明されている。
印象に残っている箇所を、自分の理解を織り交ぜながらメモしておく。

📝 前提

具体的に行動を改める前に、その前提として理解しておくべきことがいくつか。

人生を豊かにする最大の秘訣

無意識の回路を整えて潜在意識に身を委ねられるか。脳神経回路のほとんどは、顕在意識ではなく潜在意識の中で使われる。例えば、カクテルパーティ効果など。ネガティブ回路の持ち主は、顕在意識の選択の前に、既に「うまくいく事象」を見逃している。つまり、意識的につくるポジティブ思考ではなく、何でもない生活習慣が大事になってくる。脳の力はいくつかのホルモンによってもたらされる一つの機能であって、必要なホルモンが出ていれば、好奇心は勝手に湧いて止まらないし、今日もいいことがありそうな気がすると思えるし、誰にほめてもらえなくたってもめげない。脳を活性化するために特に重要なのは、メラトニン、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミン。逆に、これらの ホルモンが出にくい脳では、とにかく頑張らなければ生きられない。好奇心が自噴しないから、他人の価値観に頼り、人から見た「優等生」を人生の目標とし、他人に評価されないと気持ちが萎えてしまう。

脳に良いことを強制しないこと

「スッキリ脳(発想力に優れ、たくさんの成果を出して、異性にもモテる)」が「ぐずぐず脳(どんよりしてて、とりあえず言われたことを疑いもせずにやり、おっとりと暮らす)」に勝っているとは言えない。後者の脳にしかできないこともある。本人が幸せなら別に悪い脳じゃないが、そのことで人生に不満が生じているなら改めるべき。ここで説明するテクニックに疑問を呈するのも自由。現状で満足しているのだとしたら、元々が優秀な脳なので、脳神経回路の働きが半減しても問題ないはず。

脳は何よりよく知っている

7日間プログラムを遂行した前提で、それでも満たされない時は、他の指南書に手を出す前に確認して欲しいことがある。今の自分から抜け出したいということは、要は「今の自分を愛せない」とういこと。自分の理想を掲げて、それを達成できたら自分を愛せると言う人には、実はゴールがない。結局の所、自分のことを信じられないと、拠り所を他者に求め続けることになる。自分より優れている人が気になって、常に心が渇望することになる。他者をとことん愛することだけが、愛に充足する方法。「何をしてもあなたは私を裏切らないよね」と、自分も他人も信じることが出来ず、目の前の損得勘定に囚われている限り、愛は手に入らない。自分が誰かの弱点も含めて愛し抜ければ、世間もそういうものだと思える。「こうすれば愛する」なんて条件をいっさい設けず、弱点を弱点のまま愛する。裏切られても裏切られても愛することで、「裏切られても裏切られても存在する愛」があることがわかる。

🌝 22時に寝る

脳は眠っている間に進化している

目に光が入らなくなり、視神経にストレスがなくなると出てくるホルモンがある。意識領域の信号を鎮静化させる「メラトニン」。メラトニンは、今日一日の出来事から知恵やセンスを切り出して、脳神経回路に定着させる。例えば、今日まで出来なかったドリブルができるようになったサッカー少年。起きている間は筋肉の単純記憶に過ぎないが、眠っている間にその共通項をくくり出してセンスに昇華する。つまり、眠っている間に、失敗しにくく成功しやすい脳に変わる。 失敗して痛い思いをすれば、その晩、失敗に使われた回路の閾値が上がり通電しにくくなる。成功して嬉しい思いをすれば、その逆が起こる。ここで注意しなければいけないのは、落ち込んでいる時、長い時間その原因を追及したり反省したりするとその失敗回路が形成されてしまうこと。リスクヘッジのために少し思い返す分には問題ないが、ありありと何度も思い返すのは危ない。例えば、ゴルフで「あのとき、あ~チョロったから、あの振り方はやめよう」なんて思い返したとき、同じようにチョロってしまう確率は確実に上がる。

メラトニンは、おおよそ22時から2時の4時間に分泌加速時間を迎える。 また、同時刻に分泌最盛時間を迎えるのが成長ホルモン。細胞の新陳代謝を司るホルモンで、美肌やしなやかな筋肉や骨を作る。この両ホルモンをしっかりと分泌するために、22時には眠るようにする。

