10/19にガートナーから『2021年の戦略的テクノロジートレンド』が公開されていました。
9つのテクノロジートレンドを翻訳しつつ、中身を探ってみたいと思います。
トレンド1:行動のインターネット
行動のインターネット(IoB, Internet of Behaviors)は、日常生活の「デジタルダスト」(デジタルと物理の世界にまたがるデータ)を収集するテクノロジーの増加に伴い、その情報を使用したフィードバックを通じて、我々の行動に様々な影響を与えることができます。
例えば、健康保険会社が保険料を削減するために、ウェアラブルデバイスによって食料品の購入を監視するなどにも使用できます。不健康な商品の購入が多い人には保険料を上げるなどの目的のためにも使用できます。
人間のあらゆる行動をデータ化してマーケティングや商品開発に活かしていくということでしょうか。
最近ではスマートウォッチやスマートリングなど体に身につけるものも流行ってきているので、そのうち体に埋め込むようなものも一般化されてくるのかもしれませんね。
トレンド2:トータルエクスペリエンス
マルチエクスペリエンス(VRやAR、MRなど)を顧客や従業員に適用させるトータルエクスペリエンスとすることで、COVID-19の中でも持続可能な競争上の優位性を生み出すことができます。
例えば、リモートワーク、モバイル対応、仮想化、分散型の顧客対応などもトータルエクスペリエンスの向上となります。
リモートワークが増えたり、ソーシャルディスタンスによって人と人が直接触れ合う機会が減ったからこそ、必要となる技術なのでしょうね。
VRやARはこれまで流行になりそうでならない感じでしたが、一気に波が来るのかもしれません。
トレンド3:プライバシーを強化する計算
プライバシーやセキュリティを維持しながらデータを共有する必要性が高まっています。データを保護する3つのテクノロジーがあります。
・機密データを処理または分析できる信頼できる環境
・分散型の方法で処理と分析を実行
・処理または分析の前にデータとアルゴリズムを暗号化
ファイルの暗号化やデータベース自体を暗号化する技術などはありますが、ネットワークを介して共有しても暗号化し続けるようなプラットフォームということでしょうか。
プライバシーという点では、ブロックチェーンのCordaを活用してみるのも面白いかもしれません。
トレンド4:分散クラウド
サービスの提供を物理的に近づけることは、低遅延になることやデータコストを削減し、データを特定地域に置かなければいけない状況に対応するために役立ちます。
パブリッククラウド、プライベートクラウド、エッジコンピューティングを含む様々なプラットフォームを物理的な場所に分散したクラウドサービスが誕生し、低遅延のコンピューティングが可能になります。分散クラウドはクラウドの未来です。
パブリッククラウドをAWSやAzureで分散させるようなことはよく検討されていますが、これは物理的な距離についても分散してデータを近くに配置するような技術ということですかね。
5Gのような通信自体が高速になっても、レイテンシが大きいと恩恵が受けにくいというのはありそうな気がします。
トレンド5:どこでもオペレーション
COVID-19からビジネスが成功するためには、どこでもオペレーション可能なモデルが不可欠です。それは「デジタルファースト、リモートファースト」です。
顧客、従業員、ビジネスパートナーが物理的に離れた環境でも、ビジネスにアクセスでき、情報を届けることができるようにデジタル的な強化が必要となります。
これはすべての会社が急務なテクノロジー戦略ですね。
トレンド6:サイバーセキュリティメッシュ
サイバーセキュリティメッシュは、スケーラブルで柔軟性があり、信頼性の高いサイバーセキュリティ制御への分散アーキテクチャアプローチです。
サイバーセキュリティメッシュを使用すると、セキュリティ境界線を人や物のアイデンティティの周りに定義することを可能にします。ポリシーのオーケストレーションを一元化し、ポリシーの実施を分散させることで、よりモジュール化された応答性の高いセキュリティアプローチを可能にします。
人や物の単位でセキュリティポリシーを設定可能にするようなイメージなのでしょうか。
分散IDとして管理するようなことかもしれませんね。
トレンド7:インテリジェントなコンポーザブルビジネス
組織がデジタル・ビジネス戦略を加速させてより迅速なデジタル・トランスフォーメーションを推進するためには、俊敏性を持ち、現在入手可能なデータに基づいて迅速なビジネス上の意思決定を行う必要があります。
これを成功させるためには、組織は情報へのより良いアクセスを可能にし、その情報をより良い洞察力で補強し、その洞察力の意味合いに迅速に対応する能力を持たなければなりません。
これはDXはもはや不可欠ということでしょうか。
トレンド8:AIエンジニアリング
堅牢なAIエンジニアリング戦略は、AIへの投資の価値を最大限に発揮しながら、AIモデルのパフォーマンス、スケーラビリティ、解釈可能性、信頼性を促進します。AIプロジェクトは多くの場合、保守性、スケーラビリティ、ガバナンスの問題に直面しており、ほとんどの組織で課題となっています。
AIエンジニアリングのガバナンスの側面から、信頼性、透明性、倫理、公平性、解釈可能性、コンプライアンスの問題に対処するために、責任あるAIが台頭してきています。それは、AIのアカウンタビリティの運用化である。
AIについてますます加速させる必要があり、さらにAIを管理するAIみたいなものが登場してくるということでしょうか。
トレンド9:ハイパーオートメーション
ハイパーオートメーションとは、組織内で自動化できるものはすべて自動化されるべきだという考え方です。
多くの組織は、無駄がなく、最適化されておらず、接続されておらず、クリーンでもなく、明示的でもないテクノロジーの「パッチワーク」に支えられています。同時に、デジタルビジネスの加速には、効率性、スピード、民主化が求められます。効率性、効率性、ビジネスの俊敏性を重視しない組織は取り残されてしまうだろう。
DXと合わせて不可欠な戦略ですね。
まとめ・感想
やはりCOVID-19の影響を受けた戦略が多いですね。
DX・AI・リモート(分散)というあたりが大きなポイントのようです。
エンジニアとしてもこのあたりの知識を深めたり、組織やプロジェクトへの導入を検討していくことが必要となりそうです。
以上、参考になれば幸いです。