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Microsoft Power AutomateAdvent Calendar 2024

Day 3

社内展開において注意していること

Last updated at Posted at 2024-12-02

社内展開〈非IT部門(事務)〉において
個人的に意識していること

非IT部門でPADやExcelマクロなどのツールを作成・利用することは、個人レベルで業務効率化を実現しやすく、効果が見えやすい場合があります。
しかし、ちょっと待ってください。もしその仕組みを組織全体に展開するのであれば、十分に検討した上で行う必要があります。本当に継続的に効果が期待できる業務効率化でしょうか?

RPAは業務効率化の「銀の玉」ではありません。業務効率化には手順が必要です。


  1. その業務は本当に必要ですか?
    (必要な場合は次へ進み、不要であれば業務を削減することが最も効率的です。)
  2. その業務の費用対効果はどうですか?
    (効果が大きい場合、基幹システムの改修を検討したほうが良いかもしれません。)
  3. RPA以外の手段も検討しましたか?
    (RPAでExcelからExcelへの転記を行う事例も見られますが、アプリケーション側にその機能があれば、そちらを使うことを検討したほうが良いです。
    ※アプリ側の更新により、RPAがうまく動作しなくなる可能性もあります。)

非IT部門におけるPADを利用するうえでの問題点
(問題点を解消し、組織全体での利用を促進できるようにしたい)

PADは他のRPAツールと比較して、変数の型を意識せずにフローを作成できるというメリットがあります。多くのRPAツールでは、変数の型を事前に定義し、それからフローを作成する必要がありますが、PADではその必要がなく、初心者でも簡単に始められる点が魅力です。

個人の業務効率化レベルであれば、動けば良いというレベルのフローで問題ないかもしれませんが、部署や組織全体での展開となると話は別です。

組織で展開する場合、重要なのは、安定して稼働し、保守・メンテナンスができる体制を整えることです。

たとえあなたが作成したPADプログラムが順調に動いていても、問題が発生するのは基幹システムの変更など、PAD以外の要因が影響することが多いです。そのとき、既に利用者は「ボタンを押すだけで動く」という認識を持っているかもしれません。

RPAではないですが、事例として、Accessで「ボタンを押すだけで結果が出る仕組み」を作成した担当者が、人事異動のため、その業務を別の担当者に引継した数年後に業務が滞るという問題が発生しました。外部キーの変更が原因でAccessで作成された仕組みが動かなくなり、上長から以前仕組みを作成した担当者に修正依頼が発生しました。現在は担当ではないため結果的に丁寧に断られたため、現在の担当者は何時間もかけて手作業で対応することになりました。

この事例の問題は、後任者が仕組みを理解せずに「ボタンを押すだけ」という認識で業務をしていた点です。特に事務部門において、Accessを利用できる人は限られており、数年ごとに人事異動がある環境では、業務がスムーズに回らなくなるリスクがあります。

RPAに置き換えると組織で利用する際のポイントは、どの技術範囲まで利用するかを決め複数人が対応できることです。自分だけが使えて、他の人が修正できない仕組みのままでは問題が生じます。自分が異動した後でも他の人がフローを修正できる体制を整える必要があります。

私の場合、組織展開前にRPA担当者同士でコードレビューの時間を確保し、異動後でも他の担当者が躓きやすいポイントをナレッジとして残すようにしています。

※組織展開時にどうしてもスクリプトを使用した方が良い場合もありますが、その場合でも処理時間がかかるプログラムについては、適切に記録を残して組織全体で対応できる体制を整えるようにしています。

非IT部門における引継体制について

事務部門では必ずしもパソコン操作が得意な人が後任者になるとは限りません。そのため、PADを利用する際には、作成したプログラムの保守・メンテナンスを複数人で対応できる体制を構築する必要があります。

得意な人がフローを作成して終わりではなく、一定の基準を設け、誰でも利用できる状況を整えることが重要です。万が一、保守・メンテナンスができない場合には、専門業者と連携できるようにしておくことも考慮しましょう。私の場合、業者が主催する勉強会に参加した際に頂く名刺やサポート費用の資料を引継書に加えており、後任者が必要な時に連絡できるようにしています。

なお、すべてを業者に丸投げするのは個人的にお勧めしません。フローを作成することは遠回りになりますが、結果的に業務効率化に必要なデータベースの理解を助け、組織として何をすれば業務効率化につながるか考える機会になるためです。

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