メラトニンをしっかり出すために

寝る1時間前に甘いもの・アルコールを口にしないこと。 脳の活動は、意識活動も無意識活動もすべて電気信号でまかなわれている。その電気のエネルギーとなるブドウ糖は、血中を血糖というかたちで運ばれ、脳に届けられる。疲れているときやストレスを感じると、脳は「甘いもの食べて早く血糖値を上げて~」という命令を送ってくる。例えば、誘惑に負けて22時に甘いものを口にすると、30分から1時間ぐらいで血糖値が上がり、そのせいで脳が無駄に元気になってうまく眠れなくなる。午前1時頃やっと眠れたあたりから、それに触発されたすい臓が血糖値を下げるインスリンを過剰分泌する。糖質のせいで血糖値が乱高下することにより、脳が真夜中のホルモン分泌に失敗してしまう。

寝る1時間前に携帯端末の画面を目にしないこと。 鮮やかな精密画面を手元でスクロールする際、視神経にはストレスがかかっている。人類の歴史と比較して携帯端末が普及してからの歴史は浅く、まだ携帯端末による影響に身体が順応していない。携帯端末の凝視による影響は、それをやめて本人が眠りについた後でさえ、長い人で1時間に及ぶとも言われている。

入浴を行い湯船に浸かることで、メラトニンの分泌量が増える。 副交感神経優位になるとメラトニンの分泌が促されて眠りに誘われる。神経系には、興奮系の交感神経と、鎮静系の副交感神経の2系がある。副交感神経が優位になると、体内深部温度が下がり手足が温かくなり、逆もまた真であることがわかっている。湯船に浸かったり熱めのお湯のかけ流しをすると、体表面の温度が一気に上がり、脳は危険を感じ体温を一定に保とうとして、体内深部温度を下げる命令を出す。その結果、副交感神経優位になる。

眠る前のルールを決めてリズムを作る。 脳には「ある動作を繰り返してきた場面と同じ神経信号の状態をつくる」という癖がある。例えば、羽生結弦選手は、リンク脇のコーチの前から氷上のスタート位置に着くまでに、練習時と同じ軌跡を辿ることで、練習時と同じ平常心の脳神経状態を誘発させている。何万という観衆の興奮のるつぼにいても、練習時のような穏やかな集中力を取り戻せる。睡眠に入る際にも同じことが言えて、脳が寝る前のルーティンを持っておく。

部屋は暗くして寝ること。 目に当たる光の量がゼロに近くなったとき、メラトニンや成長ホルモンが出る。視神経とホルモン分泌には、密接な関係性がある。ホルモン分泌の中枢司令塔は視神経に隣接しているため、視神経の緊張が直接伝わる。寝る際には、目(まぶた)に直接光源が当たるものは遮断すること。例えば、天井の豆電球、DVDやオーディオなどの電光表示も、顔の前にはないほうがいい。また、窓の外の街灯やネオンサインが部屋に入る場合は、遮光カーテンなどを使ってしっかり遮断する。

明日何時に起きるか、念じて寝る。 念じて眠ると、結果睡眠の効率が良くなる。神経系には、体内時計と言われる機能があって、24時間をおおまかに計っている。脳は、その時間までに効率のいい睡眠ができるよう睡眠を進める。毎日同じでなくても、いくつかのパターンを身につけておく。例えば、休日と平日など。

