#初めに
今回海外展開するプロダクトに不可欠な翻訳QA(Linguistic Quality Assurance)に関して、確認観点及び注意すべき点を少しお話出来ればと思います。
翻訳QAは言葉に関する品質管理作業になります。ローカライズされたテキストをその言語のネイティブプレイヤーがテストして、意図した翻訳になっているかどうかの確認も行ないます。
#翻訳QAについて
プロダクトにもよりますが、1プロダクトあたり月30件~40件のお知らせのローカライズチェックが発生します。
周年施策、年末年始施策になると、1プロダクトあたり月50件~60件になる事もあります。
翻訳QAは日本語原文から翻訳された内容が正しく翻訳されているかを確認する事が担保内容になりますが、現状の翻訳QAでは、以下3点の課題があります。
① 翻訳ミスが多い
| 翻訳ミス箇所 | リスク度合い | 事例 |
| ---- | ---- | ---- | ---- |
| スキル、パラメータ内容
の翻訳ミス | 高 | 誤:属性(水)
正:属性(土)
誤:攻撃値
正:魔法攻撃値 |
| 日本語原文に対する誤訳 | 高 | 「期間限定」の記述翻訳抜け
日本語解釈を誤った翻訳 |
| 日付、時刻の記述ミス | 中 | イベント開催日時、
時刻の記述ミス
日本語時刻表示になっている |
| 翻訳表示ミス | 中 | 日本語表示が残っている、
別言語の記述になっている |
| 文字崩れ、改行ミス | 低 | 文字列途中での不要な改行、
文字表示の枠外表示 |
② 翻訳後に日本語原文の修正がはいることがある
翻訳QAは確認工程が最終工程になる為、結果、確認時間は短くなる傾向にあります。よって翻訳完了後に日本語原文の変更が発生すると、翻訳QA確認時間が無くなり、場合によっては施策リリースへ影響が発生する事にもなります。
<日本語変更>
・バランス調整による仕様変更、スキル、パラメータ変更
・リリース期間変更
・表現変更による説明文の追加
③ 日本語原文のFixが遅延しレビューが逼迫する
仕様決定、日本語原文Fix遅延により翻訳業務が遅れることがあり、それに伴い各担当部署との連携及び各レビュー時間が十分に取れない事が常態化している問題も存在しています。
#翻訳QAチームとしての改善アクション
翻訳QAチームとしての上記問題点の解決は以下となります。
<翻訳ミスに対しての改善アクション>
翻訳チームとの連携強化(過去発生した翻訳ミスなどの共有化)
‐実施した結果、類似翻訳ミスの再発生確率が低減しました。
<翻訳後の日本語原文修正に関する改善アクション
及び日本語原文のFix日遅延に関する改善アクション>
開発チーム側とのスケジュール連携強化
‐日本語原文のFix日の前倒し依頼実施(Fixスケジュールの可視化)
‐仕様変更発生時の翻訳QA再確認時間の確保が目的
‐変更発生の早期キャッチアップ実施、翻訳QAチェックの再スケジュール化が
容易になる
他部署(プロダクト側、翻訳チーム)との定期ミーティングを強化し、問題点の共有化を重視する事で過去発生の翻訳ミス等の削減を実施し、結果翻訳QA作業工数の削減に成功しました。結果1施策に要する翻訳QA工数の削減も可能となりました。
#翻訳QA確認方法について
現状でもいくつかの課題点が残っており、今後の課題となっています。
<課題1>
各プロダクトによって翻訳QAの確認粒度に相違がある。
(例:プロダクトAは「意味さえ合えば、表記揺れてもOK」、プロダクトBは「意味があっても過去翻訳記述と表記揺れがあってはNG」)
・確認粒度がプロダクト毎に相違している事でテストケースをプロダクト毎に作成する必要があり、
テストケースの作成工数が増加しています。確認粒度の統一化をすることが出来れば、テストケースの統一化も可能であり、作成コストの削減が可能。
統一化の問題点としては、プロダクトによっては確認粒度を上げる事でコストアップのデメリットが発生します。翻訳QAとしてはプロダクトへ継続的に確認粒度の統一化を打診し、問題点の改善を要求していきます。
<課題2>
翻訳QA側での確認を「目視確認」→「自動化チェック」へ
一部分の自動化チェックは実施済みだが、翻訳QAの俗人化排除の為、全体の自動化実施が必要。
用語集などの資料作成が必須でありプロダクト側のコスト増加の問題がある。
プロダクト側と協議を行い、自動化の為の資料作成について理解を求めていきます。
#最後に
今後はさらなる翻訳QAチェック側のヒューマンエラーを無くすことが課題になると思います。
微力ではありますが、同様の課題に直面されている方のお力になれば幸いです。