この記事はSmartHR Advent Calendar 2023 シリーズ2の23日目の記事です。
はじめに
こんにちは!SmartHRでプロダクトエンジニアをしている @todochuramasa です。
私は沖縄に住んでいていて、これまで11年間フルリモートで働いてきました。
さて、フルリモートワーク、コミュニケーションが難しいですよね。
特に私は極度のあがり症だったり、誰かとコミュニケーションを取るのが大の苦手という人間だったので、意思疎通がうまく行かず仕事で大きなミスをやらかしてしまったり、働きづらさを感じたり(周りに感じてさせてしまったり)……ということがよくありました。そのあたりをなんとか克服して、良い感じにフルリモートワークを続けるためにやったことなどをご紹介したいと思います。
また、リモートワークではビデオ会議などでのコミュニケーションやテキストでのコミュニケーションがあるかと思いますが、今回はビデオ会議でのコミュニケーションメインでお話します。テキストベースのコミュニケーションに関しては、また機会があれば別記事で書きたいと思います。
おすすめ対象者
- 人前で話すと緊張してうまく言葉がでない人
- 初対面の人とはまぁまぁ話せるけど、日頃の何気ない会話はすごく苦手な人
- フルリモートで働いているけども、どうやってコミュニケーションを取ってよいかわからない人
3行まとめ
- まずは自分や他の人がどんな風に普段振る舞っているか観察してみよう
- 自分の改善ポイントを探して改善していく
- 雑談&WOL(Working Out Loud)していこう!
困っていたこと
皆さん日々の会議で普通に発言できていますか?私は昔全然できませんでした。
極度のあがり症で、日常の会議で発言するだけでも心拍数が爆上がりして変な汗が出たり、発言するかどうか迷っているうちに会議が終わることもよくありました。
私の日常
<(あっ、これもしかしてxxなのでは…?いや、でも今◯◯さんが話しているしな…話が終わるのを待つか…)
<(あっ、△△さんが別の話を始めてしまった…どうしよう、話を戻していいのかな…)
また、雑談も苦手で、あまりスッと話が出てこなかったり、うまく返せないことが多く、毎日夜布団の中で、「あの時はああ言えばよかった…」と一人反省会をしていました。
やったこと
ステップ0: 分析してみる
流石になんとかしないと、ということで、まずは自分の事を分析してみました。
- なぜ緊張するのか、うまく話せないのか
- 自信を持って発言できない
- こんな事皆知っているので言わなくていいのでは……
- 見当違いかもしれないから言わないほうが良いかも……
- 間違っているかもしれないから相手の話を遮るほどじゃないかも……
- 会話のキャッチボールで、シュッと投げ返せない
- 相手が何を考えているのかがわからないので返答が怖い
- 返答のイメトレをしているうちに会話が終わる
- 伝えたいことをうまく言えず空回りしてパニックに陥る
- 自信を持って発言できない
兎にも角にも自分に自信を持って発言できるように変わらなければ、という気付きを得たので、まずは自分が普段どのように振る舞っているのかを観察することにしました。
ステップ1: 自分を観察する&改善する
フルリモートで、基本オンラインのビデオ会議でのコミュニケーションがメインなため、ひたすらビデオ会議中に自分自身を観察していました。
すると、自分が以下のような振る舞いをしていることに気が付きました。
- 表情筋が死んでいる。
- 声が小さい。
- 言っていることが支離滅裂になっている。
それまで、基本自分の顔を見るのが嫌でたまらないので、ビデオ会議中は自分のカメラ画像は極力見ないよう過ごしていたのですが、意を決して見てみると、完全に表情が無でした。
また、声が小さく相手から聞き返されることが多かったり、パニックになって、よくわからないことを言っている事も時々ありました。
改めて、これはあかんやつだな!?!?という自覚を得たので、早速改善に取り組みました。
- 口角をあげることを意識する。
- 気を抜いていると口が半開きになったり、口角が下がって不機嫌な顔に見えるので、頑張って口角を上げるようにしました。
- 当時の私の表情筋は、頑張って口角をあげるようにしてなんとか普通の表情になる、というくらいだったので、長いリモートワークで表情筋が衰えていたようです。
- 意識して声に抑揚をつける。
- 大きい声を出すことも意識してはいたのですが、それよりも、オーバーに抑揚をつける方を意識しました。
- 大きい声を出すよりイントネーションをしっかりつけたほうが相手に伝わりやすかったです。
- たとえば、日本語は最後の拍を上昇させると疑問文を表すので、「そうなんですか?」ということを言いたい時、「そうなんですか↑?」と小声で話すと、相槌か何かだと思われて特に触れられずに終わったりしますが、「そうなんですか↑↑↑↑↑?」くらいの気持ちで話すと、「そうなんですよ〜」と返答があり、会話が続いたりします。
- アドリブで挑まない。
- 兎にも角にも常に台本を用意するようにしました。
- ちょっとした面談や会議でも話したいことを事前に書き出しておいて、時間があれば、そのまま話せるくらいの粒度まで書くようにしました。
- 会議中に急に話が振られそう……!という時も、なるべく急いでメモ書きを作って話すようにしていました。
ステップ2: 他の人を観察する
次に取り組んだことは、他の人を観察することでした。
私がうまく立ち回りができなかった場面で、他の人はどう立ち回っているのか、真似できそうなことは無いかを観察しました。
すると、自分の事で精一杯の時は気が付きませんでしたが、私と同じように緊張している様子の方もいる事に気が付きました。自分だけが緊張しているんじゃないんだなという安心感や、焦っている方を見て、「あっ、私と同じようにテンパってるんだな」と気付いてフォローを入れられる余裕が出てきました。