🌞 5時に起きる

朝と夜の両輪により、脳は進化し続ける

脳はメラトニンが働きかける対象を取捨選択をしている。ある出来事に対して穏やかな情感を覚えると、夜それは知恵やセンスに変わる。 「しみじみしたり、へぇと思ったり、ほっとしたり、ふんわりしたり」して心が動いた時にフラグが立つ。喜怒哀楽すべての方位にそのように振る舞えれば、悔しさも悲しみも生きる知恵に変わる。この穏やかな情動を誘発するホルモンが「セロトニン」。網膜が朝の自然光を感知すると分泌される。眠りへと誘うメラトニンとは反対に、セロトニンは目覚めをもたらす。別名「天然の抗うつ剤」と言われる。朝起きると「今日もいいことがありそう」と嬉しくなるのは、セロトニンの効果。セロトニンがよく分泌されている脳は、一日中穏やかな情感をもたらすため、幸福を実感しやすくなり意欲が萎えない。セロトニンのもたらす充足感的「やる気」は、結果にも他者にも依存せず、自噴してくる充足感に支えられてプロセスそのものが楽しめる。ひどくはしゃいだり、落ち込んだりすることが減り、キレにくくなる。特別な才能や目立つ何かがなくとも、まわりの人に信頼感を与えて一緒にいたいと思わせる。そして、幸福そうな人は、結果多くの成果を手にしていく。一方、闘争心から生み出される「やる気」は、火事場のバカ力的な瞬発力はあるが乱高下しがちであり、結果に振り回されるため評価されない限り続かない。

セロトニンの生産とメラトニンの生産は関連する。メラトニンとセロトニンは、同じ前駆体(生成前の物質)からつくられているホルモン。網膜が闇を感じるとメラトニン、光を感じるとセロトニンに変わる。朝セロトニンが脳内にあふれてから、平均15時間後にメラトニンの生産が始まる。6時頃に網膜に光が当たると、21時頃にメラトニンの増産が始まることになる。メラトニンは知識工場のスイッチを入れ、セロトニンはその知識工場に資材を送り込む。つまり、朝きちんとセロトニンが出ていないとメラトニンがうまく出ない。なので「夕べ遅かったから、今朝はゆっくり」とは発想しないこと。

セロトニンをしっかり出すために

軽く行える定番運動を決めて習慣にする。身体を動かすことによってセロトニンが増える。また、有酸素運動によって分泌されるのが「ドーパミン」と「ノルアドレナリン」であり、これらによって好奇心と集中力を培われる。有酸素運動によって、大きく変化するのは、脳の血流量。血液の量が増えれば、血液に含まれる酸素や脳のエネルギーであるブドウ糖もたくさん運ばれる。脳を良くするためには、好奇心と集中力が不可欠。 好奇心がないことには、単純記憶はつくれても、センスはつくれない。好奇心を誘発するドーパミンと、その好奇心を一つに絞り込むノルアドレナリンが同時に出ることが重要。ドーパミンだけだと様々なものに目がいき多動気味になってしまうところ、ノルアドレナリンによって他の雑信号を抑制してくれる。

手作り料理/ヨーグルトを取り、腸内環境(脳内環境)を整えることも大切。セロトニンは、その 95 %以上が腸内でつくられ、脳に送り込まれている。 便秘や下痢を繰り返しているようでは、セロトニン分泌も期待できない。腸内環境を良くするのは乳酸菌であり、これらが食べ物を分解して栄養に変える。工場で完璧な衛生状態で作られる食品には乳酸菌も混じる隙がないので程々に。また、朝食は卵がオススメ。卵は、脳が必要とする栄養素を、ビタミンC以外、すべて含んでいる完全栄養。黄身の主成分はレシチンとコレステロールでこれは脳の材料であり、白身には豊富なアルブミン(アミノ酸の一種)が含まれている。

✋ ブレーキ言葉を使わない

自分の脳の神経回路を通じて、世の中を見ている。ネガティブな思考を繰り返す人は、ネガティブな回路に電気信号が行きやすくなってしまう。世の中の事象からネガティブなものばかりを取り出して感知する。ぐずぐず脳の持ち主は、自分に自信がないけれど、プライドは高いから失敗が怖い。そして失敗を恐れていると、脳にはブレーキがかかってしまい、結局うまくいかないからさらに「やっぱりね。世の中って、そんなもん」と神経回路に反映される。何か事が起こると、心配ごとが先に立ち、「でも」「だって」「どうせ」なんていうセリフを言いがち。強制的に物事への対処法を前向きに考えるように仕向けるために、「でも」「だって」「どうせ」を禁句にする。 そうすると、その状況下で最善を尽くそうとするようになる。

