IPAで公開されている『IT人材白書2020』の概要版を読んだので、要点をまとめてみます。
IT人材白書とは
様々な企業や業界団体に対して、IT人材の動向を調査した結果をまとめた文書です。2020年版では、2019年度の調査結果として、主に以下の内容をまとめています。コロナ禍による変化や影響については含まれていませんのでご注意ください。
- ユーザー企業におけるIT人材動向とDXへの取り組みついて
- IT企業におけるIT人材動向とDXへの取り組みついて
- デジタルビジネス推進企業におけるDXへに対応する人材動向
- 個人におけるIT人材動向
この中から、内容を抜粋して読み解いていきます。
IT人材の過不足感
ユーザ企業
大幅に不足している | やや不足している | |
---|---|---|
人材の量 |
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人材の質 |
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人材量も不足していますが、質の不足が大幅に増加しています。
従業員規模別では、大企業であるほど、量・質ともに不足している状況のようです。
IT企業
大幅に不足している | やや不足している | |
---|---|---|
人材の量 |
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人材の質 |
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IT企業の方では、人材量・質ともに大幅に不足しているという状況は減少しています。
従業員規模別では、大企業は不足感が増加しているものの、中小企業では不足感が減少傾向になっています。
自社のDXに取り組んでいるか
取り組んでいる | 取り組んでいない | |
---|---|---|
ユーザ企業 | 42% | 58% |
IT企業 | 33% | 65% |
自社内でDXに取り組んでいる企業は半分にも達していないようです。取り組んでいるユーザ企業の方がやや多いのは、自社内に解決したい課題が多いということでしょうか。
ユーザ企業でDXに取り組んでいる企業のうち、67%が内製化を進めているとの結果でした。自社の課題は自社内でシステム化したほうが効率が良い、というように思われます。
また、IT企業でDXに取り組んでいる企業では、IoT、ビッグデータ、AI、RPAなどを事業にしている企業の割合が高く、逆に人材派遣をを事業にしている企業は取り組んでいない割合が高い結果となっていました。自社内に課題を解決できる人材がいるかどうかも、大きなポイントのようです。
ユーザ企業でITに関する業務を担当している部門ランキング
順位 | 担当 |
---|---|
第1位 | 情報セキュリティリスク管理 |
第2位 | 全社ITの企画 |
第3位 | 社内システム運用管理 |
情シス的な役割を任せるのが精一杯で、開発や構築に人材を回せていないようです。
企業文化・風土
ユーザ企業のランキング
順位 | 当てはまる文化や風土 |
---|---|
第1位 | 社会や顧客への貢献意識が強い |
第2位 | 今後目指すべきビジョンや方向性が明確であり、従業員に周知されている |
第3位 | 個人の裁量が大きい |
ビジョンや方向性が明確ではあるが、組織で取り組むよりも個人プレーが多いと見受けられます。
IT企業のランキング
順位 | 当てはまる文化や風土 |
---|---|
第1位 | 社会や顧客への貢献意識が強い |
第2位 | 社内の風通しがよく、情報共有がうまくいっている(メンバー間や上司と部下で意見を言い合える環境) |
第3位 | 今後目指すべきビジョンや方向性が明確であり、従業員に周知されている |
チームで開発などの活動をすることも多いことから、風通しの良く情報共有がうまくいっている企業が多いのではないかと思われます。
中にいる身としては、逆に状況共有出来てなかったらチーム開発出来ないですよね
人材獲得・確保
ユーザ企業のランキング
順位 | 人材獲得・確保先 |
---|---|
第1位 | 中途採用(キャリア採用) |
第2位 | 新卒採用 |
第3位 | 獲得・確保していない |
中途採用や新卒採用で必要な人材を確保しつつあるものの、まだまだ確保できていない企業も多いようです。
IT企業のランキング
順位 | 人材獲得・確保先 |
---|---|
第1位 | 新卒採用 |
第2位 | 中途採用(キャリア採用) |
第3位 | 協力会社・派遣企業等の外部人材の活用 |
IT企業の方が、人材確保には積極的に行っているようです。
自社内で教育体制が整っていたり、昔から行われている人材派遣による確保というのも大きな要因のように思います。
個人におけるIT人材動向
勉強状況
業務外ではほとんど勉強しない | 自主的に勉強している | |
---|---|---|
IT従事者 | 26.2% | 20.6% |
IT非従事者 | 51.6% | 16.0% |
IT非従事者は半分以上がほとんど勉強していない状況のようです。業務上あまり必要ないということですかね。
自主的に勉強する人はどちらもさほど差はなく、2割程度のようです。もっと増えてほしいですね。
勉強しない理由ランキング
順位 | 勉強しない理由 |
---|---|
第1位 | 業務が忙しく、勉強時間が確保できないから |
第2位 | 新しいスキルを習得しても、それを活かす場がないから |
第3位 | 勉強の必要性をあまり感じないから(現在のスキルで十分だと思うから) |
活かす場がないと、勉強するモチベーションも上がらないですね。
まとめ
- ユーザ企業での内製化が進んでいて、特に大企業ほど人材不足になっている。
- ユーザ企業の方がDXに対する取り組みを始めているが、必要な人材の獲得は進んでいない。
- IT従事者の方が自主的な学習を進めており、スキルに対するIT非従事者との格差が大きくなっている。
エンジニアとしては、転職するならDXを推進しているユーザ企業が狙い目かもしれないということですね
今回は概要版の内容でしたが、完全はAmazonで販売されていますので、気になる方はチェックしてみてください。
以上、参考になれば幸いです。