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ブロックチェーンとEnterprise API

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Enterprise APIs Advent Calendar 2015 への投稿です。
12/5の @moongift さんの記事にも関連します。

FinTech, FinTech, FinTech

日経新聞や各種メディアで毎日のように目に入るこのワード。今月の日経ビジネスでも特集が組まれるなど、少々行き過ぎな程にFinTechというワードがマーケットの中を縦横無尽に泳いでいる印象があります。経済産業省ではFinTech研究会が設置され、産業・金融・IT融合をテーマに各業界の有識者により議論が進められています。基本的に事業の融合が必要条件であり、銀行法など金融関連事業には法律による規制もあるため、「官・民・民」一体の推進が求められます。

ここ最近のUberによるタクシー業界への、Airbnbによるホテル業界へのいわゆる破壊的イノベーション事例の影響なのか、FinTechも銀行などの既存金融業にとって大きな脅威である、IT企業が金融業のビジネスを食いつぶす、というような主張の記事を目にする機会も少なくありません。
FinTechは広義には「ITと金融の融合」を示し、狭義には「新しい金融サービスを提供するスタートアップ」を表すなど、そもそも市場がまだ黎明期だと言え、破壊的イノベーションを起こすものなのか、という問いに対する明確な答えがあるとは思えません。個人的には既存金融業とスタートアップが共存していく事は大いにあり得ると思っています。

FinTechとブロックチェーン

技術面でひときわ気になるにはブロックチェーンです。まさに今週に入り、さくらインターネットアイリッジが暗号通貨技術とブロックチェーン技術に基づいたソフトウェアとサービスを開発しているテックビューロとの提携と各社の施策を発表しています。米国ではNASDAQがChainと組み、未公開株式市場向けの分散型取引プラットフォームにブロックチェーン技術を使うための研究開発を開始した事を発表しています。

ブロックチェーンのメリットは特に金融業界だけに閉じたものではありません。ただ、金融業界は信用に足る第三者機関(銀行や証券会社など)が信頼性を一元的に担保する事で成り立ってきたビジネスモデルの影響で、中央集約型のシステムとなっており、分散管理技術を導入する事でイノベーションが起きる、そもそもの土壌があります。

ブロックチェーンに関しての基本情報は様々な記事で解説されているので割愛しますが(おすすめはこちら)、特徴は大きく二つ。

  1. 分散管理構成で、各ノードが連鎖的に紐付いているため、データ改ざんへの耐久性があり堅牢である
  2. 全ての分散ノードがリプリケーションデータを持っているため永続性に優れる

いわゆる金融業界に代表されるリアルタイム性のあるトランザクションに対応可能な究極の分散技術というわけです。そもそもインターネット技術が世に出てきた後、TCP/IPの上に電子メールやEコマースなどの様々なアプリケーションが「乗っかる事」で様々なサービスが提供されたように、取引トランザクションデータの記録や信頼性検証の仕組みをブロックチェーンプラットフォームが担保する事で、そのブロックチェーンプラットフォーム上に様々なアプリケーションが提供される潜在性があります。現在のところBitcoin以外には大きく成功したアプリケーションはないようですが、プラットフォームとして提供し、APIを解放すれば、堅牢で永続性のあるまさにEnterprise(向け)APIとなるのではないでしょうか。

ブロックチェーンAPIの事例

既に米国でAPI提供している1社の事例としてBlockcypherがあります。ブロックチェーン業界のAWSを標榜したAPIプロバイダーである事は、Blockchain Web Servicesというサービス名からも明白です。トランザクション処理を自動化したTransaction APIだけでなく、1セント以下の取引きを可能とするMicrotransaction APIを提供する事により、これまでの一極集中的なシステム構成では、システム投資額をユーザー全体で割り勘して負担するモデルで成り立たなかった小規模取引きを実現可能とするのが同社の提供価値。システム投資を基にしたビジネス設計など、ビジネスモデル全体を大きく変革するイノベーティブなEnterprise APIだと考えられます。

Enterprise向けのAPIとは、ブロックチェーンAPIのように事業ドメインと事業ドメインを繋ぎ合わせるような時に最も存在価値が出るのかもしれません。