👀 人の良いところを見つける

過去に「人をとやかく言った」その記憶が自分に返ってくる。人をとやかく言ったことが、人を疑い、何かをやりたい気持ちに待ったをかけてしまう。人を裏切る人ほど猜疑心は強くなるし、人をないがしろにする人ほど自分はなめられていると考える。人の良いところを見ようと心がけると、自然と自分の良いところも見つけられるようになる。「人の良いところを見つける」ポジティブ回路へと変われば、自己肯定感が生まれてくる。そして、思いは思っているだけでなく、言語化して、相手の反応をきちんと感じることが大切。ネガティブなフレーズが浮かんでくる前に、その人の良いところを見つけ言語化する。 気持ちを口にするということは、右脳と左脳を連携させている脳梁を使って、イメージを出力すること。気の利いた言葉が出ないという人は、普段から自分の気持ちを言語化していないから。日頃から鍛えていれば、アイデアを出し気の利いた言葉を出せるようになる。

💍 好きでたまらないものを持つ

進化のきっかけ

人の目を気にすることによって、ぐずぐず脳ができ上がってしまう。人の目を気にしているとき、右脳と左脳の連携は無駄に良い状態にある。右脳は潜在意識の領域を主に担当し、外界の様々な情報から世界観を構築する。左脳は顕在意識と直結して、言葉や記号、数字を司り、現実的な問題解決を行う。そして、脳梁が右脳と左脳を繋ぎ、右脳がつくり出すイメージを記号化して顕在意識に上げる。右脳と左脳の連携を良くすると、自分の気持ちや目の前の人の動揺などに敏感になる。例えば、母親は赤ちゃんのちょっとした変化も見逃さないよう、右脳と左脳を密に連携させて子育てする。ここで注意すべきは、必要以上に人の目や言動に過敏になって傷つきやすくなり、「失敗」を恐れるようになること。傷つくのが怖いから、とやかく言われないよう振る舞う結果、好奇心もやる気も発想力もなくなる。

マツコの知らない世界

人とコミュニケーションをとるときは、右左の脳が密度濃くかつ頻繁に連携している。他人の思惑を気にしているという意味においてSNSも同じ。この連携に電気信号を集中させてしまうので、脳全体を深く使うということができない。右脳が潜在意識の中で豊かな世界観を創生するには、ぼ~っとする時間が必要になる。右脳と左脳の連携を遮断して、脳全体に行き渡る信号を発することが大切。 日常の人間関係の軋轢から離れて没頭することで脳が活性化する。

また、好きでたまらないものがある人は、客観性の回路が発達するから自意識が無駄に増大しない。自分にスポットライトを当てていると、失敗したときに自分が全否定されたように感じる。興味やプロフェッショナリティに焦点があれば、失敗したきに、「こんなに頑張ったのに、認めてもらえない自分」という自己憐憫ではなく、「まだまだやれることがある」と思える。 例えば、「素敵なキャリアウーマンになりたい」「カッコいいビジネスパーソンになりたい」ではなく、「世界一の人工知能をつくりたい」「読者が泣いて喜ぶようないい本を出したい」のように思えたら。また、一つでいいから人に語れるものを持っていると、年齢も性別も超えて興味を持ってもらえるようになる。

🏁 おわりに

小さい頃から言われてきたことだけど、改めて「早寝早起き」て、とても実用的なメソッドだなと。まず理論あって、それを実践できるよう明確かつ簡潔な言葉にまとめている。それだけと言えばそれだけのことだけど、何かを変えるためには継続する必要があって、その上でとても大切なことだと思う。理論と実践どちらか片方で終わらせるのではなく、メソッドとして整理することって大事だなあと。

メソッドを実践するということは、自分に制約をかけるとも捉えられる。本来自由に過ごせる時間の中に、やるべきことを組み込む。窮屈なようにも見えるかもしれないけど、現状から変わりたいならこれしかない。例えば、 22 時に寝ると決めてみる。 すると、一日の終わりが決まるわけで、そこに向かって行動一つ一つが見直されていく。終わりを決めなければ誘導されるがままに動画を観ることも許容してしまうけど、終わりが決まるとそこから逆算して物事を考えるようになる。長い目で見れば人生にも言えることか。きっとそれが「ぐずぐず脳をきっぱり治す」ことに繋がるんだろうな。

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