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【GPT付き】1年目データサイエンティストがレポート作るときに読むやつ

Last updated at Posted at 2023-12-14

この記事はリンクアンドモチベーション Advent Calendar 2023の14日目の記事です。
データユニットのマネージャーをしてる東山です。

今回は、ほぼ毎年データサイエンティスト(志望)の新卒に教えていることをまとめてみました!
新卒に「分析」業務をアサインするときに「まずコレ読んで!」 と渡せるものになったらなと思います!
(読むのが面倒な人は「分析レポートレビューくん」というGPTを作ってみたので使ってみてください。あくまでこの記事を参考にさせただけなので、レポート内容については責任はおえません。)

さて、中に入るのですが、教える側と新卒側であるあるの問題の構図として、

  1. 分析目的やデータの出し方を伝えたけど、出てきたレポートがよくわからない
  2. 段取りを細かくレビューしないといけない

などがあるかなと思っています。

ざっくり渡しすぎると1のように結局手戻りになって、細かく教えすぎると2のように自分の時間がなくなる ことになります。

この溝を埋めるために、そもそもなぜ分析をするのか?この目的を果たすために必要な要素は何か?各要素をどう伝えるか? についてまとめてみました。

そもそもなぜ分析をするのか?

ビジネスの文脈においては、意思決定とその合意形成のため だと思います。1
大学の研究などとの大きな違いは「真理の探求」ではなく、「収益を生み出す見込みのある具体的な行動を選び、関係者が合意できること」が重要です。
学生時代の思考様式とは、ここが決定的に違うことを理解しておく必要があると思います。
極論を言えば、みんなの意見がまとまっているときにはそれほど分析の出番はないと思います。2

目的を果たすためにレポートに必要な要素は何か?

では、意思決定と合意形成の実現には何が必要でしょうか。
下のような要素で合意を取り付けていくのが大事だよと弊社では話しておりまっす。

  1. 意見の分かれうる切り口(=論点)を洗い出す
    • ex) あるSaaSサービスにおけるダウンセル。年間の事業計画に無視できない影響がある!という人もいれば、そもそものチャーンを減らすためのプロダクト改善の方が大事!という人もいる。
      • ダウンセルは対処すべき大きい問題か?が論点
  2. 論点ごとに、代表する指標を定める
    • ex) 年間のダウンセル額、ダウンセル額とMRRの比率
      • 事業計画を構成する値とそこへの与える影響が分かる指標を設定する
  3. 可視化の方法を決める
    • ex) 積み上げ棒グラフ(ダウンセル額 vs MRR)
      • ダウンセルの影響度が視覚的に把握できる手法を選ぶ
  4. 指標の結果に合わせてネクストアクションを決める
    • ex) ダウンセルはMRRの0.1%程度でしかなく、この改善幅にであればチャーン自体を減らす取り組みに注力しましょう!と提案
      • ここで意思決定の合意を取り付ける
  5. 1~4の手続きを通して、合意形成が得られるまで論点を解消していく

これらをまとめることで、関係者にとって「何が問題か?」と「問題をどうするか?」の議論を進めることができると思います。

各要素をレポートでどう伝えるか?

最後に、これまでの分析の要素をどう関係者に伝えるか?ですが、実は「学生時代によく書いていたであろう文書の形と似てるよ!」がこの記事のオチになります。

段落 書くこと
背景 論点を明確にするために必要な情報や、これまでの問題を整理した内容
目的 ● 分析で取り扱うゴールとして、論点を提示し、どのような意思決定を行うか
方法 指標の定義
● どのようなデータ抽出、加工、分類を行うのか
● 何と何を比較するのか
結果 可視化のための図表
● 図表の読み方(単位、軸などの説明)
● ※認定できる事実を記述し、解釈を入れない
考察 ● 結果を受けてネクストアクションの提案
展望 ● 合意形成に至らない場合、追加で論証すべき論点

この形式はAPAなどの論文構成とも結構近いと思いますし、これまでの経験をそのまま活かせると思います!

あと、合意形成のために複数の分析が必要になることもあると思うので、そういうときは↓みたいなパターンもオッケーかなと。

  • 背景:割愛
  • 目的:割愛
  • 分析1
    • 目的:割愛
    • 方法:割愛
    • 結果:割愛
    • 考察:割愛
  • 分析2
    • ...
  • 総括
    • 分析1と分析2の考察をもとに、全体へのネクストアクションの提案
  • 展望:割愛

おわりに

ちょっと長ったらしく書いてしまいましたが、せっかく分析をお仕事にしていくのですから、迅速に的確に意思決定を行ってビジネスに貢献しましょう!
そしてそのやり方を実は多くの人がすでに学習済みなので、安心して挑戦しましょう。
そういえば、昔書いた野見くんですが、ここらへんの勘所を掴んで今でも大活躍しております。
最近では取締役と密に連携を取ってデータドリブン経営を推進してくれています。
ただ、多分まだ彼の当初の目標である年収3,000万円は達成してないかな?

  1. DMBOKの14章「ビッグデータとデータサイエンス」の1.1「ビジネス上の意義」にも、「ビジネスチャンスを見つけ出して行動できることにある」とあります。

  2. 「収益を生み出す見込み」を見積もらないでいいのか?分析はそこも役に立つのでは?という指摘が当然あるとは思いますが、分析の時間とのトレードオフとして、(不可逆でないなら)意思決定を早くして、効果を検証するという方法もあるかなと。

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