導入前(説得)編
私の所属するチームでは、IntelliJ IDEAを使い、下記の言語/開発環境を用いて開発しております。
- Java
- Node.js
- Python
- PHP
当初はチーム全員でEclipseを使って開発していたのですが、ある日を境に私がIntelliJ IDEAのPersonal Licenseを購入し、ステマ活動を進めていたところ、ボスからこんなことを言われました。
- 「そんなにいいって言うんだったらチームで導入したらえぇやん」
- 「ただ、人数分買うとなるとそれなりの額になるので、導入することによるメリットを出して欲しい」
これはチャンス…!!
IntelliJ IDEAの価格と費用回収に必要な工数削減時間
というわけで、まずは下記表の資料を作りました。
要するにCommercial License1本あたりいくらで、開発者の時間あたりの単価がいくらだとすれば、IntelliJ IDEAによりこれだけの時間が削減できれば元が取れるよ、というものです。
自分の単価を考えれば、意外とすぐに費用は回収できそうだと分かります。
項目 | 金額・時間 | 備考 |
---|---|---|
IntelliJ IDEAライセンス1本 | 51,345円 | 為替レートにより変動 |
開発者の時間当たり単価(目安) | うん千(仮に5,000とする)円/時間 | (ここは記事用に適当に入れてます) |
→費用回収に必要な工数削減時間 | 10.3時間 | 1ライセンスあたり10.3時間削減できれば費用回収できる |
1日当たりの作業内容および削減可能時間の試算
次に、Eclipseと比較して、どのくらい時間効率をあげることができ、ひいては作業時間を減らすことができるかの資料を作成しました。
ぶっちゃけここに書いている数字は感覚値です。
ですが、このようにメリットを列挙し、比較結果を数値化し、最終的に、時間(ひいては金額)で訴求することが重要です。
※念のため申し上げますが、本資料はEclipseを貶める目的のものではありません。
開発効率 | Eclipseでの作業時間 | IntelliJでの作業時間 | 削減可能時間 | 備考 |
---|---|---|---|---|
既存コードの解析 | 2 | 1.5 | 0.5 | 呼び出し元コード追跡が一瞬で表示可能 |
HTML/CSS/JavaScriptのコード記述 | 2 | 1.8 | 0.2 | Eclipseにはできないコード補完が多数あり、しかも高速 |
Javaのコード記述 | 1 | 0.9 | 0.9 | Eclipseにはできないコード補完が多数あり、しかも高速 |
RDB操作関連(SQL発行、結果取得等) | 1 | 0.5 | 0.5 | SQL補完、RDB差分取得、ER図生成など |
他にも資料を作成しましたが、大体チェックを受けた部分は上記2資料です。
結果として、1日当たり1.8時間は削減可能であろうと試算し、約1ヶ月でIntelliJ IDEA購入の費用を回収できるとしました。
上記を経て、ボスの了解を経て、Commercial Licenseを2桁ライセンス分購入することができました。
購入に当たりまして、サムライズム様には色々とご協力をいただきました。
ありがとうございます。
※他にも実際の開発効率についての実演もやっていますが割愛。
導入編
無事にチームメンバー向けにIntelliJ IDEAのライセンスを購入することが出来ました。
しかしこの時点では、Eclipseしか使ったことがない人が大多数を占めていました。
このような状況で必要なアクションは、IntelliJ IDEAに移行するメリットを提示することと、移行に当たっての障壁をひたすら壊すことです。
IntelliJ IDEAのメリット、および移行手順については、チームの開発スタイルをざっと見なおして、Eclipseで行っていた内容を洗い出してはIntelliJ IDEAだとこうする、という話を資料としてまとめました。
また、その資料をもとに勉強会を開催し、メリット・移行手順・EclipseのコレをIntelliJ IDEAでどうすんの?を説明して実際に設定してもらいました。
特に移行の期限は設けませんでしたが、移行開始から1ヶ月くらいで全員移行完了していたと思います。
また、新規参入メンバーにも、上記で作成した資料を読んでいただくことで、すんなりIntelliJ IDEAが使えるようになりました。
今ではみんなIntelliJ IDEA大好きな模様です(知らんけどな!)
困っていること編
チーム向けに実際に導入して、困っている/いたことがそれなりにあります。
今では解決済みの話は以下のとおりです。
- Eclipseとのソースフォーマットが違うんだけど? → IntelliJ用に合わせる
- 某レガシーフレームワークが提供していたHotDeployが使えない → クラスのみ再ロードまたは再デプロイでしのぐ
- その他俺には分からん! → Twitterでつぶやけば必ず助け舟が来る!
今時点でまだ困っている点は、下記です。
- 設定を共通化したい → 設定ファイルをバージョン管理するのは茨の道。やめとけ。結局共通設定はコレ、というのを提示して各人に設定してもらった。
- IntelliJ IDEA 13にバージョンアップするための説得材料が乏しい → まずは自腹でPersonal版購入して調査するしか!
最後に
IntelliJ IDEAは、費用対効果を考えれば、非常にお安い開発環境です。
皆が幸せに開発できるようになるために、まずは上司の説得から始めましょう!