FOSS4G Advent Calendar 2021 5日目です。
FOSS4G 2021 Japan Online おつかれさまでした。チュートリアルデイのセッションを担当したのと、 LT で喋りました。今回は LT でも喋ったネタです。
万能なプロジェクションはない
まぁるい地球を平らな地図にすると、どこかに無理が生じます。断裂する箇所を作ったり、一部を引き延ばしたり。
(C) いらすとやよく使われるメルカトル図法も、基準線である赤道から離れるほど縦に横に拡大し、距離比率や面積比率が場所によって異なっています。経線と緯線を直線にし、直交するなどの特徴を優先したためです。
メルカトル図法の拡大率は、赤道直下を100%とすると、沖縄で110%、札幌で137%となり、沖縄を基準にしたときでも札幌は1.2倍以上で描画されます。面積比率はその2乗です。でっかいどーですね。
特に全世界レベルの表示で統計値の比較などを行う場合には不適切となることがあります。
表示の問題だけでなくデータもそうで、たとえば EPSG:3857 で保存されたデータは EPSG:3857 地図上の座標値を持つので、地図単位はメートルでも現実のメートルよりも拡大されています。
また基準線を赤道ではなく子午線とした基準とし横メルカトル図法があります。横メルカトル図法も同様に基準線から離れるほど拡大されますが、別の地域は別の基準の横メルカトルを使うことができます。
ですがこの場合、各地域で別々の座標系を使うことになるので、これはこれで面倒です。
斜軸
同じように基準線を斜めにすることもできます。
よさそうなパラメータを探したところ、基準点を $\varphi=0, \lambda_0=0$ 、傾斜角 $\alpha=31.3 {}^\circ$ (北から時計回りに)がよさそうでした。また日本をほぼカバーするために、やや誤差を許容する必要があります。今回は $k_0=0.9990$ を設定し、$\pm0.1%$許容するエリアとしました。
座標系の定義としては
+proj=omerc +datum=WGS84 +lonc=110 +lat_0=0 +alpha=31.3 +k_0=0.9990
QGIS の場合は、設定から「カスタム投影法」で利用することができます。
メリット
この座標系でデータを作ると、若干の誤差を持ちつつもある程度正確な距離比率を保った状態なので、バッファなどのパラメータを日本全国でデータ分割・各座標系設定することなく、ほどほど正確に実行できます。
スライド
LT で使ったスライド資料です。