また、誰でも間違った事を言うことはあるし、重要な事は話の途中でも割り込んで話すこともあることにも気が付きました。他の人のそういった振る舞いは全然気にならなかったので、基本私が不安に感じていた「こんな話をしてもいいのか」というようなことは、過剰な心配だったのかも、と思うようになりました。
ただ、見当違いなことでも間違ったことでもなんでも言っても良い(なんならそこから議論が広がる可能性もあるので、言ったほうが良いまである)のですが、お互いの認識や前提がズレていると、全然話が噛み合わなくなったり、話が進まないことがあるので、そこだけ注意するようにしていました。
あとは、他の人のうまい言い回しもメモしたりしていました。こういう時はこんな風に言うとよい、というパターンを蓄積していくことで、自分が同じような場面になったときに、(あっ、〇〇さんはこんな感じで答えてたから丸パクリしよ……!)という感じで、シュッと返答ができることも、少し増えました。
ステップ3: やっていき
ここまでくると後はステップ1,2で気が付いたところをひたすら改善サイクルを回すだけした。
ちょっとだけ自信がつきつつあったので、とにかく機会があれば会議のファシリテーターに立候補したり、会議中に思い切って発言をするようにしました。
特にリモートワークでのおすすめの行動
雑談を意識的に多めにする
ステップ2を実施する際に、チームメンバーのことを何も知らないな、という事にも気付きました。チームで仕事をするにあたって大事にしたい原則として、HRT1がありますが、そもそもよく知らない相手に対して、尊敬や信頼の気持ちを持つことは難しいです。
メンバーから信頼してもらうため、メンバーを信頼するためにも雑談を通して、自分の人となりを知ってもらい、メンバーの人となりを知ることはとても大事だと思っています。
とはいえ、リモートワークだと、そもそも仕事の用がある時だけ話しかけることが多くなるので、雑談するの難しいですよね。私は以下のようにしています。
- 朝会など定期のMTGにアイスブレイクの時間を設けて強制的に雑談する時間を作る。
- 無駄な時間なのでは?という声が上がることもありますが、必要な時間なんだという強い気持ちで実施するとよいと思います。
- MTGの頭で実施することで、場があたたまって話がしやすい効果もあります。
- 音声チャットなどを繋いだ状態での作業中に、静かになった瞬間に雑談を挟む。
- CI待ちなど、何か待ちが発生して無音の時間が訪れたときがチャンスです。
- 突然自分語りをしだすのはハードルが高いので、素直に「雑談なんですけど」という枕詞をつけて話始めると良いです。
- 話が苦手だったり話題がない時は、誰かに振るのもよいです。
- とにかく第一声を出して、雑談の場が始まったよ〜!というのを展開することが重要です。
大声で作業する
コーディングしていると独り言多くなりますよねっていう話ではなく、「Working Out Loud」という手法のことです。
「Working Out Loud」については、スタディサプリさんのブログ記事Working Out Loud 大声作業(しなさい)、チームメンバー同士でのトレーニング文化の醸成という記事がわかりやすくまとめられています。
一言で言うと、声を出しながら働こう!ということになります。
リモートワークで声を出すとは…?と思われるかもしれませんが、実際に声を出すのではなくて、例えば業務で使っているチャットツールなどで、常に自分の状況を発信し続けよう、ということです。
リモートワークだと、作業の透明性を保つのが難しいですよね。チームで開発を進めているなら、その日の自分の担当の仕事をこなせばよい、というものではないはずです。急な質問をしたりされたり、誰かに仕事をお願いしたりされたりということがあると思います。
もし静かに仕事をしていた場合、質問しても良いのかな?仕事をお願いしても良いのかな?と相手に思わせてしまいますし、逆の場合も困ったりしませんか?
そういう時にWOLをしていると、お互いの状況がわかりやすくなるので、スムーズに仕事が運びます。
また、自分の考えの経過をアウトプットしておくことで、「なぜこの決定をしたのか?」というのを後からたどりやすくなるのも大きなメリットだなと感じています。
以下に普段私がSlackでやっているWOLを再現したスクリーンショットを貼っておきます。
作業ログ代わりにもなるので、一石二鳥でおすすめです。
まとめ
コミュニケーションが苦手でリモートワークに興味があるけど、向いていないかも…と心配されている方、大丈夫です。コミュニケーション力が53万点中5点の私でも、記事にあるような3ステップの改善サイクルをまわすことで、なんとか頑張ってフルリモートワークできています!(ちなみに常に良い感じでやれているわけではなく、今も試行錯誤中ではあります…!)
最後にお話した、雑談を意図的に増やしたり、WOLを実践するだけでも、充分フルリモートワークでも働きやすい環境を作れるはずです。
リモートワーク、できそうかも、やってみたいなと興味をもったそこのあなた!なんとSmartHRではフルリモートワークOK(しかもフルフレックス制)です。北は北海道、南は沖縄まで全国各地からフルリモートでエンジニアが勤務しています。
少しでも興味を持っていただけたら、エンジニア採用サイトに足を運んでみてもらえると嬉しいです!カジュアル面談もやってますよ〜!
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HRTとは書籍「Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか」で提唱されているソーシャルスキルの3本柱と呼ばれるものです。「謙虚(Humility)」、「尊敬(Respect)」、「信頼(Trust)」の頭文字を合わせて「ハート」と読みます。「あらゆる人間関係の衝突は、謙虚・尊敬・信頼の欠如によるものだ。」と書籍では述べられています。(引用:「Team Geek」p.15) ↩