はじめに
「AI開発って、専門家だけがやるものじゃないの?」
これが、参加前の私の正直な印象でした。非エンジニアの私にとって、AIは遠い世界の最先端テクノロジー。触れたくても、知識不足や周囲に相談できる人の不在が、挑戦へのハードルになっていました。
でも、マナビDX Questでの学習を通して、その見方がガラリと変わったんです。ここでは、私が心を動かされた瞬間や乗り越えた苦労、得られた気づきをお伝えします。これからAI開発に挑戦したい方が、「あ、意外と自分にもできるかも」と感じていただければ幸いです。
今期は、「SIGNATE」と「Life is Tech」の2つのプログラムが提供されています。
今回選択した教材
- SIGNATE提供 :不良個所自動検出(製造)
- Life is Tech提供:工数予測(製造)
心が動いた瞬間:AIを一緒に育てる「仲間」がいる
印象的だったのは、「一人じゃない」 と感じた瞬間でした。マナビDX Questでは、同じような関心を持った参加者と、緩やかなコミュニティを通じて交流できます。オンラインでは会話量が限られていたものの、チャットや資料共有を通じて、他の受講生が「こんなツールがあるよ」と教えてくれたり、「この前処理方法が有効だった」とアイデアを交わしたりできました。
もともと、身近にAI好きな知人がいなかった私にとって、このコミュニティは新鮮な「知の交差点」でした。自分ひとりなら尻込みしていた未知のツールや手法も、誰かの実践例を目にすると「やってみようかな」と前向きになれる。「専門家だけの領域」だと思い込んでいた壁が、仲間の存在でスッと低く感じられたのです。
全体像を肌で感じる:モデルづくりはゴールではない
マナビDX Questの一番の魅力は、AI開発の全体像をリアルに体験できることです。単にモデルを動かして「精度が出た」では終わりません。課題設定からデータの品質確認、ビジネスへの落とし込みまで、一連の流れを通して学べます。
他参加者から共有していただいた資料を参考にすることで、同じ問題でも視点が全く異なることに気づかされました。「なるほど、ここはこう考えるんだ」「このデータ整理のアプローチ、真似してみよう」。そうした“引き出し”が増えることで、自分なりの開発サイクルが見えてきます。これって他の学習サービスにはなかなかない体験で、実務と直結した 生きた知識
が身に付く感じがしました。
苦しかった瞬間と乗り越え方:「100%じゃなくていい」
苦しかったのは、限られた時間で複数コース(SIGNATEとLife is Tech)を同時進行する場面でした。仕事やプライベートと並行しながら、慣れない用語や前処理・特徴量選択を理解し、モデル精度向上に取り組むのは大変。何度も生成AIに質問して解決策を探しても、精度が上がらず行き詰まることもありました。
そんなとき私が心がけたのは、**「100%を目指さず、まずは提出する」**という発想です。期日ギリギリまで完璧を狙うと、常にプレッシャーを感じてしまいます。少し余裕を持って取り組むことで、途中で方向転換したり、気持ちを軽くしたりできました。初めての挑戦なら、成果は“未完成”でもいい。経験値として蓄積し、次回に活かせばいいのです。
活かしどころは無限大:「自分で課題を見つけ、解決する」
この学習経験を経て、私が身につけたのは**「問題解決型の思考力」**です。
「この売上データから何がわかるだろう?」
「在庫データの傾向はサービス改善につながらないか?」
そんな問いを立てる力が養われると、業界や分野を問わず“AIを活用する余地”が見えてきます。製造業の不良個所検出演習を通じて「ここで分析できれば価値を生む」と感じたように、教育業界やサービス業でも、手元にあるデータから有用な示唆を引き出せる。読者の方にも、まずは手元のデータを眺め、ちょっとした分析から始めることをおすすめします。最初は関数一つでも、実験的な小さな一歩が次のチャレンジへと繋がります。
印象に残る課題:想像すらしなかった領域へ踏み込む
不良個所自動検出の課題では、全く異業界の現場を垣間見るような感覚がありました。最初はYouTubeや記事で製造工程を調べ、「こういう場所でデータが生まれるんだ」とイメージするところからスタート。与えられた画像データをそのままモデルにかけるのではなく、「AIが理解しやすい」形に整えていくプロセスは、単なる作業ではなく、自分なりの職人技
を磨く感覚でした。
未知の領域に挑戦することで、視野はグッと広がります。「自分が知らない世界は無限にある。そして、その世界でAIを活かす方法も無限にある」と気づかせてくれた演習でした。
挑戦のハードルが下がる
参加前は、「データ分析なんて専門家に任せるもの」と思っていた私。参加後は、「とりあえず手を動かせば、第一歩は踏める」と感じるようになりました。これって大きな変化です。知識ゼロからでも、課題を小さく分解し、可能な範囲で分析を試すことで、前に進める。
この変化は、まるで鍵のかかった扉を開ける合い鍵を手に入れたようなもの。以前なら諦めたであろう業務上の問題でも、「もしかして、これなら何か使える手があるかも」と考える自分がいます。
明日から始める、あなたへの提案
この記事を読んで、「AIに挑戦してみたい」と思ってくださった方へ。
まずは手近なデータを一つ、じっくり眺めてみてください。在庫表や売上データ、顧客アンケートなど、何でも構いません。「どんなパターンがあるだろう?」「この変動には何か理由があるかな?」と問いかけてみることが、最初の一歩。
最初はエクセル関数を試すだけでもいいんです。その小さな発見が「データを活かす楽しさ」を実感する扉となり、やがてAIを使った本格的な分析や開発へと続く道になります。
まとめ:一歩踏み出せば、世界が変わる
マナビDX Questを通じて、私が得たのは「やってみれば意外とできる」という感覚と、問題解決思考という新たな武器でした。非エンジニアであっても、知識ゼロであっても、一歩踏み出せば何かが掴める。その過程で出会う人々、発見する手法、経験する試行錯誤は、次の挑戦への燃料になります。
「知らない世界に足を踏み入れる」
その一歩を、どうか恐れずに踏み出してください。その先には、自分なりの成功体験と、新しい視界が広がっています。